セブンスソード
41
沙城さんは俺を見つめてきた。
「ずっと、一緒にいるって」
彼女のスパーダ探しを手伝うと言った時、俺は覚えのない約束を口にしていた。一人にしない。なんでだろ、今でも不思議だけど、あの時は本当にそう思ったんだ。
彼女を守らなくちゃならない。誰よりもそばで彼女を守り抜くんだって。
「書いてもいいかな?」
そう聞く沙城さんは少しだけ真面目で、真剣な感じがした。
「ああ」
俺が言うと画面に書き込んでいく。それから少し躊躇う仕草を見せた後、赤い線で俺と自分の指を繋いだ。よく見ると小指だった。
彼女の顔を見る。沙城さんは俺を見ると照れ笑いをしていた。
外に出てプリクラの写真を取り出す。二人で撮った何通りの写真がある。
「はい、これ。沙城さんの分」
「うん。ありがとう」
沙城さんは手に取るとそれを見て微笑んだ。なんだか大切な宝物でも見ているようだ。
「なんだか、すごいな」
「え?」
彼女は今出てきたばかりのプリクラを胸に押し当てている。そのまま目を瞑った。
「いいのかなって、思っちゃうよ。こんなに幸せで」
押し当てる手が強くなっていく。一枚のプリクラに、彼女はとても大きな思いを刻み込んでいるようだ。
「この場所に来てよかった。この日に来れてよかった」
そう言う彼女は本当に幸せそうで、楽しいとか、嬉しいとか、そういうのを超えていたんだ。この一時が特別なんだ。
そんな彼女の表情がふと暗くなる。
「どうして、ここじゃないのかな」
その後俺に振り向いた。その顔は、満面の笑みだった。
「ありがとう、聖治君。私、すっごく幸せ。人生で一番楽しかった」
輝いて見える。まるで、人生の幸せを凝縮したかのような笑顔だ。
その笑顔があまりにも幸せそうだったから、なんと返せばいいのか分からず俺は笑顔で合わせていた。
でも分かっていたんだ。
俺も、すごく幸せだったから。
この時がずっと続いて欲しい。この一瞬がすごく貴重なもので、永遠なんかよりも素晴らしいものなんだって。
彼女と一緒なら、地獄でも笑っていける。そう思えるくらいに。
少し迷ったけれど、俺は沙城さんに手を差し出した。彼女は迷うことなく手を握ってくれた。それが嬉しくて不安が一気になくなる。見つめ返してくれる彼女の瞳に微笑んだ。
今が、すごく幸せだ。
俺たちは一緒にゲームセンターから出た。そろそろ集合の時刻だ。街は夕焼けに染まっている。けっきょくスパーダの反応は見つけられなかったけれど、その分彼女とたくさんの場所を回れた。楽しそうな彼女をたくさん見れた。
それだけで、俺は嬉しかった。
彼女と一緒に駅のロータリーに来る。その前に手は放していた。見れば時計塔の下にはすでに星都と力也の姿がある。
彼女と二人の時間は終わりだな。夢のような時間だったけど、俺たちはセブンスソードという危険な状況にいるのも事実。切り替えていこう。
俺は夢から覚めるように現実へと意識を移していく。
「おーい。二人きりってことは見つけられなかったってことか」
「ということは星都たちもか」
俺たちもそうだが星都たちも行きと人数は変わっていない。どっちも空振りか。
「ごめんねぇ、聖治君。沙城さん。僕たちも探してはみたんだけど見つけられなかったよ」
「ううん、謝らないで織田君。もとはといえば私の目的なんだし」
「とりあえず無事に合流できてよかった。見つけられなかったのは残念だが何事もなかったのは朗報だよ」
「心配し過ぎだってーの、慌ただしい相棒だな」
「だってだな」
星都はそう言うが俺としてはそんな気にはなれない。
「今日で三日目、いつ襲われてもおかしくないんだぞ? 幹部連中に他の参加者。油断なんてできない」
「聖治君の言う通りだよ。警戒だけはしておいてね」
俺の不安に賛同してくれるように沙城さんがはっきりと言い切る。
「こうしている間にもセブンスソードは進んでいるんだから。いつ、どこで戦いが始まるか」
「そう言われてもな~」
俺と沙城さんは真剣だ。それに比べ星都は気が抜けている感じがする。
「二人はその管理人と戦って実際聖治は殺されかけたって話だけど、俺と力也はなんともなかったわけだしな」
「本当なんだ!」
「いや、まあ、そりゃそうなんだろうけどよ」
「ずっと、一緒にいるって」
