セブンスソード
8 プロローグ
なんだろう、声じゃない。頭の中から聞こえてくる、奇妙な感じだ。
「あんた、誰だ?」
『力が欲しいか?』
声は男だ。その男の声が再度聞いてくる。
聞きたいことはたくさんあった。これはいったいなんなのか、あんたは何者なのか。知りたいことはいくらでもある。
だけど、それよりもなお先に口にしていた。
「……欲しい」
もし俺にこいつらよりも強い力があれば、香織を救える。それにこいつらを全員倒せる。邪悪な連中を一人残らず。
そして、今度こそ、この世界から香織を守ってやれる。
『なぜ欲する?』
「決まってるだろ、香織を、そこにいる彼女を救うためだ!」
俺一人ならいい。俺一人の命ならここまで怒ることもなかった。でも、彼女は別だ。
「俺だけならよかった。俺だけが馬鹿だと罵られようが、殺されようが、それでよかった。こんな世界だ、一人寂しく死んでいくだけだ。でも彼女は違う。彼女がいたから俺は生きてこれた。こんな場所でも笑うことができたんだ。彼女が、俺のすべてなんだ!」
人生の十分の一ほどの時間だけど、彼女と一緒にいられた時間はなによりも素晴らしいものだった。
「世界よりも、大切な人なんだ!」
彼女を守れるなら、俺はなんでもする。なにをされてもいい。
『では、君に与えよう』
「え?」
男は片手を胸元まで持ち上げると、手のひらの上に五つの光の球が浮かび上がった。ゆっくりと回っている。それぞれ緑、水色、黄色、白、赤。五色の光が宙に浮いたまま旋回している。
『これから、君は力を得る。しかし、それは長い旅の始まりでもある。それでも君は力を望むか?』
男からの確認に、迷わず答えた。
「彼女を救える力が手に入るなら。……望むさ」
『いいだろう』
男の手の平で回っていた光が次々と俺の体に入ってくる。抵抗もなく俺の体の中に入りその光は全身に広がると消えていった。
今のは? これが力なのか?
『今、君は五つの力を手に入れた』
感じる。男の言うとおり、体の中に五つの力がある。
『確かめるがいい』
男の言葉のあと世界に色が戻った。同時に音も聞こえてくる。世界が動き出したんだ。連中が動き出し騒ぎ声が聞こえてくる。
「なんだ大人しくなって。諦めたか?」
近くにいる男がからかう。
俺の隣にはフードの男がいるのだが見えていないのか気づいていない。
やつらの狂騒、そこに混じる香織の悲鳴。
その中で、
「来い」
俺はつぶやいた
怒りを。憎しみを。祈りを込めて。
俺は、力を解放する。
それは反撃であり超常の始まりだった。
五つの力、それは五つの剣だった。それぞれに能力があり俺は戦った。香織を救出し、銃を持つ百人近い人狩り、さらに屋上で見張っていた悪魔の群れ。普通なら勝てるはずがないその大部隊をたった一人で戦い、ついにすべてを倒していた。
ここに立っているのは俺とフードの男だけ。周辺には俺を囲うように人狩りと悪魔の死体が広がっていた。
俺が、倒したんだ。
今更だが現実感のなさに呆気にとられる。横たわる百人近い光景が夢のようだ。
いや、そんなことよりも。
「香織!」
俺は剣を消し急いで香織のもとに駆けつける。香織は広場から離れた場所に横にしてあった。
「香織、大丈夫か?」
膝を着き彼女の体を優しく抱き上げる。
「聖治、君……。終わったの?」
「ああ、終わったよ。もう大丈夫だ」
敵は倒した。香織を救えたんだ。そのことに俺の方が泣きそうだ。
「よかった」
「ああ」
「聖治君が無事で」
「え?」
ああ、そうか。俺の心配をしてくれたのか。
「あんた、誰だ?」
『力が欲しいか?』
声は男だ。その男の声が再度聞いてくる。
聞きたいことはたくさんあった。これはいったいなんなのか、あんたは何者なのか。知りたいことはいくらでもある。
だけど、それよりもなお先に口にしていた。
「……欲しい」
もし俺にこいつらよりも強い力があれば、香織を救える。それにこいつらを全員倒せる。邪悪な連中を一人残らず。
そして、今度こそ、この世界から香織を守ってやれる。
『なぜ欲する?』
「決まってるだろ、香織を、そこにいる彼女を救うためだ!」
俺一人ならいい。俺一人の命ならここまで怒ることもなかった。でも、彼女は別だ。
「俺だけならよかった。俺だけが馬鹿だと罵られようが、殺されようが、それでよかった。こんな世界だ、一人寂しく死んでいくだけだ。でも彼女は違う。彼女がいたから俺は生きてこれた。こんな場所でも笑うことができたんだ。彼女が、俺のすべてなんだ!」
人生の十分の一ほどの時間だけど、彼女と一緒にいられた時間はなによりも素晴らしいものだった。
「世界よりも、大切な人なんだ!」
彼女を守れるなら、俺はなんでもする。なにをされてもいい。
『では、君に与えよう』
「え?」
男は片手を胸元まで持ち上げると、手のひらの上に五つの光の球が浮かび上がった。ゆっくりと回っている。それぞれ緑、水色、黄色、白、赤。五色の光が宙に浮いたまま旋回している。
『これから、君は力を得る。しかし、それは長い旅の始まりでもある。それでも君は力を望むか?』
男からの確認に、迷わず答えた。
「彼女を救える力が手に入るなら。……望むさ」
『いいだろう』
男の手の平で回っていた光が次々と俺の体に入ってくる。抵抗もなく俺の体の中に入りその光は全身に広がると消えていった。
今のは? これが力なのか?
『今、君は五つの力を手に入れた』
感じる。男の言うとおり、体の中に五つの力がある。
『確かめるがいい』
男の言葉のあと世界に色が戻った。同時に音も聞こえてくる。世界が動き出したんだ。連中が動き出し騒ぎ声が聞こえてくる。
「なんだ大人しくなって。諦めたか?」
近くにいる男がからかう。
俺の隣にはフードの男がいるのだが見えていないのか気づいていない。
やつらの狂騒、そこに混じる香織の悲鳴。
その中で、
「来い」
俺はつぶやいた
怒りを。憎しみを。祈りを込めて。
俺は、力を解放する。
それは反撃であり超常の始まりだった。
五つの力、それは五つの剣だった。それぞれに能力があり俺は戦った。香織を救出し、銃を持つ百人近い人狩り、さらに屋上で見張っていた悪魔の群れ。普通なら勝てるはずがないその大部隊をたった一人で戦い、ついにすべてを倒していた。
ここに立っているのは俺とフードの男だけ。周辺には俺を囲うように人狩りと悪魔の死体が広がっていた。
俺が、倒したんだ。
今更だが現実感のなさに呆気にとられる。横たわる百人近い光景が夢のようだ。
いや、そんなことよりも。
「香織!」
俺は剣を消し急いで香織のもとに駆けつける。香織は広場から離れた場所に横にしてあった。
「香織、大丈夫か?」
膝を着き彼女の体を優しく抱き上げる。
「聖治、君……。終わったの?」
「ああ、終わったよ。もう大丈夫だ」
敵は倒した。香織を救えたんだ。そのことに俺の方が泣きそうだ。
「よかった」
「ああ」
「聖治君が無事で」
「え?」
ああ、そうか。俺の心配をしてくれたのか。
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