セブンスソード

奏せいや

第二章 新たな脅威 20

 第二章 新たな脅威

 後悔が、私の心を蝕んでいく。
 なぜ。
 なぜ。
 なぜ。
 止まらない自問と、止まらない自責が私を追いつめる。
 忘れることが出来れば楽なのだろうけれど。
 割り切ることが出来れば助かるのだろうけれど。
 だけど、そんなことはできない。
 泣いて、泣いて、泣いて。
 苦しんで、悲しんで、後悔して。
 それでも変わらない現実に私の心が絶望していく。
 だけど。
 私の心は息を吹き返す。
 ごめんね。ごめんね。私は私を許せない。
 だからこそ。
 大丈夫。今度こそ。
 私は望んだ。望んだのだ。そのための決意はある。迷いなどなかった。絶望に屈する私はもういない。
 私は歩き出した。たった一つの希望を目指して。そのためにすべてを失おうとも。
 私は望んだ。
 それ以外は、なにもいらない。



 みんなと別れた後、通学路を一人で歩いている。

 俺は、なにをしているんだ。なんでスパーダを出したりした? そうすればみんなに迷惑をかけるだけなのに。

 でも、もしあれが悪魔だったとしたら。

 分からない。なにが正しかったのか。

 ただ俺が感じているもの。

 いつ襲われるか分からない、そんな漠然とした恐怖だけが体を包んでいる。

「…………」

 足下を見つめながら歩いていく。

 その、時だった。

「ん?」

 空が、一瞬で赤に染まったのだ。

「なに!?」

 なんだ、これは? 夕日? 違う。夕焼けのオレンジなんかよりもなお濃い、本当に赤色の空だ。どうなっているんだ?

 そこで道の中央に目が止まる。そこには一人の女の子が立っていた。いつの間に。さっきまでここには俺しかいなかったはずだ。

 彼女は赤い長髪をしており英文がプリントされた白のTシャツにホットパンツを履いている。年齢は俺と同じくらいだ。

 その子が俺をじっと見つめる。こんな異常事態なのにその子は慌てるどころか気にする素振りもない。

 明らかに普通じゃない。

 異能の世界(こっち)側だ。

 突然起こった世界の異変。謎の少女。本来なら慌てる状況のはずなのに、反対に落ち着き始めている自分に気づく。

 勘違いでも早とちりでもない。本当の異常。それが起きたんだ。

「俺になんの用だ」

 警戒する。いつでもスパーダを出せるよう意識しておく。

「へえ、ずいぶん冷静じゃん。やっぱり普通じゃないね」

 それは彼女も同じらしく敵意を隠しもせず見せてくる。それよりも今彼女が言った言葉。

「やっぱり?」

 俺のことを知っているのか?

「見ちゃったんだよね」

 彼女が不敵に笑う。

「あんた、さっき剣出したよね? なにもない場所から一瞬で」
「…………」

 見られていたのか。まずいな、どうする。

「大丈夫大丈夫、、別に誰かに言おうとか思ってないから」

 心配するが彼女は手を振っている。剣を出すなんてかなり普通じゃないがそこは気にしていないのか? まるで気に留めていないようだ。

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