セブンスソード
220
そうだよな、みんなは見てるだけだったんだ、そりゃあ心配だよな。
「大丈夫だ、もう終わったよ」
「ほんとに!?」
日向ちゃんが興奮した様子で駆け寄ってくる。
「ああ、ほんとだ。セブンスソードは終わったんだ」
「よかった~」
日向ちゃんの心底安心した顔を見ると俺も表情が緩くなってくる。もう自分たちで殺し合う必要がないんだ、ほんとうによかった。
後から此方が歩いてくる。日向の肩に手を置き微笑んだ顔を見せてくれた。
「やったわね」
「ああ、なんとかな」
此方のほっとした表情に俺も同じ表情で答える。
「終わった。よかったんだな~」
「おう、まだまだやることはあるがなんとか最初の難関突破ってことだからな」
力也と星都もうれしそうだ。
そこで香織が近づいてきた。
「やったね、聖治君」
彼女が浮かべる嬉しそうな顔。それを見て俺の胸の中にあった喜びがさらに大きくなっていく。
彼女を守る。そう決意した日から始まった。
そして今、彼女は俺の目の前にいる。無事な姿、笑顔のままで。
「香織」
俺が守りたかったものが、こうしていることがすごく嬉しい。本当に。
「聖治君が最後まで信じたからこそできたことだと思う」
真っ直ぐと俺を見る香織の瞳。可愛らしい目が見上げている。
「ありがとう。やっぱり聖治君はすごいね」
その言葉だけで、今までの苦労が全部報われていく。頑張ってきてよかった。諦めなくて、本当によかった。
「ううん、みんながいてくれたから頑張ってこれたんだ。みんながいなければ俺は駄目だったよ。特に香織。君がいてくれたから。君が支えてくれたから俺は頑張ってこれたんだ。ありがとう。感謝するのは俺の方さ」
一番大切な人に一番支えられてきた。彼女が一緒じゃなければ俺は間違いなく道を踏み外したまま諦めていた。みんなを救うことなんて早々に見切りをつけて、こんな未来はなかった。
「みんなも辛い思いをしたもんね。でも、こうしてここにいられるのはやっぱり聖治君が頑張ってくれたからだよ。私は知ってるから。聖治君がたった一人でも頑張って、誰よりも傷ついて、悲しんで、それでも諦めずに頑張ってくれたこと」
それを踏まえた上で、なお香織はそう言ってくれた。
香織が腕を回してくる。抱きしめられて、体が密着する。
「ありがとう。言葉にしきれないほど聖治君には感謝してる。それをもっと誇っていい。聖治君は、すごいことをしたんだよ」
「香織」
「本当は私がもっと頑張ってあげられたらよかったんだけど、聖治君にほとんど任せっきりで」
「そんなことない!」
そう言って俺も彼女を抱きしめる。
「俺が、君にどれだけ救われたか。言葉にしきれないほど感謝しているんだ、香織」
この気持ちを表現できる方法なんて浮かばない。言葉をどれだけ繰り出しても気持ちの十分の一も伝えられない。それくらい、香織がそばにいてくれたことは嬉しかった。
香織が体を離す。そのまま俺を見つめてきた。
「一緒だね」
そう言ってニコッと笑う。はにかんだ笑みが可愛い。桃色の髪と相まって明るく見える。
「そうだな」
「うん」
好きな人が笑っている。そんな姿を見られるだけで胸が温かくなっていく。
本当に、よかった。
回していた腕を解きふと隣を見る。そこには星都や力也、日向ちゃんや此方が俺たちを見つめていた。それに気付いて香織は恥ずかしそうに俯く。
「なんだよ!?」
そう言うと一斉に顔を逸らし別のことを話し出していた。まったく。
みんなはいつもの調子だが、そこで俺は気になって兄さんに顔を向けてみる。
ビルの屋上の端、フェンスの前に立って夜景を見つめていた。さすがにこの中にいきなり馴染むのは難しいよな。あの性格だし。
すると兄さんは歩き始めてしまった。
「ちょっと待ってくれよ!」
慌てて駆け寄る。なにも言わずどこかに行く気かよ。
「どこに行くんだ?」
兄さんは足を止めてくれたが振り返らない。
「これからは一緒にいられるんだろ? こうして記憶も取り戻せたしようやくまともに出会えたんだ。今まで離ればなれだったんだしさ、その分これからはそばにいよう」
またこの人と離れるなんてそんなことないだろ。以前みたいな状況ならともかく今は違う。
