セブンスソード
46
手をこまねくつもりはない。やれることから始めるべきだ。あんなことがあってどうすべきか分からないでいたが香織が方針を出してくれた。そのおかげですべきことが見えてきた。
ここで俺たちがなにをするか。それは今だけじゃない、もっと大きな意味を持つはずだ。
「俺が今回のことで一番懸念していることがある」
俺の言葉にみんなが振り返る。みんなからの注目を受けて俺も真剣な表情になる。
「今回の出来事が、未来の布石かもしれないってことだ。もしここでなにもしなければ俺たちの知っている未来が本当の出来事になる。そんな予感がするんだ」
これはあくまで可能性。だがそうした危機感が俺に警鐘を鳴らしてくる。
「悪魔の侵攻。人類の敗北。荒廃した灰色の世界。おぼろげな記憶からでも鮮明に思い出せる。絶望しかないあの場所を。そんな世界にするわけにはいかない」
そうしないためにも。
「だから、俺は戦う。やつらの目的を必ずや阻止してみせる」
今ならまだ間に合う。あんな世界にしないために、今いる俺がなんとかするんだ。
「かっこ付けるなよ、俺たちもいるんだぜ?」
「うん! 僕たちも一緒なんだな」
「あんただけに戦わせるなんてしないわよ」
「聖治さんだけにやらせるなんてあり得ないし」
「みんな」
そこでみんなが口を開いた。
笑顔で俺を見つめる。星都に力也、此方に日向ちゃん。悪魔との戦いを前にして、それでも温かい眼差しを俺に向けている。
すると香織が俺の手を握ってきた。
「今回は、一人じゃないよ?」
掛けられる優しさに自然と頬が緩んでいく。
「うん」
その気持ちが嬉しい。
「ありがとう、みんな」
俺たちは仲間なんだということを改めて教えてくれる。
これからの重要さを噛みしめながら俺は駆に近づいた。膝をついて目線を同じにする。
「駆。二人を心配する気持ちは分かる。でも、今回のことについては俺たちにまかせてくれないか? 知ってる通り、もう普通じゃない」
駆は言い返したそうな顔をしたが事情が事情だ。駆は二人にとって親友かもしれないがそれでも普通の人だ。できることは少ないし、危険の方が大きい。
駆は納得したようで、弱々しく頷いた。
「ありがと」
そう言って立ち上がる。決意を胸に、まっすぐと前を見る。
突如として現れた悪魔召喚師の存在。その裏に潜むリング・オブ・オーダーの脅威。否が応にも感じる予感に自然と身構える。無意識に拳が握られる。
新たな戦いが、始まろうとしていた。
*
翌日、俺は学校に向かっていた。昨夜はあれから解散となり駆は俺が家まで見送った。さすがに一人で帰すのは危険だからな。道中会話らしいやり取りはなく別れ際に会釈されたくらいだ。相当落ち込んでいるようだった。
とはいえまずはやるべきことをしないとな。俺は学校に着くなり自分の教室ではなく一花の教室に向かっていく。彼女から話を聞くのは昨夜決めていたことだ。まずは彼女から話を聞かなくては。
教室の扉を開ける。しかしまだ彼女は来ていないようだ。そのまま待ってはみたが彼女が来る様子はない。今日は来ないのだろうか。それも当然か。顔は割れているんだ、みすみす来ることもない。
自分の教室に入る。席に荷物を置き隣の席を見る。駆はまだ来ていないようだ。
不安な気持ちが広がる。昨日が昨日だから駆も今日は休みなのかもしれない。
「なにもないといいんだけどな」
廊下の窓を開け外を見下ろしてみる。そこに駆の姿を探してみるが当然のこと見当たらない。
「…………」
正直、心配だ。だが見つからないのなら仕方がない。教室に戻るか。
「ん?」
が、聞こえてくる音色があった。遠いのかかすかに聞こえる程度だが、それは外から聞こえてくる。
「屋上か?」
俺の教室は三階だ、ここより上となると屋上しかない。誰かいるんだろうか?
