セブンスソード
31
彼女の言う通り中庭には俺たち以外おらずき距離を取って向き合う。ピリピリとした緊張感が辺りに漂い今にも戦闘が始まりそうなくらいだ。
「これから用事があるから手短にして欲しいんだけど」
「ならキャンセルしときな、逃げれるとでも思ったか?」
「ふーん」
俺の反応に彼女は気のない声を返す。
「好戦的ね。そんなに戦いたいの?」
「襲ってきたのはそっちだろ。戦いたいんじゃない、警戒してるだけだ」
「あっそ」
彼女は今すぐ戦うつもりはないらしい。前出会った時のような戦意は感じられない。むしろ彼女の言う通り俺の方が好戦的なくらいだ。それは警戒しているのもあるし駆のことに腹が立っているというのもある。
「意外だったよ、こんな近くに悪魔召喚師がいたなんてな」
「じゃああんたの存在は意外じゃないって?」
「そう言うつもりはないが」
実際俺も相当異質であることは確かだ。とはいえこいつみたいに誰かを襲ったりはしない。
「名前はなんていうんだ?」
「一花。相川一花よ」
「一花か」
「あんたは?」
「剣島聖治。それで、お前たちの目的は? なにをするつもりなんだ?」
「ふん」
聞いてみるが相川は小馬鹿にしたように笑う。
「前にも言ったでしょ、それで答えると思う? それともなに、ホントにここで戦うつもり? まだ人はいるわよ?」
見なくても分かる。校舎からはまだ生徒の話し声が聞こえている。悔しいが戦って吐かせようにもここでは無理だ。
「どうして悪魔と契約を? どこでそれを知ったんだ」
「だから」
「言えよ」
だが俺だってここで引き下がる気はない。俺を襲ってきた悪魔召喚師が目の前にいるんだ、見逃す理由もない。
「…………」
「…………」
にらみ合いが続く。
「願いを、叶えるためよ」
「願い?」
一花が喋った。その声は抑えられていたが並々ならぬ決意を感じさせる。
「願いって?」
「それはプライベート。言わなくてもいいでしょ」
まあ、そう言われればそうだが。
「どうやって願いを叶えるつもりだ」
願いといってもいろいろある。その手段が悪魔を使うことが問題だ。
「だいたい察しはつくでしょ。悪魔を使うには生け贄がいる。命がいるのよ」
「それって」
緊張が一層高まる。彼女の言うことに神経が集中していく。
「人を殺す。その命を捧げるのよ」
「!?」
彼女の言葉に固まる。今なんて言った?
「お前……、自分がなにを言ってるのか分かってるのか!? 人を殺して願いを叶えるだと? ふざけるな!」
「ふざけてなんていないわ」
怒鳴るが一花は怯むどころか気丈にも言い返してくる。
なんでそんな平然としていられる? 人を殺すんだぞ? 自分の願いを叶えたいからってそれで人を殺すなんて間違っている!
「それで犠牲になった人はどうなる? お前は人の命をなんだと思っているんだッ?」
「人の命?」
一花の表情に小さなヒビが入る。
「じゃあ聞くけどさ、あんたにとって人の命ってなんなの? それって大事なものなの? 貴重で尊くてなにものにも替えられないほどのものなの? どんなに辛くても、手放さないほどのものなの?」
今まで平静だった一花の表情に熱が込み入っていく。それは静かに上昇していく。
「言いなさいよ」
彼女から、吹き上がるほどの怒りを覚える。
「そんなわけないでしょ。誰も言わないけどね、大事な命は自分だけ。他人の命なんて時と場合によってはすぐに捨て去るほどのものなのよ。それだけの価値しかないの!」
感情が言葉に乗せられてぶつけられる。
「これから用事があるから手短にして欲しいんだけど」
「ならキャンセルしときな、逃げれるとでも思ったか?」
「ふーん」
俺の反応に彼女は気のない声を返す。
「好戦的ね。そんなに戦いたいの?」
「襲ってきたのはそっちだろ。戦いたいんじゃない、警戒してるだけだ」
「あっそ」
彼女は今すぐ戦うつもりはないらしい。前出会った時のような戦意は感じられない。むしろ彼女の言う通り俺の方が好戦的なくらいだ。それは警戒しているのもあるし駆のことに腹が立っているというのもある。
「意外だったよ、こんな近くに悪魔召喚師がいたなんてな」
「じゃああんたの存在は意外じゃないって?」
「そう言うつもりはないが」
実際俺も相当異質であることは確かだ。とはいえこいつみたいに誰かを襲ったりはしない。
「名前はなんていうんだ?」
「一花。相川一花よ」
「一花か」
「あんたは?」
「剣島聖治。それで、お前たちの目的は? なにをするつもりなんだ?」
「ふん」
聞いてみるが相川は小馬鹿にしたように笑う。
「前にも言ったでしょ、それで答えると思う? それともなに、ホントにここで戦うつもり? まだ人はいるわよ?」
見なくても分かる。校舎からはまだ生徒の話し声が聞こえている。悔しいが戦って吐かせようにもここでは無理だ。
「どうして悪魔と契約を? どこでそれを知ったんだ」
「だから」
「言えよ」
だが俺だってここで引き下がる気はない。俺を襲ってきた悪魔召喚師が目の前にいるんだ、見逃す理由もない。
「…………」
「…………」
にらみ合いが続く。
「願いを、叶えるためよ」
「願い?」
一花が喋った。その声は抑えられていたが並々ならぬ決意を感じさせる。
「願いって?」
「それはプライベート。言わなくてもいいでしょ」
まあ、そう言われればそうだが。
「どうやって願いを叶えるつもりだ」
願いといってもいろいろある。その手段が悪魔を使うことが問題だ。
「だいたい察しはつくでしょ。悪魔を使うには生け贄がいる。命がいるのよ」
「それって」
緊張が一層高まる。彼女の言うことに神経が集中していく。
「人を殺す。その命を捧げるのよ」
「!?」
彼女の言葉に固まる。今なんて言った?
「お前……、自分がなにを言ってるのか分かってるのか!? 人を殺して願いを叶えるだと? ふざけるな!」
「ふざけてなんていないわ」
怒鳴るが一花は怯むどころか気丈にも言い返してくる。
なんでそんな平然としていられる? 人を殺すんだぞ? 自分の願いを叶えたいからってそれで人を殺すなんて間違っている!
「それで犠牲になった人はどうなる? お前は人の命をなんだと思っているんだッ?」
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「じゃあ聞くけどさ、あんたにとって人の命ってなんなの? それって大事なものなの? 貴重で尊くてなにものにも替えられないほどのものなの? どんなに辛くても、手放さないほどのものなの?」
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「言いなさいよ」
彼女から、吹き上がるほどの怒りを覚える。
「そんなわけないでしょ。誰も言わないけどね、大事な命は自分だけ。他人の命なんて時と場合によってはすぐに捨て去るほどのものなのよ。それだけの価値しかないの!」
感情が言葉に乗せられてぶつけられる。
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