セブンスソード
138
「ごめん。でも」
だからなんだろうな。
「私はこのセブンスソードを戦う。あの子を守るんだって、そう決めたのよ」
やっぱり、こいつは恨めないわ。
「そうかよ。この、頑固女が。後悔しても知らないぞ」
「命乞いしても無駄よ。……ごめん」
会話は終わる。俺がどれだけ言葉を選び送り出そうと此方の決意という名の壁は越えれない。悔しいけど、一方でこいつらしいとも思う。
そんな俺に、此方はカリギュラを振り下ろした。最後まで震えた指で刀身が俺に迫る。
だが、俺はパーシヴァルを空間に出しそれを防ぐ。
「く!」
空間に突如現れたパーシヴァルに此方が驚いている。
剣を握る体力がなくてもスパーダを操るだけなら出来る。それでも全力で振り下ろされていたら弾かれていたかもしれないが、そんな震えた手じゃ力も入らない。
俺は此方の攻撃を防いだ後、ありったけの息を吸い込んだ。
俺が助かるにはこれしかない。そこにすべての願いを込めて、俺は叫ぶ。
「日向ちゃぁああん! 君のお姉ちゃんが人を殺そうとしているぞぉおおお!」
「な!?」
廊下中に俺の声が響き渡る。此方の動きが止まった。しばらくすると一枚の扉が勢いよく開けられる。
そこから出てきたのは、彼女の妹の日向ちゃんだった。
「お姉ちゃん!? なにしてるの!?」
「日向、これは……」
彼女の登場に此方が動揺している。
やっぱり日向ちゃんには隠していたか。これまでの世界で日向ちゃんが敵ならいざ知らず協力を求めてきている相手を返り討ちにしようとは思えないし、仮にそうなら自分も姉と一緒に出てくるはずだ。それがないということは此方の独断の公算大だと踏んでいたが、どうやら当たっていたようだ。
「お姉ちゃん、これは。うッ」
「あ!」
日向ちゃんが出てきたことで此方は慌ててカリギュラを停止する。それにより体力の減衰がなくなる。
「お姉ちゃん、これはどういうこと? なんでこんなことしてるの? それに私に相談もしてくれないなんて」
「それは、その……」
俺を切りつけている場面を日向ちゃんに見られ焦っている。カリギュラを出していたんだ、言い逃れもできない。
「くくく。ざまあみろシスコン女。大好きな妹に汚れ現場見られてどんな気持ちだよ?」
「きさまぁ」
「お姉ちゃん待って!」
俺に振り返る此方だが急いで日向ちゃんが止めてくれる。
俺は床に手をつき起き上がる。
「日向ちゃんは優しくて頼りになるよ。それに比べてお前は。猪突猛進なんだよ」
「なによ、あんたが私のなにが分かるって?」
「分かるよ。お前が、どれだけ日向ちゃんを大事に思ってるか。そして、本当はセブンスソードをとても恐れてるってこともな」
「な、に」
「お姉ちゃん」
「私はそんなこと思ってない!」
「強がるなよ。誰だって死ぬのは怖い。誰だってな」
そう、こんなツンケンしている此方だって心の底では恐れている。それを隠して強がっているだけだ。
誰だって死ぬのは怖い。そんなの、当たり前のことなんだ。
「二人は俺と初対面だろうが、俺は二人のことをよく知っているよ。そのことも含めて説明するから、棚から二番目の引き出しにある紅茶を出してくれないか。あと、チョコ菓子はたけのこの秘境に決まってるだろ」
*
それから俺は此方と日向ちゃんと話し事情を説明した。半信半疑というか明らかに困惑していたがそれもいつものことなので気にしない。
なんとか納得してもらいとりあえず広場にいるみんなと会ってもらうことにした。マンションの外に出て合流する。
「紹介するよ。彼女が沙城香織。こっちの白髪が皆森星都。で、こっちの大きい方が織田力也だ。三人ともセブンスソードに反対しているから怖がらなくていいよ。たとえるならプリンセスに悪いミッキー、でかいプーさんみたいなもんだ。どうだ、ディズニーランドに来たみたいだろ?」
「いや……」
「…………」
滑ったか。
だからなんだろうな。
