セブンスソード

奏せいや

39

 とりあえず残すのはもったいないので少し分けてもらったんだが俺もお腹に余裕がなくてぜんぜん食べれなかった。どうしようか。でもまずいと思ったがそんなことはなかった。そう、力也が全部食ったのだ。

「ふぅ、おいしかったんだな~」

 怪物かよ。

「それでよ、腹ごしらえは済んだわけだがこれからはどうする?」
「そうだな」

 行き先を決めてあったわけじゃないんだよな。探すというので理解は共有しているがそれ以外は漠然としている。探すといってもどこを探せばいいのか。

「それで思ったんだけどよ、せっかくこっちは人数がいるんだ。全員で探すよりも手分けした方がよくないか?」
「それは」

 星都はそう言うが正直反対だ。というのも躊躇ってしまう。

「言いたいことは分かるがそれは危険だ。探しているスパーダが友好的とは限らないんだし。他のスパーダが襲い掛かってくるかもしれないんだぞ」
「それはそうだけどよ」

 星都は腕を背もたれに乗せ顔を逸らしている。どうもピンときていない感じだ。

「お前の言う通り今も他のスパーダが狙ってるかもしれない。探し出せても無事にことが進むかは分からない。でもいきなり戦闘なんてなるか? 期限までまだあるんだろ?」
「でもだな」

 俺としてはどうしても管理人に襲われた印象が強くて警戒してしまうんだが、星都や力也にはそうした経験がないんだよな。だからいまいち命の危険というか、そういうのが薄いように感じる。それか俺が警戒し過ぎなのか?

「じゃあこうしないか? なにも一人になる必要はない。ちょうど四人いるんだ、二手に分かれるっていうのは? 効率は二倍。おまけに二人いるから相手が一人なら優位に立てる。どうだ?」
「それは」

 確かに全員固まって探すのは非効率的だ。日にちは限られているんだし早いとここ見つけ出したいというのはある。

「星都の言うことも一理ある。それならいいかもな。沙城さんは?」
「そう、だね」

 沙城さんは顎に手を当て考え込んでいたが顔を上げた。

「戦力の分散に不安は残るけど時間が有限なのも事実。二手に分かれての捜索は現実的だと思う。ただ無理は禁物だよ。もし戦闘になったら通信機器は使えなくなるだろうし、そうなったらすぐに撤退。駅前で集合することにしましょう。時間も五時までで、とりあえず駅前に再集合。どうかな?」

 俺は星都と力也の顔を見る。反対意見はなかった。

「決まりだな」

 これから二手に分かれてスパーダの捜索だ。

「それじゃあペアだけど」

 別に俺は誰が相手でもいいんだが、気になるのは沙城さんだよな。星都や力也も悪いやつじゃないんだがいきなり二人きりは緊張するか。

「沙城さん、よければ俺と組もうか?」
「うん」

 沙城さんは嬉しそうに頷いてくれた。自分からじゃなかなか言い出しづらかっただろうし助かったかな。

「ヒュー」
「茶化すな星都」
「大丈夫だよ、星都君には僕がついてるんだな~」
「止めろぉお! なに慰めるようなこと言ってんだお前は、俺が惨めみたいじゃねえか!」
「星都。明日はきっと晴れるから」
「ああ!? 今も晴れてんだろうが!」
「ははは!」
「三人って本当に仲がいいね」

 やることは決まったので俺たちはとりあえず店の外に出た。星都は力也を連れて面白くなさそうにどこかに行ってしまった。俺たち二人が店の前で取り残される。

「えーと……」
「…………」

 いざ二人きりになるとなんか緊張するな。

「沙城さんからリクエストはある? 俺は別にどこでもいいんだけど」
「うーん、特にはないかな。私は、この町のことよく分からないから。聖治君に案内してもらえたら嬉しいな」
「それもそうか」

 そうだよな、ここは男らしく俺がしっかりしないと。

「じゃあ案内するよ。ただ、楽しいかどうか自信は持てないんだけど」
「聖治君と一緒ならどこだって楽しいよ」

 はにかんだ笑顔が可愛い。

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