セブンスソード
69
一花に衝撃が走る。突破された。呆気なく。まるで紙のように斬ってきた。
聖治が振り下ろす神剣。それを両手で掴まえる。十本の指が刀身に絡まる。
聖治も力を入れるが相手は魔人、力では敵わない。すぐにミリオットに変え力を強化する。
「く!」
「ぬぅ!」
力を押しつけ合う。そのまま落下し地面に着地した。
聖治は全力だ、それでも押し切れない。力は互角。
さらに一花は尻尾を用い聖治の首を締め付けてくる。首を後ろに引っ張られる!
「ぐ!」
聖治はスパーダを消すと一花の手から逃れ再度出現させる。
「なに!?」
すぐに振るい尻尾を断ち切った。
一花から悲鳴が上がる。
さらに至近距離で光線を一花に何度も放つ。一花はすぐさま空間転移をしていった。聖治の剣先から放たれるミリオットの数々を躱していく。一花が避けることでミリオットの流れ弾が周囲を破壊し轟音を立て塀が崩れていく。
聖治と一花は離れた場所で対峙した。
「異能を打ち消す、そんな剣まで。そんなに数々の能力を持ってるなんて魔卿騎士団っていうのはみんなそう厄介なわけ?」
「いや。俺が知ってる限り一つの武器と能力を極める感じだな。一点特化型じゃないのか」
「あんたは違うようだけど?」
「実際ちと特殊でね」
たわいもない会話を挟む。けれど緊張は途切れることなく、視線の鋭さは変わらない。
「一花、こんなことをする理由を教えてはくれないのか? 殺し合いだぞ? 駆だって心配してる、それでもか?」
「話す気はないわ」
聖治のささやかな願いに、けれど無慈悲な答えが返される。
「私は戦う、最後までよ。そのためにガミジンは犠牲になった」
悪魔界でも屈指の地位を持つガミジンが一人間でしかない少女の願いのためにその身を捧げたのだ。自分のために。なら引かない、その思いに応える。
強固な意志だ。だが、強情にも見える一花の姿勢に聖治は声を荒げる。
「どうして!? なにがお前をそこまで追い込むんだ!? そうまでして叶えたい願いってなんなんだよ!?」
殺し合いの恐怖と友人への裏切り。これほどのことをしてまで叶えたい願い。
「問答は無用よ。さっきも言ったはずよ。答える気はない」
聖治は必死に聞くが、一花は一向に答えない。
「話は終わりよ」
その一言で二人は再び構えた。一花はいつでも闇を行使できるよう足下から影がわき上がり、聖治は光帝剣を構える。
そして、再び激突する。
校庭を水色の光が疾駆する。その素早さは残像をいくつも残し校庭内を蹂躙するほどだ。あまりの速さに巨大な竜巻でも起きているかのよう。
その速度を以て聖治は一花に強襲する。あらゆる角度から剣撃を振るう。一花が即座に行った校庭を充満させるほどの闇も黄色に切り替え打ち消していく。超速と異能無効の使用、弱いわけがない。
それを見切る一花の動体視力もすさまじい。聖治の動きを捉えパーシヴァルが振り下ろされる前に別の空間へと回避する。校庭のいたるところに今は闇がある。そこならば一花はすぐに転移できるのだ。校庭の隅から上空に浮かぶ闇まで。
超速度と空間転移の競争だ。
充満する闇の中を光が疾駆する。とてつもない光景だ、まるで混沌。光と闇が混ざり合い、点滅するように現れる一花を直線の聖治が追い駆ける。
両者の戦いは拮抗している。ならば攻防が逆転することもある。
聖治は一花を追うが、直前で一花が消えた。どこだ? 聖治がすぐさに周囲を目で追うが強烈な殺気が背中に突き刺さる!
