セブンスソード
238
「香織!」
よかった、目を覚ましたのか。まだぼんやりとしているが俺を見つけるなり飛び上がる。
「聖治君!」
「駄目だ、来るな香織!」
香織が駆け寄ってくる。俺は駄目だと言ったが止まらない。
そのまま香織は走り、俺を通り過ぎて行った。
「え?」
正面を向く。香織は悪魔に駆け寄ると肩に触れ顔をのぞき込んでいた。
「聖治君、もういい。もう戦わなくていいんだよ!」
「グ、ウウ……」
俺じゃなく、香織は悪魔の方を心配している。
「聖治君、私を見て」
「グウウ!」
悪魔は立ち上がり体をねじり始めた。後ろに数歩下がり、頭を両手で抱えている。
「聖治君!」
「グアアアア!」
追いかけようと香織も立ち上がる。だが悪魔の体から突風とともにカリギュラが放たれると香織は吹き飛ばされてしまった。
「香織!」
くそ! まずはあの悪魔を倒さないと。香織があぶない!
俺は走りスパーダに念じた。
「天黒魔!」
ホーリーカリスが紫に輝く。その刀身でカリギュラを切り裂き道を作る。
闇の切れ目を走っていく。悪魔の周囲はスパーダが竜巻のように回転し来るものを阻んでいる。
「ドウシテ」
その中心で、悪魔が叫んでいた。
「ナンデ、オレバカリガコンナメニアワナクチャナラナイ」
うめき声に混ざって、悪魔の言葉が聞こえてくる。
「ドウシテ、ヒトリデタタカワナクチャナラナイ」
悪魔は完全に暴走していた。コンビネーションを無くした暴力が渦巻いている。その一つ一つが猛威となって襲ってくる。
「スベテガイヤダッタ。スベテガクルシカッタ。スベテガニクカッタ」
その嵐の中を踏破していく。一歩ずつ近づいていく。
その度に、悪魔の想いが一層強く叩きつけられる。
怒り、憎しみ。悲しみ。すべてが一つになって、ぶつけられる!
「モウイヤダ!」
悪魔が叫ぶ。俺は接近するもグランの斥力で跳ね返されてしまう。
「くそ!」
何度でも挑戦してやる。俺は再び走った。飛んでくるスパーダを防ぎ、かわし、なお前進する。
「ソレデモ……キミダケハ……」
時間がない。
行くしかない!
俺は地面を蹴り宙を跳んだ。悪魔のはるか頭上までいくとグランの重力で一気に降下する。
悪魔のスパーダもそれに反応し俺を迎撃するために迫り来る。俺はスパーダをディンドランに切り替え弾いていく。そのまま悪魔を目指した。
「うおおおおお!」
スパーダをパーシヴァルに変え、悪魔も黄色いスパーダを手に取った。同時にスパーダを突き出す。
俺と悪魔、二人のスパーダが相手を突き刺した。
「カオリ……」
腹にスパーダが突き刺さる。俺のスパーダは悪魔の胸を刺し、悪魔にぶつかった後地面に着地した。剣を引き抜き、後ずさる。
「聖治君!」
俺たちに向かって香織が叫ぶ。
「がああ!」
激痛が頭を飽和させる。すぐさにディンドランで治療する。傷口を桃色の光が覆い痛みが和らいでいく。ピンク色のホーリーカリスを地面に突き立て体を支えた。
だが、悪魔にそれはできない。
悪魔は胸に穴を開けたままその場に両膝をついた。浮かんでいたスパーダも地面に落ちていく。
悪魔の体が黒い灰のように宙に散り始めていく。そのまま後ろに体が傾いていき、地面に倒れた。体は失われていき最後の欠片も宙へと消えていく。
倒れた場所には、悪魔の魂だけが浮かんでいた。
俺は近づき、その光に手を伸ばす。スパーダを得た時と同じようにその光は俺の体に溶け込み一つとなっていった。
よかった、目を覚ましたのか。まだぼんやりとしているが俺を見つけるなり飛び上がる。
「聖治君!」
「駄目だ、来るな香織!」
香織が駆け寄ってくる。俺は駄目だと言ったが止まらない。
そのまま香織は走り、俺を通り過ぎて行った。
「え?」
正面を向く。香織は悪魔に駆け寄ると肩に触れ顔をのぞき込んでいた。
「聖治君、もういい。もう戦わなくていいんだよ!」
「グ、ウウ……」
俺じゃなく、香織は悪魔の方を心配している。
「聖治君、私を見て」
「グウウ!」
悪魔は立ち上がり体をねじり始めた。後ろに数歩下がり、頭を両手で抱えている。
「聖治君!」
「グアアアア!」
追いかけようと香織も立ち上がる。だが悪魔の体から突風とともにカリギュラが放たれると香織は吹き飛ばされてしまった。
「香織!」
くそ! まずはあの悪魔を倒さないと。香織があぶない!