「大丈夫だ、もう終わったよ」
「ほんとに!?」
日向ちゃんが興奮した様子で駆け寄ってくる。
「ああ、ほんとだ。セブンスソードは終わったんだ」
「よかった~」
日向ちゃんの心底安心した顔を見ると俺も表情が緩くなってくる。もう自分たちで殺し合う必要がないんだ、ほんとうによかった。
後から此方が歩いてくる。日向の肩に手を置き微笑んだ顔を見せてくれた。
「やったわね」
「ああ、なんとかな」
此方のほっとした表情に俺も同じ表情で答える。
「終わった。よかったんだな~」
「おう、まだまだやることはあるがなんとか最初の難関突破ってことだからな」
力也と星都もうれしそうだ。
そこで香織が近づいてきた。
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そして今、彼女は俺の目の前にいる。無事な姿、笑顔のままで。
「香織」
俺が守りたかったものが、こうしていることがすごく嬉しい。本当に。
「聖治君が最後まで信じたからこそできたことだと思う」
真っ直ぐと俺を見る香織の瞳。可愛らしい目が見上げている。
「ありがとう。やっぱり聖治君はすごいね」
その言葉だけで、今までの苦労が全部報われていく。頑張ってきてよかった。諦めなくて、本当によかった。
「ううん、みんながいてくれたから頑張ってこれたんだ。みんながいなければ俺は駄目だったよ。特に香織。君がいてくれたから。君が支えてくれたから俺は頑張ってこれたんだ。ありがとう。感謝するのは俺の方さ」
一番大切な人に一番支えられてきた。彼女が一緒じゃなければ俺は間違いなく道を踏み外したまま諦めていた。みんなを救うことなんて早々に見切りをつけて、こんな未来はなかった。
「みんなも辛い思いをしたもんね。でも、こうしてここにいられるのはやっぱり聖治君が頑張ってくれたからだよ。私は知ってるから。聖治君がたった一人でも頑張って、誰よりも傷ついて、悲しんで、それでも諦めずに頑張ってくれたこと」
それを踏まえた上で、なお香織はそう言ってくれた。
香織が腕を回してくる。抱きしめられて、体が密着する。
「ありがとう。言葉にしきれないほど聖治君には感謝してる。それをもっと誇っていい。聖治君は、すごいことをしたんだよ」
「香織」
「本当は私がもっと頑張ってあげられたらよかったんだけど、聖治君にほとんど任せっきりで」
「そんなことない!」
そう言って俺も彼女を抱きしめる。
「俺が、君にどれだけ救われたか。言葉にしきれないほど感謝しているんだ、香織」
この気持ちを表現できる方法なんて浮かばない。言葉をどれだけ繰り出しても気持ちの十分の一も伝えられない。それくらい、香織がそばにいてくれたことは嬉しかった。
香織が体を離す。そのまま俺を見つめてきた。
「一緒だね」
そう言ってニコッと笑う。はにかんだ笑みが可愛い。桃色の髪と相まって明るく見える。
「そうだな」
「うん」
好きな人が笑っている。そんな姿を見られるだけで胸が温かくなっていく。
本当に、よかった。
回していた腕を解きふと隣を見る。そこには星都や力也、日向ちゃんや此方が俺たちを見つめていた。それに気付いて香織は恥ずかしそうに俯く。
「なんだよ!?」
そう言うと一斉に顔を逸らし別のことを話し出していた。まったく。
みんなはいつもの調子だが、そこで俺は気になって兄さんに顔を向けてみる。
ビルの屋上の端、フェンスの前に立って夜景を見つめていた。さすがにこの中にいきなり馴染むのは難しいよな。あの性格だし。
すると兄さんは歩き始めてしまった。
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慌てて駆け寄る。なにも言わずどこかに行く気かよ。
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「これからは一緒にいられるんだろ? こうして記憶も取り戻せたしようやくまともに出会えたんだ。今まで離ればなれだったんだしさ、その分これからはそばにいよう」
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