セブンスソード
51
「先生。その、戸惑うってどういうことですか?」
「まあまあ、そう強がらなくても大丈夫さ。誰しも最初は緊張するもんだ」
いや、そうじゃなくて。内容が分からないんだが。
「でも、さっきもいったけどうちのクラスに嫌なやつはいないし、すぐに友達もできるよ」
そんな。まるで俺に友達がいないみたいな言い方しなくても……。ちょっと傷つく。
「あ。でも皆森って男子には要注意だぞ、悪いやつじゃないんだがあいつは本当にお調子者だからな。変なことに巻き込まれないようにな」
「あー。あいつは昔からそうですよね」
「あれ、知ってるの?」
前を歩いている先生が驚いたように振り向いた。
そこで俺の疑念(ぎねん)は確信に変わった。
「え?」
俺と先生の間にある妙なズレ。
先生は、俺のことを忘れている? というか、はじめて会ったみたいだ。
でもそんなことはない!
「知ってるもなにも、前から友達ですよ。あれ、青山先生ですよね? ブルマンの」
「はっはっは。なんだなんだ、もうそこまで知ってるのか。さては皆森だな。あいつと知り合いだったなんて知らなかったよ」
「いや、そんなことは」
「でもよかったよ、すでに友達がいるなら一安心だな」
そう言って青山先生は笑っていた。
どういうことだ、なんで先生が俺や俺と星都が友達だということを忘れているんだ?
そう言い掛かったが、のどで突っかかって止めてしまった。
ここで俺がしつこく間違ってると言ってもきっと青山先生は困るだけだろうし。というか俺の方が目が覚めてから混乱しっぱなしなんだ。本当にどういうことなのか教えてほしい。
俺は青山先生と一緒に教室に入った。みんなはすでに席についていてどうも俺は遅刻したらしい。
「それじゃあみんな、すでに知ってる人もいるかもしれないが今日は転校生を紹介するぞ」
「え!?」
転校生? 香織だけじゃなく、また転校生が来るのか?
「青山先生、転校生ってほんとですか?」
「え?」
俺の質問に先生が振り向く。直後、教室中で笑い声が上がった。
「ハッハッハッハッハ!」
「…………」
え?
「いやー、君おもしろいね。いいよいいよ、それじゃみんな、彼が剣島聖治君だ。よろしくしてやってくれよ。はっはっはっは!」
先生やほかのみんなはまだ笑っている。
ていうか、今なんて言った? 俺が転校生?
なんのドッキリだ?
俺は唖然としてしまうが、そこで目に付いた。
「星都! 力也!」
教室には星都と力也がいたのだ。大丈夫、生きている。それどころか傷すらない。
「よかった! 無事だったんだな!」
急いで二人のもとへ駆け寄り肩に手を置いた。よかった、本当によかった。
「…………」
「えーと、あのぉ」
「どうしたんだ? なにか言えよ」
二人は俺をまじまじと見つめている。ただ、その顔がどうも胡乱(うろん)というか、不審者を見るような顔なのがよく分からない。
「力也、俺にまかせとけ」
明らかに狼狽(ろうばい)している力也とは変わって星都はなにやら覚悟を決めたようだ。
「えーと、そのー、そうだ! 俺たちは小学校のころ同じ野球部だったんだ。いやー、懐かしいな。夕焼けの川沿いで甲子園に行こうって約束したの覚えてるぜ!」
「は? お前はなにを言ってるんだ?」
「ちょおおおおい!」
と、星都は大仰なポーズでツッコミを入れてきた。
「おま、自分から振っておいてその仕打ちかよ!」
星都の盛大なつっこみに教室のみんながまたも大笑いしている。
「…………」
みんなは笑っているが反対に俺は背筋が寒くなっていく。
恐る恐る、聞いてみた。
「なあ、真剣な話なんだが」
聞いていて、自分がすごく緊張しているのが分かる。出会えて嬉しいはずなのに、聞くのが怖い。
「俺たち、初対面か?」
「まあまあ、そう強がらなくても大丈夫さ。誰しも最初は緊張するもんだ」
いや、そうじゃなくて。内容が分からないんだが。
「でも、さっきもいったけどうちのクラスに嫌なやつはいないし、すぐに友達もできるよ」
そんな。まるで俺に友達がいないみたいな言い方しなくても……。ちょっと傷つく。
「あ。でも皆森って男子には要注意だぞ、悪いやつじゃないんだがあいつは本当にお調子者だからな。変なことに巻き込まれないようにな」
「あー。あいつは昔からそうですよね」
「あれ、知ってるの?」
前を歩いている先生が驚いたように振り向いた。
そこで俺の疑念(ぎねん)は確信に変わった。
「え?」
俺と先生の間にある妙なズレ。
先生は、俺のことを忘れている? というか、はじめて会ったみたいだ。
でもそんなことはない!
