セブンスソード
60
それもそうだったな。互いの秘密を知ってどこか距離が近くなった気がする。
「正直に言うとな、ちょっと不安だったんだ。駆全然話さないだろ? だから避けられてるのかなって」
駆は苦笑する。顔を小さく振った。喋れないからなかなか話しかけづらいところはあるけどさ。でも俺としては気兼ねなく話しかけて欲しい。
「それでな、駆に伝えたいことがあったんだ」
改めて言う俺の台詞になんだろうかと駆は待っている。
駆の昔のことを知った。一花のこと。他の二人の友人のこと。四人の間に強い絆があることを知っている。だからこそ駆は苦しんでいる。そして一人でいることを。
そんな駆にこんなことを言っても意味のないことかもしれない。
それでも言っておきたい。話すことが出来ないからこそ、自分の思いを言葉にして伝えておきたい。
「俺は、駆のことを友達だと思ってるからな」
俺の言葉に少しだけ表情が崩れている。きっと、面と向かってこんなことを言われたのは初めてだろう。そうそう言われることじゃない。
だけど、言いたかったんだ。
「いいか? 伝えといたぞ?」
恥ずかしそうに笑っている。それも終わると俺を見つめ頷いた。
「うん」
俺も頷く。
今日、駆とまた一つ分かり合えた。認め合える。理解し合える。そうした結びつきが絆に繋がる。一花たちとの絆に比べればそれは弱い結びつきかもしれないけど、俺は駆との友情が素直に嬉しい。温かい気持ちが胸に広がっていく。
「いい気なものね」
そこに、彼女の声が入るまでは。
「一花!?」
「!?」
急いで振り返る。駆も慌てて振り向く。
扉とは反対側。柵の前に一花が立っている。いつからそこにいたのか。どうやって入ってきたのかまるで分からない。しかし屋上の風にクルミ色の長髪を揺らし、間違いなく一花はそこにいた。
「聖治。あんたと決着を付けるわ」
「決着?」
「あんたは私と秋和の戦いを台無しにした。私たち、悪魔召喚師に手を出したの。その借りを返すわ」
「待てよ! あの時はお前がピンチだから助けてやったんだろ!」
「そんなこと頼んでない」
「お前なあ!」
駆の友達だから助けてやったのにその言い草か。
「!」
駆が前に出る。懸命な表情で一花を見つめる。その顔は止めるんだと訴えていた。そのまま一花に駆け寄ろうとする。
「駄目だ駆!」
走りだそうとする駆を慌てて掴む。
一花の雰囲気は一昨日とは違う。存在感が何重にも増して重々しい。
なにが起こったのか。この前の彼女とはまるで別人だ。
「駆……」
一花の鋭い瞳が駆を見る。必死な駆とは反対に冷徹な表情が浮かぶ。
「あんたは知らなくていいことよ」
一花の言葉に駆は大きく顔を横に振る。そして俺の手から離れた。
「駆?」
俺には見向きもせず、駆が歩き出す。
「駆!」
ゆっくりと、しかししっかりと歩みを進めていく。
「来ないで」
一花から冷たい命令が浴びせられるが駆は止まらない。
「来るな!」
一花は駆に指を指すと、そこから黒い光弾が発射された。目にも止まらぬほどの速度で駆に迫る。
「!?」
そこへ割り込む。俺はエンデュラスで打ち落とした。エンデュラスから伝わる手応えに舌打ちが出る。
強烈だった。生身で当たっていれば気絶するほどの。俺ならいざ知らず駆では耐えられない。
そんなものを、ためらいもなく発射したのか。
「なにするんだお前!」
「正直に言うとな、ちょっと不安だったんだ。駆全然話さないだろ? だから避けられてるのかなって」
駆は苦笑する。顔を小さく振った。喋れないからなかなか話しかけづらいところはあるけどさ。でも俺としては気兼ねなく話しかけて欲しい。
「それでな、駆に伝えたいことがあったんだ」
改めて言う俺の台詞になんだろうかと駆は待っている。
駆の昔のことを知った。一花のこと。他の二人の友人のこと。四人の間に強い絆があることを知っている。だからこそ駆は苦しんでいる。そして一人でいることを。
そんな駆にこんなことを言っても意味のないことかもしれない。
それでも言っておきたい。話すことが出来ないからこそ、自分の思いを言葉にして伝えておきたい。
「俺は、駆のことを友達だと思ってるからな」
俺の言葉に少しだけ表情が崩れている。きっと、面と向かってこんなことを言われたのは初めてだろう。そうそう言われることじゃない。
だけど、言いたかったんだ。
「いいか? 伝えといたぞ?」
恥ずかしそうに笑っている。それも終わると俺を見つめ頷いた。
「うん」
俺も頷く。
今日、駆とまた一つ分かり合えた。認め合える。理解し合える。そうした結びつきが絆に繋がる。一花たちとの絆に比べればそれは弱い結びつきかもしれないけど、俺は駆との友情が素直に嬉しい。温かい気持ちが胸に広がっていく。
「いい気なものね」
そこに、彼女の声が入るまでは。
「一花!?」
「!?」
急いで振り返る。駆も慌てて振り向く。
扉とは反対側。柵の前に一花が立っている。いつからそこにいたのか。どうやって入ってきたのかまるで分からない。しかし屋上の風にクルミ色の長髪を揺らし、間違いなく一花はそこにいた。
「聖治。あんたと決着を付けるわ」
「決着?」
「あんたは私と秋和の戦いを台無しにした。私たち、悪魔召喚師に手を出したの。その借りを返すわ」
「待てよ! あの時はお前がピンチだから助けてやったんだろ!」
「そんなこと頼んでない」
「お前なあ!」
駆の友達だから助けてやったのにその言い草か。
「!」
駆が前に出る。懸命な表情で一花を見つめる。その顔は止めるんだと訴えていた。そのまま一花に駆け寄ろうとする。
「駄目だ駆!」
走りだそうとする駆を慌てて掴む。
一花の雰囲気は一昨日とは違う。存在感が何重にも増して重々しい。
なにが起こったのか。この前の彼女とはまるで別人だ。
「駆……」
一花の鋭い瞳が駆を見る。必死な駆とは反対に冷徹な表情が浮かぶ。
「あんたは知らなくていいことよ」
一花の言葉に駆は大きく顔を横に振る。そして俺の手から離れた。
「駆?」
俺には見向きもせず、駆が歩き出す。
「駆!」
ゆっくりと、しかししっかりと歩みを進めていく。
「来ないで」
一花から冷たい命令が浴びせられるが駆は止まらない。
「来るな!」
一花は駆に指を指すと、そこから黒い光弾が発射された。目にも止まらぬほどの速度で駆に迫る。
「!?」
そこへ割り込む。俺はエンデュラスで打ち落とした。エンデュラスから伝わる手応えに舌打ちが出る。
強烈だった。生身で当たっていれば気絶するほどの。俺ならいざ知らず駆では耐えられない。
そんなものを、ためらいもなく発射したのか。
「なにするんだお前!」
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