この空の下で時計を握り君を待っている

ニキ

7話 グツグツ煮え立つような話

三束に話しかけられ、一週間が経った。
僕の周りにはまだ変わりはない。

部活を終えいつもの下校ルートを辿る。
少し長い橋を渡り、見晴らしのいい崖のような道に出る。
そこでいつもお気に入りの音楽を聴きながら黄昏れるのが日課だ。

電車に乗り、30分ほどで家からの最寄り駅に着く。

後ろから肩を叩かれた。

「あれ?透?」

「お、久々じゃないか。」

彼は中学の頃の同級生だ。

「最近調子はどう?卒業式からあっという間だな。」

「全くその通りだよ。毎日が早すぎて頭がおかしくなりそうだ。」

「でも見る限り元気そうだから良かったよ。このあとラーメンでも行くか?」

「おお、いいぞ。今からでも。」

僕はこいつとラーメンに行くことになった。
よく食べていたメニューを平らげ、風通しのいい山道にベンチがあるので座り込んた。
僕はタバコに火をつけた。飯のあとのタバコは美味い。

「お前、まだ吸ってたんだな。」

笑いながら同級生も火をつける。

「こんな生活、タバコがないとやってられないよ。」

「なんか悩みでもあるのか?」

「悩みばっかりだ。隣の芝生は青いっていうか。劣等感にやられそうになる。」

「ははは。たしかに俺も同意だ。でもきっと大丈夫。芝生は沢山あってもお前はお前しかいないからな。」

「おお、良いこと言うな。誰の真似だよ?」

「俺だよ。」

「本当に良いこと言うなよ。」

僕達は少しの時間だが、楽しい時間を過ごした。ここ最近で1番心地がよかった。心が楽になり何故か涙が出そうになった。

タバコを何本か吸うと僕達は立ち上がった。

「じゃあな。またどこかで会えるだろ。」

「そうだな。また会おう。」

手を振り家に帰った。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

僕は家に帰ると同級生に言われた事を深く考えた。


「芝生は沢山あってもお前はお前しかいない。」


在り来りな事だが心に刺さった。
恐らく前の高校生活で「隣の芝生は青く見える」シチュエーションが多かったからだ。



また明日も学校だ。寝よう。

コメント

  • ニキ

    ありがとうございます。
    是非チェックさせていただきます。

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  • 大空 ヒロト

    応援するので頑張ってください
    俺も書いているのでよろしければお願いします。

    1
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