セブンスソード

奏せいや

101

「俺はみんなのことを知っている。ずっと一緒にいて、ともに戦った。友達だった、仲間だったんだ!」

 またみんなと一緒にいたい。なによりあんな結末にしたくない。

「だから信じてくれ、俺に戦うつもりなんてない!」

 みんなで戦うなんて、殺し合うなんて、あんなこと二度としたくないんだ。

「聖治さん?」
「え?」

 背後に振り返る。そこには日向ちゃんと此方が立っていた。二人とも信じられないものを見た顔をしている。

 全身の熱が一気に引いた。

「聖治……、仲間って、どういうこと?」
「それは」

 悪寒が止まらない。嫌な予感が全身を包んでいる。

「違う、これは!」
「違わないでしょ」

 呆然としながらも此方が聞いてくる。

 違う、違う、そうじゃない!

「私たちに内緒で仲間と合流ってことでしょ? 最初から私たちを裏切るつもりだったの?」
「だから違うんだ!」

 急がなくてはならないと咄嗟に出てしまった。二人に話す余裕がなかったんだ。

 此方が悲しそうな目で俺を見つめる。日向ちゃんは顔を手で隠し泣いていた。

「これにはちゃんと理由があるんだ。俺のスパーダには世界をやり直す力があって」
「なにそれ。そんなのを信じると思う?」
「それは」

 こんなこと言ったって下手な言い訳にしか聞こえない。言葉では説明できるけど証明なんて出来ない。でも、じゃあどうすればいいんだよ!?

「二人とも、離れとけ」

 星都に促され香織と力也も離れていく。せっかく受け入れられ始めていたのに。

「あやうく騙されるところだったぜ」
「待ってくれ、違う、そうじゃなくて!」

 此方も、日向ちゃんも。二人だけじゃない。香織も星都も、力也までも俺を疑う目で見つめている。

「違う」

 無言の追及が、視線の糾弾が、俺の心を追いつめていく。

 なんだよ、なんだよこれ。なんでこうなるんだよ? ただみんなの無事を確認したくて、急いだだけでこんなことになるのかよ!?

「これは?」

 その時だった。俺たち以外の生徒が一斉に消えたのだ。

「セブンスソードの結界!?」

 そんな。俺たちに反応したのか? でもまだ戦いは始まっていないぞ!?

 まさか。

 そう思うと同時、この場に足音が加わった。

「お前」

 一人の男が正門に近づいてくる。白のロングコートを着た金髪の青年。漂う雰囲気だけでこの場が張り詰めていく。

「魔来名……!」

 一周目で俺たちを殺した、魔堂魔来名だ。

 人が消えるという異変と新たに現れたスパーダにみんな動揺している。その中で俺と魔来名だけが真っ直ぐと互いを見つめていた。

「どうしてここに」

 二週目の時一瞬だけ姿を見たがそれ以降はなかった。こうしてまともに会うのは一週目の時以来だ。

「何故? 愚問だな」

 冷たい瞳と傲慢な態度を見せつけて魔来名は言う。

「セブンスソードに参加した七人がこうして集まったんだ。ならばすべきことは一つだろう」
「止めろ!」

 魔来名がやつのスパーダ、天黒魔を出す。黒い鞘に納められた日本刀。対抗して俺もパーシヴァルを出す。

「聖治さん?」

 日向ちゃんが俺を見る。彼女にはきっと俺が好戦的なやつに見えているんだろう。そんな目で見られるのは俺だって辛い。でもこいつは!

「魔来名! 俺たちに戦うつもりなんてない、みんなセブンスソードに参加するつもりなんてないんだ!」

 みんな巻き込まれた。俺も、香織も、みんな! 参加したいと思ってるやつなんて一人もいない!

「だったらどうした。この期に及んで本人の意思が関係あるのか?」
「それは」

 言葉に詰まる。言い返すことが出来ない。

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