聖治が光での強襲ならば一花は闇からの奇襲。
光などしょせん瞬間的なもの。しかし闇は不変、そこにあり続けるためどこにでもいる。どこにでもいるのならば敵の死角を突くなど雑作もない。
振り向きざまに神剣を振るえば、ちょうど一花が膝蹴りをしてきたところだった。刀身で受けたものの力負けし後退する。さらに右、左、背後、頭上と連続攻撃を受ける。ほぼ一拍の間に行われた四連打はどれも強烈で、エンデュラスで防げたものの聖治の表情はゆがむ。
しかし続いての五連打目。正面から現れた一花の拳がついに聖治の腹部を捉える。
「ぐう!」
悪魔の肉体となったことでその力は強力。如何に手練れの剣士とて当ててしまえば関係ない。
勝った。確信が一花に過ぎる。
だがそうはならない。
「なに?」
聖治は倒れていない。一花の攻撃を受けてなお立っている。
「ディンドラン!」
聖治が振り下ろす神剣。それを両手で掴まえる。十本の指が刀身に絡まる。
聖治も力を入れるが相手は魔人、力では敵わない。すぐにミリオットに変え力を強化する。
「く!」
「ぬぅ!」
力を押しつけ合う。そのまま落下し地面に着地した。
聖治は全力だ、それでも押し切れない。力は互角。
さらに一花は尻尾を用い聖治の首を締め付けてくる。首を後ろに引っ張られる!
「ぐ!」
聖治はスパーダを消すと一花の手から逃れ再度出現させる。
「なに!?」
すぐに振るい尻尾を断ち切った。
一花から悲鳴が上がる。
さらに至近距離で光線を一花に何度も放つ。一花はすぐさま空間転移をしていった。聖治の剣先から放たれるミリオットの数々を躱していく。一花が避けることでミリオットの流れ弾が周囲を破壊し轟音を立て塀が崩れていく。
聖治と一花は離れた場所で対峙した。
「異能を打ち消す、そんな剣まで。そんなに数々の能力を持ってるなんて魔卿騎士団っていうのはみんなそう厄介なわけ?」
「いや。俺が知ってる限り一つの武器と能力を極める感じだな。一点特化型じゃないのか」
「あんたは違うようだけど?」
「実際ちと特殊でね」
たわいもない会話を挟む。けれど緊張は途切れることなく、視線の鋭さは変わらない。
「一花、こんなことをする理由を教えてはくれないのか? 殺し合いだぞ? 駆だって心配してる、それでもか?」
「話す気はないわ」
聖治のささやかな願いに、けれど無慈悲な答えが返される。
「私は戦う、最後までよ。そのためにガミジンは犠牲になった」
悪魔界でも屈指の地位を持つガミジンが一人間でしかない少女の願いのためにその身を捧げたのだ。自分のために。なら引かない、その思いに応える。
強固な意志だ。だが、強情にも見える一花の姿勢に聖治は声を荒げる。
「どうして!? なにがお前をそこまで追い込むんだ!? そうまでして叶えたい願いってなんなんだよ!?」
殺し合いの恐怖と友人への裏切り。これほどのことをしてまで叶えたい願い。
「問答は無用よ。さっきも言ったはずよ。答える気はない」
聖治は必死に聞くが、一花は一向に答えない。
「話は終わりよ」
その一言で二人は再び構えた。一花はいつでも闇を行使できるよう足下から影がわき上がり、聖治は光帝剣を構える。
そして、再び激突する。
校庭を水色の光が疾駆する。その素早さは残像をいくつも残し校庭内を蹂躙するほどだ。あまりの速さに巨大な竜巻でも起きているかのよう。
その速度を以て聖治は一花に強襲する。あらゆる角度から剣撃を振るう。一花が即座に行った校庭を充満させるほどの闇も黄色に切り替え打ち消していく。超速と異能無効の使用、弱いわけがない。
それを見切る一花の動体視力もすさまじい。聖治の動きを捉えパーシヴァルが振り下ろされる前に別の空間へと回避する。校庭のいたるところに今は闇がある。そこならば一花はすぐに転移できるのだ。校庭の隅から上空に浮かぶ闇まで。
超速度と空間転移の競争だ。
充満する闇の中を光が疾駆する。とてつもない光景だ、まるで混沌。光と闇が混ざり合い、点滅するように現れる一花を直線の聖治が追い駆ける。
両者の戦いは拮抗している。ならば攻防が逆転することもある。
聖治は一花を追うが、直前で一花が消えた。どこだ? 聖治がすぐさに周囲を目で追うが強烈な殺気が背中に突き刺さる!
聖治が光での強襲ならば一花は闇からの奇襲。
光などしょせん瞬間的なもの。しかし闇は不変、そこにあり続けるためどこにでもいる。どこにでもいるのならば敵の死角を突くなど雑作もない。
振り向きざまに神剣を振るえば、ちょうど一花が膝蹴りをしてきたところだった。刀身で受けたものの力負けし後退する。さらに右、左、背後、頭上と連続攻撃を受ける。ほぼ一拍の間に行われた四連打はどれも強烈で、エンデュラスで防げたものの聖治の表情はゆがむ。
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