セブンスソード
134
それから昼休憩になり俺たちはもう一度屋上に集まっていた。みんなで弁当なり売店のパンなりを食べているが星都が暗い顔でつぶやく。
「マジかよ……」
ヤキソバパンをかじりため息でも吐きそうだ。見れば力也も落ち込んでいるように弁当を食べている。とはいえ食欲は衰えていないようで手元には弁当が二つある。
二人にはあれからセブンスソードのことを説明した。実際にスパーダも見せたし、なにより香織もそれを証明したことが大きかった。否定しようのない現実に二人は戸惑っているがそこは納得してもらうしかない。
「なあ、もう一度聞くが、お前はその儀式を何度も繰り返してるって?」
「そうだよ。それだけ失敗してるってことだがな」
「そんなぁ」
「でも、今回は私がいる。きっと大丈夫だよ」
「ああ」
香織の言葉に大きく頷く。今までどうして失敗してきたのか。それは協力を得られなかったところが大きい。その壁が香織のおかげで大きく崩れた。
「約束するよ」
不安がっている二人へ向けて、俺は断言する。
「俺は、みんなを守る」
その言葉を言うことに、重みはあったが躊躇いはなかった。
かつての過ちが脳裏を過ぎる。
誰かだけを守ろうとして誰かを切り捨てた、それで俺は悲劇を起こしている。
そんなこともう二度としない。
「何度失敗してもだ」
それが、俺の守る覚悟だ。
「聖治君……」
俺の失態を知る香織が見つめてくる。あんなことはもうしない。それは宣誓のようなものだったのかもしれない。
すると香織が手を重ねてきた。
「大丈夫。もう、一人で抱え込まなくていいからね」
「……うん」
俺がそう言うと香織はニコっと笑った。今度は一緒に戦おう。そう言ってくれた時の温かさが胸に残っている。俺の手に置いてくれている彼女の小さな手の重みに安心感を覚えていく。
まるで、あの時と同じだ。
「分かったよ。正直分かってないけど分かったよ」
「言ってることはめちゃくちゃだが言いたいことは分かる」
「でだ、これからはどうするんだ?」
星都が聞いてくる。俺は顎に手を添える。
「そうだな。香織が覚えていてくれたのは大きな前進だが、状況的にはなにも変わっていないんだよな」
セブンスソードによる七人の殺し合い、逃げようとしても管理人に処刑される。こうした根本的な問題はなにも変わっていない。
「ただ、やることは変わらないと思ってる」
「と言うとぉ?」
力也が聞いてくる。俺は顎から手を放しみんなを見つめた。
「俺はみんなと一緒にこのセブンスソードから逃げ出したい。協力すればそれも出来るはずだ。そのためにはあと二人、足りない仲間がいる」
覚悟したんだ。そう宣言した以上これは譲れない。
「でもよ、それで前は失敗したんだろ?」
星都の不安は分かる。それを選択して俺たちは一度マンションのエレベーターで殺されかけ、力也は亡くなった。
でも、それがなんだ。前が駄目だったから今回も駄目なんて理由はない。
「俺がなんとかする」
「なんとかって」
「絶対に!」
星都はそう言うがもう決めたんだ。
「説得してみせる」
声は思いを乗せてその音量を上げていく。
「最初の時、俺は相手のことを知らなかった。どんな人で、どんな思いでいるのかも分からなかった。でも今なら分かるんだ。相手がどんな二人か、どんな思いで今を生きているのか。だから信じてくれ。俺が二人を説得してみせる」
セブンスソードに巻き込まれた二人の姉妹。安神此方と安神日向。あの時は敵か味方かも分からなかった。それは今も同じだが、他人なんて思えない。
一緒に過ごしてきた時間があるんだ。そこにあった思いとともに。
「此方。そして日向ちゃん。二人とも優しくていい女の子なんだ、絶対に仲間にしてみせる」
二人との出来事はなかったことになってしまったが、二人との思い出は俺の中で生き続けている。あの時間をなかったことにしてたまるか。
「マジかよ……」
ヤキソバパンをかじりため息でも吐きそうだ。見れば力也も落ち込んでいるように弁当を食べている。とはいえ食欲は衰えていないようで手元には弁当が二つある。
二人にはあれからセブンスソードのことを説明した。実際にスパーダも見せたし、なにより香織もそれを証明したことが大きかった。否定しようのない現実に二人は戸惑っているがそこは納得してもらうしかない。
「なあ、もう一度聞くが、お前はその儀式を何度も繰り返してるって?」
「そうだよ。それだけ失敗してるってことだがな」
「そんなぁ」
「でも、今回は私がいる。きっと大丈夫だよ」
「ああ」
香織の言葉に大きく頷く。今までどうして失敗してきたのか。それは協力を得られなかったところが大きい。その壁が香織のおかげで大きく崩れた。
「約束するよ」
不安がっている二人へ向けて、俺は断言する。
「俺は、みんなを守る」
その言葉を言うことに、重みはあったが躊躇いはなかった。
かつての過ちが脳裏を過ぎる。
誰かだけを守ろうとして誰かを切り捨てた、それで俺は悲劇を起こしている。
そんなこともう二度としない。
「何度失敗してもだ」
それが、俺の守る覚悟だ。
「聖治君……」
俺の失態を知る香織が見つめてくる。あんなことはもうしない。それは宣誓のようなものだったのかもしれない。
すると香織が手を重ねてきた。
「大丈夫。もう、一人で抱え込まなくていいからね」
「……うん」
俺がそう言うと香織はニコっと笑った。今度は一緒に戦おう。そう言ってくれた時の温かさが胸に残っている。俺の手に置いてくれている彼女の小さな手の重みに安心感を覚えていく。
まるで、あの時と同じだ。
「分かったよ。正直分かってないけど分かったよ」
「言ってることはめちゃくちゃだが言いたいことは分かる」
「でだ、これからはどうするんだ?」
星都が聞いてくる。俺は顎に手を添える。
「そうだな。香織が覚えていてくれたのは大きな前進だが、状況的にはなにも変わっていないんだよな」
セブンスソードによる七人の殺し合い、逃げようとしても管理人に処刑される。こうした根本的な問題はなにも変わっていない。
「ただ、やることは変わらないと思ってる」
「と言うとぉ?」
力也が聞いてくる。俺は顎から手を放しみんなを見つめた。
「俺はみんなと一緒にこのセブンスソードから逃げ出したい。協力すればそれも出来るはずだ。そのためにはあと二人、足りない仲間がいる」
覚悟したんだ。そう宣言した以上これは譲れない。
「でもよ、それで前は失敗したんだろ?」
星都の不安は分かる。それを選択して俺たちは一度マンションのエレベーターで殺されかけ、力也は亡くなった。
でも、それがなんだ。前が駄目だったから今回も駄目なんて理由はない。
「俺がなんとかする」
「なんとかって」
「絶対に!」
星都はそう言うがもう決めたんだ。
「説得してみせる」
声は思いを乗せてその音量を上げていく。
「最初の時、俺は相手のことを知らなかった。どんな人で、どんな思いでいるのかも分からなかった。でも今なら分かるんだ。相手がどんな二人か、どんな思いで今を生きているのか。だから信じてくれ。俺が二人を説得してみせる」
セブンスソードに巻き込まれた二人の姉妹。安神此方と安神日向。あの時は敵か味方かも分からなかった。それは今も同じだが、他人なんて思えない。
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「此方。そして日向ちゃん。二人とも優しくていい女の子なんだ、絶対に仲間にしてみせる」
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