セブンスソード
42
それを見ていた一花は訳が分からない。
今の間だけでこの男は何体の悪魔を倒した? なによりその能力だ。いったいいくつ能力を持っている? しかもそのどれもがレベルが高い。
見ていて分かる。
剣島聖治。この男は、強い。最初戦った時とは比べ物にならない。
「どういうことだッ」
さきほどまで平然を貫いていた秋和が初めて動揺している。それだけ聖治の能力と存在に危機感を抱いている。
秋和は口元に手を当て思案する仕草を見せる。
「この事態は観測になかった」
それでも状況を分析している、彼も異端に身を置く者。聖治の力を見ても取り乱すことはしない。
「悪魔召喚師ではないな。まさか、この儀式に部外者が紛れ込むとは」
手を下ろす。片手を横に切り召喚していた悪魔を消していく。
「秩序を脅かすものは許されない、それが誰であろうとも」
その後秋和の足元に魔法陣が描かれていった。漏れる赤い光に照らされる。
「お前は俺の敵のようだ」
そう言った後魔法陣と共に秋和は消えていった。彼がいた痕跡はどこにもない。
「逆召喚(リバース・サモン)。召喚師が悪魔を呼ぶのではなく、悪魔が召喚師を呼んだってわけ」
一花の言う通り召喚師が魔法陣で転送されたのだからそうなる。
戦いは終わった。そのことに一花は全身から力が抜けていった。初めてではないにしても本気の実戦。死を予感させる場面もあった。
それらは終わり敵であった秋和は撤退している。なら自分もここにいる理由はないのだが。
一花は聖治を見た。
「あんた、どうして私の時本気で戦わなかったの?」
問題はこの男だ。敵なのか味方なのかイマイチ分からない。それが返って不気味だ。
「練習だったんだろ。なら本気でやるわけないだろ」
「あんたねえ」
「それに」
なんだろうか。続きを待つ。
「いきなり、本気で女の子に斬りかかるのもどうかと思ってな」
「ちッ」
舐められてる。だが言い返すことが出来ない。それが悔しい。
足音が聞こえる。見れば駆がこちらに向かっていた。そのまま彼女の前に立つ。
「駆」
感情の整理がついていない顔で見つめてくる。その後ポケットに手を入れた。
「見たでしょう」
それを遮るように一花は話した。
「私はね、もうあんたが知ってる私じゃないの。普通じゃないの」
そう言って一花はガミジンに視線で合図を送る。それを受けガミジンは闇を展開した。先にガミジンが入り一花も歩いていく。駆に背を向ける。
その手を駆は握った。ここで行かせてしまえば次いつ会えるか分からない。なにより離れたくない。言葉で言われなくても行動で伝わってくる。
しかし一花は振り返らなかった。
「あんたはこっち側じゃない。命を賭けて戦う願いもないでしょう」
そう言って腕を振り解いた。
闇の中に入る。入口が閉じていく中、横顔だけ振り返る。
「だからもう、関わらないで」
完全に闇が閉じる。その後闇自体も消えていった。同時に赤い世界も消えていき元の世界に戻る。
止められなかった。彼女は駆を残して行ってしまった。そのことに駆は深く落ち込み伸ばしていた手を握りしめ胸に当てていた。
「駆……」
そんな彼を、聖治は見ていることしかできない。励ます言葉も浮かばない。そんなものをかけたところで彼女が戻ってくるわけじゃないんだ、駆の気持ちを救えるわけじゃない。
駆のことは辛い。だがそれ以上に重要なのはこれからだ。悪魔召喚師に襲われたことはあるが今回は二人、その二人が戦っていたのだ。なにかが起きているのは間違いない。
聖治はポケットからスマホを取り出した。
通話のボタン。その上に指を合わせる。だがすぐに指は動かない。どうしても躊躇ってしまう。
聖治は振り返り駆を見る。
『それでも、会うべきだと思う』
彼の言葉を思い出し聖治は再びスマホを見た。
「……躊躇ってる場合じゃないか」
が、決心した。
聖治は通話のボタンを押しスマホを耳に当てる。数回のコールの後通話は繋がった。
『もしもし!?』
繋がるなり大声が聞こえてくる。この声を聞くのもずいぶん久しぶりに感じる。
会いたくても会えないと、ずっと我慢していたから。
「もしもし、香織か?」
通話から聞こえる香織の声。それだけで表情が柔らかくなってくる。
『聖治君! よかった、ずっと返事待ってたんだよ?』
聖治は笑みを浮かべるが香織も声のテンションが高い。彼から電話をしてくれたことがよっぽど嬉しいようだ。その反応がまた愛らしい。
だが聖治は表情を引き締める。
「実は話があるんだ」
『うんうん! 私なんっでもいいよ! なんでも聞いちゃう~』
「今、悪魔召喚師と戦った」
『……え。え!?』
その声が一瞬固まった。
「香織」
彼女の戸惑いを無視して続ける。今起こったことを伝えなくてはならない。
「力を貸してくれ。俺たちが思っている以上に、やつらは現代でも活動している」
