セブンスソード
92
呼ばれて振り向く。此方は真っ直ぐと二人を見つめている。今まで会話に入ってこなかった此方だったがその顔はもう引き締まっている。
「なにを言っても、もう手遅れよ」
「そんな」
相手は星都だぞ? なのになんで戦いなんてことになるんだよ。
「そんなのって」
「聖治。気持ちは分かる。でも今の相手はあなたの友人じゃない。戦う気なのよ? ならもう、戦うしかないわ」
彼女の必死な目が俺を見る。
「覚悟を決めて」
そんな……。
どうする? どうすればいい? 星都や香織と戦うなんて嫌だ。でも、戦わなければ俺だけでなく此方だって襲われる。
どっちを守ればいい? かつての友人か、今の仲間か。
どうすれば。
答えが決まらない。出したくない。でも、此方の中でそれはもう決まっていて、覚悟も済ましている。
「来い。魔皇剣、カリギュラ!」
此方がスパーダを出す。赤い刀身をした魔剣が彼女の手に現れる。
「抜いたか」
此方がカリギュラを出したことで星都の顔つきがさらにきつくなる。俺も隣にあるスパーダを見た。
魔皇剣、カリギュラ。赤い刀身の剣できれいなのにどこか鮮烈で血のようなまがまがしさがある。それは間違いなく魔剣と呼ばれるものだ。
これで、前の世界では力也が殺された。
でもそれだけじゃない。荒廃した世界の記憶を引っ張り出す。
能力は減衰。相手の力を奪う魔剣。それは生命力だったり段階が上がれば範囲も広がっていく。これは人を助けることも守ることもできない、ただ敵を殲滅することしかできない呪われた魔剣だ。
「此方、止めるんだ」
まだどっちも攻撃していない。まだ間に合う。こんな殺し合いをするために俺たちは出会ったんじゃない。
「いい加減にして!」
そんな俺に、此方は怒鳴りつけてきた。
「相手は戦う気なのよ? 戦うしかないのよ」
此方は戦う気だ。もう覚悟を決めている。
俺たちの背後に守らなくちゃいけない人がいる。そのために此方は戦う気だ。
「守らないと。守らないと」
「此方」
小さなつぶやきが聞こえる。彼女も怖い。それを使命感で必死に押さえている。
星都もスパーダを構えた。くるのか!?
「聖治、構えて!」
隣で此方が叫ぶ。それがスイッチだった。
星都の姿は一瞬で俺の目の前へと来ていた。本当に風のような突撃。知らなかったら斬られていた。俺は寸前のところでパーシヴァルを出し防ぐ。
「ちぃ!」
「星都……!」
「聖治!?」
剣を押しつけ合う俺たちだったが此方が加勢したことで星都が後退する。
「なによあいつ」
「あれは光帝剣エンデュラス。時間を操るスパーダだ。加速してくるぞ」
「能力まで知ってるのかよ」
パーシヴァルを構える。その相手が星都なのが悲しくて仕方がない。なにより、あいつは武器を出していない俺の方を攻撃してきた。
本当に、殺しにきていたんだ。それが辛くて目を逸らしそうになる。
「止めろ星都……止めてくれ……、こんなことお前だってしたくないはずだ!」
「うるせえ! それでもやるしかないんだよ!」
星都の体が高速で動く。次は直進ではなく俺たちの周りを走り始めた。その速度の中で星都が叫ぶ。
「力也は俺たちをかばって死んだ、あいつの死を無駄にできるかよ!」
周囲から響く声に胸が締め付けられる。
「そうか」
力也。お前、この世界でも友達をかばって死んだのか。星都が必死な理由もそれか。
星都は俺たちの外周を回っている。速すぎて見失いそうだ。
星都とは戦いたくない。でも攻撃してくるなら、守るために行動しないと。
「此方!」
「ええ!」
俺たちは背中合わせに立った。死角をカバーし星都を目で追う。速い、スピードでいったらどれくらいなんだ?
「なにを言っても、もう手遅れよ」
「そんな」
相手は星都だぞ? なのになんで戦いなんてことになるんだよ。
「そんなのって」
「聖治。気持ちは分かる。でも今の相手はあなたの友人じゃない。戦う気なのよ? ならもう、戦うしかないわ」
彼女の必死な目が俺を見る。
「覚悟を決めて」
そんな……。
どうする? どうすればいい? 星都や香織と戦うなんて嫌だ。でも、戦わなければ俺だけでなく此方だって襲われる。
どっちを守ればいい? かつての友人か、今の仲間か。
どうすれば。
答えが決まらない。出したくない。でも、此方の中でそれはもう決まっていて、覚悟も済ましている。
「来い。魔皇剣、カリギュラ!」
此方がスパーダを出す。赤い刀身をした魔剣が彼女の手に現れる。
「抜いたか」
此方がカリギュラを出したことで星都の顔つきがさらにきつくなる。俺も隣にあるスパーダを見た。
魔皇剣、カリギュラ。赤い刀身の剣できれいなのにどこか鮮烈で血のようなまがまがしさがある。それは間違いなく魔剣と呼ばれるものだ。
これで、前の世界では力也が殺された。
でもそれだけじゃない。荒廃した世界の記憶を引っ張り出す。
能力は減衰。相手の力を奪う魔剣。それは生命力だったり段階が上がれば範囲も広がっていく。これは人を助けることも守ることもできない、ただ敵を殲滅することしかできない呪われた魔剣だ。
「此方、止めるんだ」
まだどっちも攻撃していない。まだ間に合う。こんな殺し合いをするために俺たちは出会ったんじゃない。
「いい加減にして!」
そんな俺に、此方は怒鳴りつけてきた。
「相手は戦う気なのよ? 戦うしかないのよ」
此方は戦う気だ。もう覚悟を決めている。
俺たちの背後に守らなくちゃいけない人がいる。そのために此方は戦う気だ。
「守らないと。守らないと」
「此方」
小さなつぶやきが聞こえる。彼女も怖い。それを使命感で必死に押さえている。
星都もスパーダを構えた。くるのか!?
「聖治、構えて!」
隣で此方が叫ぶ。それがスイッチだった。
星都の姿は一瞬で俺の目の前へと来ていた。本当に風のような突撃。知らなかったら斬られていた。俺は寸前のところでパーシヴァルを出し防ぐ。
「ちぃ!」
「星都……!」
「聖治!?」
剣を押しつけ合う俺たちだったが此方が加勢したことで星都が後退する。
「なによあいつ」
「あれは光帝剣エンデュラス。時間を操るスパーダだ。加速してくるぞ」
「能力まで知ってるのかよ」
パーシヴァルを構える。その相手が星都なのが悲しくて仕方がない。なにより、あいつは武器を出していない俺の方を攻撃してきた。
本当に、殺しにきていたんだ。それが辛くて目を逸らしそうになる。
「止めろ星都……止めてくれ……、こんなことお前だってしたくないはずだ!」
「うるせえ! それでもやるしかないんだよ!」
星都の体が高速で動く。次は直進ではなく俺たちの周りを走り始めた。その速度の中で星都が叫ぶ。
「力也は俺たちをかばって死んだ、あいつの死を無駄にできるかよ!」
周囲から響く声に胸が締め付けられる。
「そうか」
力也。お前、この世界でも友達をかばって死んだのか。星都が必死な理由もそれか。
星都は俺たちの外周を回っている。速すぎて見失いそうだ。
星都とは戦いたくない。でも攻撃してくるなら、守るために行動しないと。
「此方!」
「ええ!」
俺たちは背中合わせに立った。死角をカバーし星都を目で追う。速い、スピードでいったらどれくらいなんだ?
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