この空の下で時計を握り君を待っている

ニキ

5話 メンバーとの出会い、再び。

部活動体験の期間が終わり、本入部できるようになった。
僕と渋沢はすぐに入部届けを出しに行った。

「よし、これで入部だな。」
「そうだな。3年間頑張ろうぜ。」

中学の頃は僕達は部活に入っていなかったので、ちょっとだけ新鮮だ。


授業が終わり僕達は部活をするために視聴覚室へ行った。

「お疲れ様です。」
「おつかれさま!入部してくれたんだね!」
「はい。これからよろしくお願いします。」

楽しみな気持ちを抑えながらゆっくりと返事をした。

「部活と言っても結構自由で、基本個人練習をする感じ!分からないところがあったら先輩に聞いて!」
「それとバンドを組んだら時間を決めて前で練習することも出来るから気軽に言ってね!」


仕組みを軽く聞いた。
特に前と変更点はなかった。


後ろで渋沢と楽器の練習をしばらくしていると一人の男が入ってきた。
おそらく体験入部で見かけた1年生のギターの人だ。

名前は竹崎 幸大(たけざきゆきひろ)


僕は早く前と同じ様に仲良くなりたくて、声を掛けることにした。

「君、体験の時来てた人だよね?僕は水鏡透。よろしく!」
「俺は渋沢。よろしく。」
「よろしく。竹崎幸大って言うよ。」

あくまでも初対面の設定なので名前を知っていることを隠す。

「確か小学生の頃やってたんだけど辞めちゃったんだよね。ギター。」
「そう。でも1週間くらいギター教室に通ったら結構勘は取り戻したよ。」
「お、そうなんだ!ちょっと聴かせてもらってもいい?」
「全然平気だよ。」

さっきまで使っていたギターをアンプに繋げ、幸大に渡す。

「なかなかいいギター使ってるね。」
「見る目あるね。中学生の頃買って貰ったんだよね。」

そんな会話をしながらチューニングを終えた。


♪♪♪♪♪♪♪


めちゃくちゃ驚いた。何年もブランクがあるのに1週間練習しただけでここまで出来るとは。

「すごいな!結構弾けてるじゃん!」
「でも久々に弾いたから指がボロボロだったよ。」

笑いながら答えていた。

「男子部員少ないけど頑張ろうな。一緒にバンドを組もう!」
「いいよ!渋沢くんもだよね。」
「おう。最高のバンドにしよう。」
「僕がギターボーカルで、渋沢がベース、幸大がリードギターだ。」

3人は笑顔でバンドを結成した。
でも渋沢は穴を指摘した。

「いやでもさ、ドラムいなくね。」
「まあでも何とかなるでしょ。」

僕は分かってた。
恐らくそろそろ来る。あいつが。

今日の部活は終わり、3人で駅まで帰ることになった。

「じゃあな!幸大!」
「バイバイ!」

言葉を交わしてくうちに僕達は直ぐに仲良くなった。
帰り道の途中まで渋沢と一緒に帰った。

「なかなか良い部活になりそうだな。あとはドラムだけだ。」
「そうだな。まあすぐ見つかるだろ。」
「じゃあまた明日な。」

渋沢は僕に手を振る。僕も振り返す。
今日も一日終わった。

多分明日来る。僕達のメンバー。


明日が楽しみだ。






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