今の間だけでこの男は何体の悪魔を倒した? なによりその能力だ。いったいいくつ能力を持っている? しかもそのどれもがレベルが高い。
見ていて分かる。
剣島聖治。この男は、強い。最初戦った時とは比べ物にならない。
「どういうことだッ」
さきほどまで平然を貫いていた秋和が初めて動揺している。それだけ聖治の能力と存在に危機感を抱いている。
秋和は口元に手を当て思案する仕草を見せる。
「この事態は観測になかった」
それでも状況を分析している、彼も異端に身を置く者。聖治の力を見ても取り乱すことはしない。
「悪魔召喚師ではないな。まさか、この儀式に部外者が紛れ込むとは」
手を下ろす。片手を横に切り召喚していた悪魔を消していく。
「秩序を脅かすものは許されない、それが誰であろうとも」
その後秋和の足元に魔法陣が描かれていった。漏れる赤い光に照らされる。
「お前は俺の敵のようだ」
そう言った後魔法陣と共に秋和は消えていった。彼がいた痕跡はどこにもない。
「逆召喚(リバース・サモン)。召喚師が悪魔を呼ぶのではなく、悪魔が召喚師を呼んだってわけ」
一花の言う通り召喚師が魔法陣で転送されたのだからそうなる。
戦いは終わった。そのことに一花は全身から力が抜けていった。初めてではないにしても本気の実戦。死を予感させる場面もあった。
それらは終わり敵であった秋和は撤退している。なら自分もここにいる理由はないのだが。
一花は聖治を見た。
「あんた、どうして私の時本気で戦わなかったの?」
問題はこの男だ。敵なのか味方なのかイマイチ分からない。それが返って不気味だ。
「練習だったんだろ。なら本気でやるわけないだろ」
「あんたねえ」
「それに」
なんだろうか。続きを待つ。
「いきなり、本気で女の子に斬りかかるのもどうかと思ってな」
「ちッ」
舐められてる。だが言い返すことが出来ない。それが悔しい。
足音が聞こえる。見れば駆がこちらに向かっていた。そのまま彼女の前に立つ。
「駆」
感情の整理がついていない顔で見つめてくる。その後ポケットに手を入れた。
「見たでしょう」
それを遮るように一花は話した。
「私はね、もうあんたが知ってる私じゃないの。普通じゃないの」
そう言って一花はガミジンに視線で合図を送る。それを受けガミジンは闇を展開した。先にガミジンが入り一花も歩いていく。駆に背を向ける。
その手を駆は握った。ここで行かせてしまえば次いつ会えるか分からない。なにより離れたくない。言葉で言われなくても行動で伝わってくる。
しかし一花は振り返らなかった。
「あんたはこっち側じゃない。命を賭けて戦う願いもないでしょう」
そう言って腕を振り解いた。
闇の中に入る。入口が閉じていく中、横顔だけ振り返る。
「だからもう、関わらないで」
完全に闇が閉じる。その後闇自体も消えていった。同時に赤い世界も消えていき元の世界に戻る。
止められなかった。彼女は駆を残して行ってしまった。そのことに駆は深く落ち込み伸ばしていた手を握りしめ胸に当てていた。
「駆……」
そんな彼を、聖治は見ていることしかできない。励ます言葉も浮かばない。そんなものをかけたところで彼女が戻ってくるわけじゃないんだ、駆の気持ちを救えるわけじゃない。
駆のことは辛い。だがそれ以上に重要なのはこれからだ。悪魔召喚師に襲われたことはあるが今回は二人、その二人が戦っていたのだ。なにかが起きているのは間違いない。
聖治はポケットからスマホを取り出した。
通話のボタン。その上に指を合わせる。だがすぐに指は動かない。どうしても躊躇ってしまう。
聖治は振り返り駆を見る。
『それでも、会うべきだと思う』
彼の言葉を思い出し聖治は再びスマホを見た。
「……躊躇ってる場合じゃないか」
が、決心した。
聖治は通話のボタンを押しスマホを耳に当てる。数回のコールの後通話は繋がった。
『もしもし!?』
繋がるなり大声が聞こえてくる。この声を聞くのもずいぶん久しぶりに感じる。
会いたくても会えないと、ずっと我慢していたから。
「もしもし、香織か?」
通話から聞こえる香織の声。それだけで表情が柔らかくなってくる。
『聖治君! よかった、ずっと返事待ってたんだよ?』
聖治は笑みを浮かべるが香織も声のテンションが高い。彼から電話をしてくれたことがよっぽど嬉しいようだ。その反応がまた愛らしい。
だが聖治は表情を引き締める。
「実は話があるんだ」
『うんうん! 私なんっでもいいよ! なんでも聞いちゃう~』
「今、悪魔召喚師と戦った」
『……え。え!?』
その声が一瞬固まった。
「香織」
彼女の戸惑いを無視して続ける。今起こったことを伝えなくてはならない。
「力を貸してくれ。俺たちが思っている以上に、やつらは現代でも活動している」
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