俺は階段を上り屋上へ続く扉を開けてみた。
外の空気と白い雲が浮かぶ青空が迎える。もうすぐチャイムが鳴る今ここにいるのは俺と演奏している本人だけだ。
頭上に広がる晴天に一つの音色が流れる。どこか寂しげな音であり、同時に心を慰めるような音だ。
「駆……」
ここで俺たちがなにをするか。それは今だけじゃない、もっと大きな意味を持つはずだ。
「俺が今回のことで一番懸念していることがある」
俺の言葉にみんなが振り返る。みんなからの注目を受けて俺も真剣な表情になる。
「今回の出来事が、未来の布石かもしれないってことだ。もしここでなにもしなければ俺たちの知っている未来が本当の出来事になる。そんな予感がするんだ」
これはあくまで可能性。だがそうした危機感が俺に警鐘を鳴らしてくる。
「悪魔の侵攻。人類の敗北。荒廃した灰色の世界。おぼろげな記憶からでも鮮明に思い出せる。絶望しかないあの場所を。そんな世界にするわけにはいかない」
そうしないためにも。
「だから、俺は戦う。やつらの目的を必ずや阻止してみせる」
今ならまだ間に合う。あんな世界にしないために、今いる俺がなんとかするんだ。
「かっこ付けるなよ、俺たちもいるんだぜ?」
「うん! 僕たちも一緒なんだな」
「あんただけに戦わせるなんてしないわよ」
「聖治さんだけにやらせるなんてあり得ないし」
「みんな」
そこでみんなが口を開いた。
笑顔で俺を見つめる。星都に力也、此方に日向ちゃん。悪魔との戦いを前にして、それでも温かい眼差しを俺に向けている。
すると香織が俺の手を握ってきた。
「今回は、一人じゃないよ?」
掛けられる優しさに自然と頬が緩んでいく。
「うん」
その気持ちが嬉しい。
「ありがとう、みんな」
俺たちは仲間なんだということを改めて教えてくれる。
これからの重要さを噛みしめながら俺は駆に近づいた。膝をついて目線を同じにする。
「駆。二人を心配する気持ちは分かる。でも、今回のことについては俺たちにまかせてくれないか? 知ってる通り、もう普通じゃない」
駆は言い返したそうな顔をしたが事情が事情だ。駆は二人にとって親友かもしれないがそれでも普通の人だ。できることは少ないし、危険の方が大きい。
駆は納得したようで、弱々しく頷いた。
「ありがと」
そう言って立ち上がる。決意を胸に、まっすぐと前を見る。
突如として現れた悪魔召喚師の存在。その裏に潜むリング・オブ・オーダーの脅威。否が応にも感じる予感に自然と身構える。無意識に拳が握られる。
新たな戦いが、始まろうとしていた。
*
翌日、俺は学校に向かっていた。昨夜はあれから解散となり駆は俺が家まで見送った。さすがに一人で帰すのは危険だからな。道中会話らしいやり取りはなく別れ際に会釈されたくらいだ。相当落ち込んでいるようだった。
とはいえまずはやるべきことをしないとな。俺は学校に着くなり自分の教室ではなく一花の教室に向かっていく。彼女から話を聞くのは昨夜決めていたことだ。まずは彼女から話を聞かなくては。
教室の扉を開ける。しかしまだ彼女は来ていないようだ。そのまま待ってはみたが彼女が来る様子はない。今日は来ないのだろうか。それも当然か。顔は割れているんだ、みすみす来ることもない。
自分の教室に入る。席に荷物を置き隣の席を見る。駆はまだ来ていないようだ。
不安な気持ちが広がる。昨日が昨日だから駆も今日は休みなのかもしれない。
「なにもないといいんだけどな」
廊下の窓を開け外を見下ろしてみる。そこに駆の姿を探してみるが当然のこと見当たらない。
「…………」
正直、心配だ。だが見つからないのなら仕方がない。教室に戻るか。
「ん?」
が、聞こえてくる音色があった。遠いのかかすかに聞こえる程度だが、それは外から聞こえてくる。
「屋上か?」
俺の教室は三階だ、ここより上となると屋上しかない。誰かいるんだろうか?
俺は階段を上り屋上へ続く扉を開けてみた。
外の空気と白い雲が浮かぶ青空が迎える。もうすぐチャイムが鳴る今ここにいるのは俺と演奏している本人だけだ。
頭上に広がる晴天に一つの音色が流れる。どこか寂しげな音であり、同時に心を慰めるような音だ。
「駆……」
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