「知ってるもなにも、前から友達ですよ。あれ、青山先生ですよね? ブルマンの」
「はっはっは。なんだなんだ、もうそこまで知ってるのか。さては皆森だな。あいつと知り合いだったなんて知らなかったよ」
「いや、そんなことは」
「でもよかったよ、すでに友達がいるなら一安心だな」
そう言って青山先生は笑っていた。
どういうことだ、なんで先生が俺や俺と星都が友達だということを忘れているんだ?
そう言い掛かったが、のどで突っかかって止めてしまった。
ここで俺がしつこく間違ってると言ってもきっと青山先生は困るだけだろうし。というか俺の方が目が覚めてから混乱しっぱなしなんだ。本当にどういうことなのか教えてほしい。
俺は青山先生と一緒に教室に入った。みんなはすでに席についていてどうも俺は遅刻したらしい。
「それじゃあみんな、すでに知ってる人もいるかもしれないが今日は転校生を紹介するぞ」
「え!?」
転校生? 香織だけじゃなく、また転校生が来るのか?
「青山先生、転校生ってほんとですか?」
「え?」
俺の質問に先生が振り向く。直後、教室中で笑い声が上がった。
「ハッハッハッハッハ!」
「…………」
え?
「いやー、君おもしろいね。いいよいいよ、それじゃみんな、彼が剣島聖治君だ。よろしくしてやってくれよ。はっはっはっは!」
先生やほかのみんなはまだ笑っている。
ていうか、今なんて言った? 俺が転校生?
なんのドッキリだ?
俺は唖然としてしまうが、そこで目に付いた。
「星都! 力也!」
教室には星都と力也がいたのだ。大丈夫、生きている。それどころか傷すらない。
「よかった! 無事だったんだな!」
急いで二人のもとへ駆け寄り肩に手を置いた。よかった、本当によかった。
「…………」
「えーと、あのぉ」
「どうしたんだ? なにか言えよ」
二人は俺をまじまじと見つめている。ただ、その顔がどうも胡乱(うろん)というか、不審者を見るような顔なのがよく分からない。
「力也、俺にまかせとけ」
明らかに狼狽(ろうばい)している力也とは変わって星都はなにやら覚悟を決めたようだ。
「えーと、そのー、そうだ! 俺たちは小学校のころ同じ野球部だったんだ。いやー、懐かしいな。夕焼けの川沿いで甲子園に行こうって約束したの覚えてるぜ!」
「は? お前はなにを言ってるんだ?」
「ちょおおおおい!」
と、星都は大仰なポーズでツッコミを入れてきた。
「おま、自分から振っておいてその仕打ちかよ!」
星都の盛大なつっこみに教室のみんながまたも大笑いしている。
「…………」
みんなは笑っているが反対に俺は背筋が寒くなっていく。
恐る恐る、聞いてみた。
「なあ、真剣な話なんだが」
聞いていて、自分がすごく緊張しているのが分かる。出会えて嬉しいはずなのに、聞くのが怖い。
「俺たち、初対面か?」
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