俺は走りスパーダに念じた。
「天黒魔!」
ホーリーカリスが紫に輝く。その刀身でカリギュラを切り裂き道を作る。
闇の切れ目を走っていく。悪魔の周囲はスパーダが竜巻のように回転し来るものを阻んでいる。
「ドウシテ」
その中心で、悪魔が叫んでいた。
「ナンデ、オレバカリガコンナメニアワナクチャナラナイ」
うめき声に混ざって、悪魔の言葉が聞こえてくる。
「ドウシテ、ヒトリデタタカワナクチャナラナイ」
悪魔は完全に暴走していた。コンビネーションを無くした暴力が渦巻いている。その一つ一つが猛威となって襲ってくる。
「スベテガイヤダッタ。スベテガクルシカッタ。スベテガニクカッタ」
その嵐の中を踏破していく。一歩ずつ近づいていく。
その度に、悪魔の想いが一層強く叩きつけられる。
怒り、憎しみ。悲しみ。すべてが一つになって、ぶつけられる!
「モウイヤダ!」
悪魔が叫ぶ。俺は接近するもグランの斥力で跳ね返されてしまう。
「くそ!」
何度でも挑戦してやる。俺は再び走った。飛んでくるスパーダを防ぎ、かわし、なお前進する。
「ソレデモ……キミダケハ……」
時間がない。
行くしかない!
俺は地面を蹴り宙を跳んだ。悪魔のはるか頭上までいくとグランの重力で一気に降下する。
悪魔のスパーダもそれに反応し俺を迎撃するために迫り来る。俺はスパーダをディンドランに切り替え弾いていく。そのまま悪魔を目指した。
「うおおおおお!」
スパーダをパーシヴァルに変え、悪魔も黄色いスパーダを手に取った。同時にスパーダを突き出す。
俺と悪魔、二人のスパーダが相手を突き刺した。
「カオリ……」
腹にスパーダが突き刺さる。俺のスパーダは悪魔の胸を刺し、悪魔にぶつかった後地面に着地した。剣を引き抜き、後ずさる。
「聖治君!」
俺たちに向かって香織が叫ぶ。
「がああ!」
激痛が頭を飽和させる。すぐさにディンドランで治療する。傷口を桃色の光が覆い痛みが和らいでいく。ピンク色のホーリーカリスを地面に突き立て体を支えた。
だが、悪魔にそれはできない。
悪魔は胸に穴を開けたままその場に両膝をついた。浮かんでいたスパーダも地面に落ちていく。
悪魔の体が黒い灰のように宙に散り始めていく。そのまま後ろに体が傾いていき、地面に倒れた。体は失われていき最後の欠片も宙へと消えていく。
倒れた場所には、悪魔の魂だけが浮かんでいた。
俺は近づき、その光に手を伸ばす。スパーダを得た時と同じようにその光は俺の体に溶け込み一つとなっていった。
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