セブンスソード

奏せいや

19

 俺はどういうことか整理が付かない頭で学生寮に足を動かしていた。見慣れた場所を歩いているはずなのにどこか現実感がない。知らない土地にいるみたいだ。

 そんな俺だったが無事に学生寮が見えてきた。さらに学生寮の前には星都と力也がいた。

「星都! 力也!」

 二人の姿に急に現実に戻ってきた気がした。慌てて走り二人に近づく。

「おう、聖治。どうやらお前もらしいな」
「お前もって、まさか」
「ああ、お前も会ったんだろ? フードを被った変なやつによ。俺と力也も同じだよ」
「そんな!」

 俺だけじゃない? 星都と力也も会っただって?

「そんな……」

 あんな意味の分からないことが二人にも起きていたなんて。

「いったいなにがどうなってるんだ。とりあえず二人とも無事でよかった。よく平気だったな」
「平気なもんかよ、なんだあれ? セブンスソード? それでなんで俺たちが殺し合わなきゃならないんだ」

 星都は苦い表情で足下を見つめている。どういうことだと苛立っている。

 それは分かるが、でも待ってくれ。

 俺たちで殺し合うって、どういうことだ?

「殺し合うって……なんのことだ?」

 そういえばあの男もセブンスソードとか殺し合う運命とか言っていたが。

「……お前、聞いてないのか?」
「?」

 星都が聞き返してくる。俺はぽかんとしてしまって答えを求めるように力也に振り向いた。力也も星都と同じような顔をしている。

「お前は説明、聞かなかったのかよ?」
「その」

 言葉が詰まる。不吉な予感とあんな出来事をどう言葉にすればいいのか分からなくて、咄嗟に答えられない。

「フードを来た男が現れて、いきなり襲われたんだ。そいつはなにもない場所から槍を取り出して襲ってきたんだよ」
「マジかよ」

 星都が面食らっている。そりゃそうだろう、俺だって今も指が震えそうになる。

「聖治君、大丈夫だったのぉ?」
「お前よくそれで平気だったな」
「それで!」

 そこで忘れてはいけない人物の名前を言う。

「そこに沙城さんが現れたんだよ!」
「沙城? あの転校生が? なんで?」
「なんでかは知らないけど。でも彼女は俺を助けてくれたんだ。彼女は剣を持っていて男と戦った後、俺の怪我を治してくれたんだ」

 俺の話を聞いて星都と力也が顔を見合わせている。

「なあ、それ本当か?」
「本当だって!」
「分かった分かった、別に否定はしねえよ。でもよ、それならあの転校生は何者なんだよ」

 当然そこに行き着く。それは俺も知りたいところだ。

「その後、なんていうか彼女は去っていって、詳しくは聞けてないんだ」
「うーん」

 はじめて会った時から彼女には気になるところはあったが、まさかことになるなんて。彼女の謎は深まるばかりだ。 

「ならさぁ」

 そこで力也が話し出した。

「本人に聞いてみるのがいいんじゃないのかなぁ?」
「本人に?」

 彼女は俺の前から姿を消した。きっと俺と一緒にいるのが辛かったからだと思う。あの時の彼女は確かに泣いていた。俺が彼女を覚えていないせいで。

 でも、躊躇ってる場合じゃない。自分の命が危険に晒されたんだ、すぐに確認しないと。

「分かった。明日学校ですぐに彼女に聞いてみよう」
「俺もつき合うぜ、知りたいのは俺も一緒なんだ」
「僕も同じなんだなぁ」
「ああ、三人で聞きに行こう」

 俺たちは学校で沙城さんに聞きに入くことを決め部屋に戻っていった。

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