「私はこのセブンスソードを戦う。あの子を守るんだって、そう決めたのよ」
やっぱり、こいつは恨めないわ。
「そうかよ。この、頑固女が。後悔しても知らないぞ」
「命乞いしても無駄よ。……ごめん」
会話は終わる。俺がどれだけ言葉を選び送り出そうと此方の決意という名の壁は越えれない。悔しいけど、一方でこいつらしいとも思う。
そんな俺に、此方はカリギュラを振り下ろした。最後まで震えた指で刀身が俺に迫る。
だが、俺はパーシヴァルを空間に出しそれを防ぐ。
「く!」
空間に突如現れたパーシヴァルに此方が驚いている。
剣を握る体力がなくてもスパーダを操るだけなら出来る。それでも全力で振り下ろされていたら弾かれていたかもしれないが、そんな震えた手じゃ力も入らない。
俺は此方の攻撃を防いだ後、ありったけの息を吸い込んだ。
俺が助かるにはこれしかない。そこにすべての願いを込めて、俺は叫ぶ。
「日向ちゃぁああん! 君のお姉ちゃんが人を殺そうとしているぞぉおおお!」
「な!?」
廊下中に俺の声が響き渡る。此方の動きが止まった。しばらくすると一枚の扉が勢いよく開けられる。
そこから出てきたのは、彼女の妹の日向ちゃんだった。
「お姉ちゃん!? なにしてるの!?」
「日向、これは……」
彼女の登場に此方が動揺している。
やっぱり日向ちゃんには隠していたか。これまでの世界で日向ちゃんが敵ならいざ知らず協力を求めてきている相手を返り討ちにしようとは思えないし、仮にそうなら自分も姉と一緒に出てくるはずだ。それがないということは此方の独断の公算大だと踏んでいたが、どうやら当たっていたようだ。
「お姉ちゃん、これは。うッ」
「あ!」
日向ちゃんが出てきたことで此方は慌ててカリギュラを停止する。それにより体力の減衰がなくなる。
「お姉ちゃん、これはどういうこと? なんでこんなことしてるの? それに私に相談もしてくれないなんて」
「それは、その……」
俺を切りつけている場面を日向ちゃんに見られ焦っている。カリギュラを出していたんだ、言い逃れもできない。
「くくく。ざまあみろシスコン女。大好きな妹に汚れ現場見られてどんな気持ちだよ?」
「きさまぁ」
「お姉ちゃん待って!」
俺に振り返る此方だが急いで日向ちゃんが止めてくれる。
俺は床に手をつき起き上がる。
「日向ちゃんは優しくて頼りになるよ。それに比べてお前は。猪突猛進なんだよ」
「なによ、あんたが私のなにが分かるって?」
「分かるよ。お前が、どれだけ日向ちゃんを大事に思ってるか。そして、本当はセブンスソードをとても恐れてるってこともな」
「な、に」
「お姉ちゃん」
「私はそんなこと思ってない!」
「強がるなよ。誰だって死ぬのは怖い。誰だってな」
そう、こんなツンケンしている此方だって心の底では恐れている。それを隠して強がっているだけだ。
誰だって死ぬのは怖い。そんなの、当たり前のことなんだ。
「二人は俺と初対面だろうが、俺は二人のことをよく知っているよ。そのことも含めて説明するから、棚から二番目の引き出しにある紅茶を出してくれないか。あと、チョコ菓子はたけのこの秘境に決まってるだろ」
*
それから俺は此方と日向ちゃんと話し事情を説明した。半信半疑というか明らかに困惑していたがそれもいつものことなので気にしない。
なんとか納得してもらいとりあえず広場にいるみんなと会ってもらうことにした。マンションの外に出て合流する。
「紹介するよ。彼女が沙城香織。こっちの白髪が皆森星都。で、こっちの大きい方が織田力也だ。三人ともセブンスソードに反対しているから怖がらなくていいよ。たとえるならプリンセスに悪いミッキー、でかいプーさんみたいなもんだ。どうだ、ディズニーランドに来たみたいだろ?」
「いや……」
「…………」
滑ったか。
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