彼女のスパーダ探しを手伝うと言った時、俺は覚えのない約束を口にしていた。一人にしない。なんでだろ、今でも不思議だけど、あの時は本当にそう思ったんだ。
彼女を守らなくちゃならない。誰よりもそばで彼女を守り抜くんだって。
「書いてもいいかな?」
そう聞く沙城さんは少しだけ真面目で、真剣な感じがした。
「ああ」
俺が言うと画面に書き込んでいく。それから少し躊躇う仕草を見せた後、赤い線で俺と自分の指を繋いだ。よく見ると小指だった。
彼女の顔を見る。沙城さんは俺を見ると照れ笑いをしていた。
外に出てプリクラの写真を取り出す。二人で撮った何通りの写真がある。
「はい、これ。沙城さんの分」
「うん。ありがとう」
沙城さんは手に取るとそれを見て微笑んだ。なんだか大切な宝物でも見ているようだ。
「なんだか、すごいな」
「え?」
彼女は今出てきたばかりのプリクラを胸に押し当てている。そのまま目を瞑った。
「いいのかなって、思っちゃうよ。こんなに幸せで」
押し当てる手が強くなっていく。一枚のプリクラに、彼女はとても大きな思いを刻み込んでいるようだ。
「この場所に来てよかった。この日に来れてよかった」
そう言う彼女は本当に幸せそうで、楽しいとか、嬉しいとか、そういうのを超えていたんだ。この一時が特別なんだ。
そんな彼女の表情がふと暗くなる。
「どうして、ここじゃないのかな」
その後俺に振り向いた。その顔は、満面の笑みだった。
「ありがとう、聖治君。私、すっごく幸せ。人生で一番楽しかった」
輝いて見える。まるで、人生の幸せを凝縮したかのような笑顔だ。
その笑顔があまりにも幸せそうだったから、なんと返せばいいのか分からず俺は笑顔で合わせていた。
でも分かっていたんだ。
俺も、すごく幸せだったから。
この時がずっと続いて欲しい。この一瞬がすごく貴重なもので、永遠なんかよりも素晴らしいものなんだって。
彼女と一緒なら、地獄でも笑っていける。そう思えるくらいに。
少し迷ったけれど、俺は沙城さんに手を差し出した。彼女は迷うことなく手を握ってくれた。それが嬉しくて不安が一気になくなる。見つめ返してくれる彼女の瞳に微笑んだ。
今が、すごく幸せだ。
俺たちは一緒にゲームセンターから出た。そろそろ集合の時刻だ。街は夕焼けに染まっている。けっきょくスパーダの反応は見つけられなかったけれど、その分彼女とたくさんの場所を回れた。楽しそうな彼女をたくさん見れた。
それだけで、俺は嬉しかった。
彼女と一緒に駅のロータリーに来る。その前に手は放していた。見れば時計塔の下にはすでに星都と力也の姿がある。
彼女と二人の時間は終わりだな。夢のような時間だったけど、俺たちはセブンスソードという危険な状況にいるのも事実。切り替えていこう。
俺は夢から覚めるように現実へと意識を移していく。
「おーい。二人きりってことは見つけられなかったってことか」
「ということは星都たちもか」
俺たちもそうだが星都たちも行きと人数は変わっていない。どっちも空振りか。
「ごめんねぇ、聖治君。沙城さん。僕たちも探してはみたんだけど見つけられなかったよ」
「ううん、謝らないで織田君。もとはといえば私の目的なんだし」
「とりあえず無事に合流できてよかった。見つけられなかったのは残念だが何事もなかったのは朗報だよ」
「心配し過ぎだってーの、慌ただしい相棒だな」
「だってだな」
星都はそう言うが俺としてはそんな気にはなれない。
「今日で三日目、いつ襲われてもおかしくないんだぞ? 幹部連中に他の参加者。油断なんてできない」
「聖治君の言う通りだよ。警戒だけはしておいてね」
俺の不安に賛同してくれるように沙城さんがはっきりと言い切る。
「こうしている間にもセブンスソードは進んでいるんだから。いつ、どこで戦いが始まるか」
「そう言われてもな~」
俺と沙城さんは真剣だ。それに比べ星都は気が抜けている感じがする。
「二人はその管理人と戦って実際聖治は殺されかけたって話だけど、俺と力也はなんともなかったわけだしな」
「本当なんだ!」
「いや、まあ、そりゃそうなんだろうけどよ」
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