セブンスソード
102
「お前たちがどう思おうとそれを許すほど状況は甘くない。お前はまだ理解していないのか? するかしないかではない。やらなければ、自分が死ぬだけだ」
魔来名の言う一言一言が鋭利な刃のように俺の心を抉っていく。
「力がなくてはなにも守れない。自分も、約束もな」
魔来名の言っていることはそうなのかもしれない。でも、だからといって納得なんてできるか。
「だから殺し合えって? ふざけるな! 力がなくては大切な人は守れない。だとしても、その大切な人を殺めてまで欲しい力なんてない! ここにいるのは、みんな守りたい人なんだ! みんなで生き延びると決めた、今だって変わらない!」
たとえ魔来名が言っていることが正しかったとしても俺は認めない。それを認めてなんになる。諦めてなんになるっていうんだ。
「甘いな。犠牲を伴わないものなど覚悟とは言わん。お前の言っているのはただの戯れ言だ。それでなにか守れたのか?」
「くっ!」
その一言に胸がえぐられる。
それは、一番言われたくないことだった。俺は前の世界でちょうどそれを味わった。誰も救えず、誰も守れず、俺はその世界から逃げてきた。
「俺は甘くない。たとえどれだけの犠牲を払おうと、この道を進むと決めた」
「それがお前のセブンスソードか」
「そうだ」
魔来名の強い意思を感じさせる双眸が俺を見る。一周目と変わらない。この男は戦う気だ、そう決めている。
でもそんなことさせない。俺の願いを斬り伏せていくというのなら。
「そうはさせない!」
俺は走り出しパーシヴァルで切りつけた。魔来名も天黒魔を抜きスパーダをぶつけ合う。
「あんたがなんのために戦うか知らないがな、俺には守りたい人がいる。絶対に救いたい人が。そのために戦う、それが俺のセブンスソードだ!」
「そうか」
魔来名に押し返されその隙に腹を蹴られる。
「ぐ!」
後ろに転がる。すぐに立ち上がりパーシヴァルを構える。
「だが力がなければ守ることは出来んぞ。ここで俺一人と戦っただけでどうやって守るつもりだ」
「黙れ!」
いちいち勘に障る。俺の考えや思いを否定する。それを覆せない。それがさらに苛立ってくる。
俺は再びパーシヴァルで攻める。全力で剣を振るう。しかし魔来名の剣術を崩せない。体格も技術も魔来名の方が上だ。おまけに能力までないに等しい今の俺じゃ本当に勝ちの目が見えない。どうやってこいつを倒す? 倒せなければみんなが狙われるっていうのに。
必死に攻めるのに、焦りだけが募っていく。
「どうする、始まっちまったぞ」
「そう言われても」
「どうするんだなぁ」
「お姉ちゃん」
「日向、下がってて」
視界の端にみんなが見える。その中で此方がカリギュラを取り出した。それを見て星都もエンデュラスを出す。
「止めろみんな! 戦うつもりなのはこいつだけだ!」
まずい、疑心暗鬼になって今にも戦いが始まろうとしている。これじゃ四週目と同じだ。
「さっきも言ったが俺は別の世界から来たんだ。そこでは力也が殺されて、それで星都が後に退けなくなって、俺は日向ちゃんや此方と一緒にいたが、それでみんなで殺し合う結果になって」
俺の言葉にみんな驚いている。それでも本当なのか嘘なのか、迷っていてすぐには信じてもらえない。
「もうそんなことさせないために、そのために俺は来た。みんな本当は戦いたくなんてないはずだ、殺し合いなんて誰だって」
「無様だな」
「なに?」
魔来名を見る。冷たい視線が侮蔑すら含めて俺を見下ろしている。
「守ると言っておきながらお前は言葉を語るだけ」
そんなことない、俺だって必死に行動している!
「本当に守りたいのであれば行動で示したらどうだ」
だから、こうして。
「すべてを救うことは出来ない。最も大切なもの、それを選択できないお前はすべてを失うだけだ」
すべてを、失う……。
「お前にとって、守る覚悟とはなんだ?」
「それは……」
守る覚悟。そう問われ思い出す。
『あんたの守る覚悟って、なんだったの!?』
魔来名の言う一言一言が鋭利な刃のように俺の心を抉っていく。
「力がなくてはなにも守れない。自分も、約束もな」
魔来名の言っていることはそうなのかもしれない。でも、だからといって納得なんてできるか。
「だから殺し合えって? ふざけるな! 力がなくては大切な人は守れない。だとしても、その大切な人を殺めてまで欲しい力なんてない! ここにいるのは、みんな守りたい人なんだ! みんなで生き延びると決めた、今だって変わらない!」
たとえ魔来名が言っていることが正しかったとしても俺は認めない。それを認めてなんになる。諦めてなんになるっていうんだ。
「甘いな。犠牲を伴わないものなど覚悟とは言わん。お前の言っているのはただの戯れ言だ。それでなにか守れたのか?」
「くっ!」
その一言に胸がえぐられる。
それは、一番言われたくないことだった。俺は前の世界でちょうどそれを味わった。誰も救えず、誰も守れず、俺はその世界から逃げてきた。
「俺は甘くない。たとえどれだけの犠牲を払おうと、この道を進むと決めた」
「それがお前のセブンスソードか」
「そうだ」
魔来名の強い意思を感じさせる双眸が俺を見る。一周目と変わらない。この男は戦う気だ、そう決めている。
でもそんなことさせない。俺の願いを斬り伏せていくというのなら。
「そうはさせない!」
俺は走り出しパーシヴァルで切りつけた。魔来名も天黒魔を抜きスパーダをぶつけ合う。
「あんたがなんのために戦うか知らないがな、俺には守りたい人がいる。絶対に救いたい人が。そのために戦う、それが俺のセブンスソードだ!」
「そうか」
魔来名に押し返されその隙に腹を蹴られる。
「ぐ!」
後ろに転がる。すぐに立ち上がりパーシヴァルを構える。
「だが力がなければ守ることは出来んぞ。ここで俺一人と戦っただけでどうやって守るつもりだ」
「黙れ!」
いちいち勘に障る。俺の考えや思いを否定する。それを覆せない。それがさらに苛立ってくる。
俺は再びパーシヴァルで攻める。全力で剣を振るう。しかし魔来名の剣術を崩せない。体格も技術も魔来名の方が上だ。おまけに能力までないに等しい今の俺じゃ本当に勝ちの目が見えない。どうやってこいつを倒す? 倒せなければみんなが狙われるっていうのに。
必死に攻めるのに、焦りだけが募っていく。
「どうする、始まっちまったぞ」
「そう言われても」
「どうするんだなぁ」
「お姉ちゃん」
「日向、下がってて」
視界の端にみんなが見える。その中で此方がカリギュラを取り出した。それを見て星都もエンデュラスを出す。
「止めろみんな! 戦うつもりなのはこいつだけだ!」
まずい、疑心暗鬼になって今にも戦いが始まろうとしている。これじゃ四週目と同じだ。
「さっきも言ったが俺は別の世界から来たんだ。そこでは力也が殺されて、それで星都が後に退けなくなって、俺は日向ちゃんや此方と一緒にいたが、それでみんなで殺し合う結果になって」
俺の言葉にみんな驚いている。それでも本当なのか嘘なのか、迷っていてすぐには信じてもらえない。
「もうそんなことさせないために、そのために俺は来た。みんな本当は戦いたくなんてないはずだ、殺し合いなんて誰だって」
「無様だな」
「なに?」
魔来名を見る。冷たい視線が侮蔑すら含めて俺を見下ろしている。
「守ると言っておきながらお前は言葉を語るだけ」
そんなことない、俺だって必死に行動している!
「本当に守りたいのであれば行動で示したらどうだ」
だから、こうして。
「すべてを救うことは出来ない。最も大切なもの、それを選択できないお前はすべてを失うだけだ」
すべてを、失う……。
「お前にとって、守る覚悟とはなんだ?」
「それは……」
守る覚悟。そう問われ思い出す。
『あんたの守る覚悟って、なんだったの!?』
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