VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい

夏月太陽

75.合同でクエスト 8


 リュウジくんの声がした方に行ってみると、リュウジくんがすでに倒した後だった。

「リュウジくん、どんなモンスターを見つけたの?」
「うーんとねぇ、おおきなトラさんだったよ!」

 リュウジくんがそう言った瞬間、ハヤトがリュウジくんを問い詰めた。

「その虎、雷を放ってませんでしたか!?」
「うんっ、バチバチって!」
「なっ……!?」

 ガクッと四つん這いになるハヤト。

「……ハヤト?」
「なんで……なんでリュウさんの家系は強いモンスターをあっさり倒しちゃうんですか……!」

 四つん這いになったハヤトの隣に片膝をついてハヤトに話し掛けると、ハヤトがそう言って僕の胸ぐらを掴んできた。

「えぇっ!? いや、そんなこと言われても……リュウジくんだからとしか言えないよ……」
「絶対リュウさんでも倒せました~! 断言します~! 悔しいです~! 運営側として悔しいです~!」

 なんだその幼稚な拗ね方……。

 前から思ってたけど、ハヤトってプレイヤーなのに運営側の観点で話すよね。

 まぁ、それが有り難かったりするんだけど。

 ハヤトが拗ねたところへ、マクロがこう聞いてきた。

「なぁ、もしかしてその虎って……」
「あぁ、はい。『雷獣』です」

 急に名前が……まぁ、いいか。

 ハヤトによると、このゲーム内の『雷獣』とは【英雄の台地】内で一番強い、いわゆるラスボス的なポジションのモンスターらしい。

 そんなポジションのモンスターをリュウジくんがあっさり倒したことに、ハヤトは説明しながら呆れしかなさそうにため息をついた。

 『雷獣』は、その名の通り雷を使って攻撃ずるそうだ。

 加えて、動きも雷の如く光速なので捉えることすら難しいらしい。

 よくそんなモンスターをリュウジくんは倒せたなと感心すると、ハヤトにまた怒られた。

「なに言ってるんですか! リュウジくんができるってことは、リュウさんができることの証明でしょう!? まったく、これだからリアルチートブラザーズは困るんですよ」

 なんか新しい言葉が出来ちゃった!?

 なに? リアルチートブラザーズって……。

 ハヤトの言葉に戸惑っていると、自分が怒られてると思ったのか、リュウジくんがハヤトにこう聞いた。

「たおしちゃダメだったの?」 
「い、いえいえ、このゲームの中で倒しちゃいけないモンスターなんて、テイムしたモンスターぐらいですから安心してくださいっ」
「ほんとっ? よかった!」

 そう言って満面の笑みを浮かべるリュウジくん。

 それを見て罪悪感を覚えたのか、僕に救いを求める目を向けるハヤト。

 僕は、そんなハヤトの肩に手を置き、こう言った。

「うん、あの笑顔を見たらそうなるよね。わかるよ」

 そう言いながらうんうんと頷く僕。

 リュウジくんの無邪気な笑顔を見ると、なんかこう妙な罪悪感を覚えるんだよね。不思議。

「だからさ、謝っとこう? そうすればスッキリするよ?」

 僕がそう提案すると、ハヤトは頷いてリュウジくんに謝った。

「リュウジくん、すみませんでした」
「? よくわかんないけど、いいよ」

 またもや満面の笑みを浮かべるリュウジくん。

 謝ってることすら罪悪感を覚えそう……。

 そうだ、この笑顔をリュウジくんスマイルと名付けよう。

 ネーミングセンスが無いにもほどがあるけど……。

 そんなことを思っていると、モモが話し掛けてきた。

「リュウさん、そろそろ夕飯の時間になりますよ?」
「えっ? あっ、本当だ! ログアウトしないと!」
「えぇ、まだあそびたい!」
「まぁ、あと2体倒さないといけないし……2体倒すまでだよ?」
「うん」

 しっかりとした返事をもらったので、あと2体倒してからログアウトすることになった。

 残り2体は、リュウジくんが妥協して、見つけたモンスターを片っ端から倒すことになったので、最初に『スチールジャイアント』を見つけて倒し、次に『ジャイアントパンダ』を見つけて倒した。

 これで10体倒したことになったので、クエストクリアとなった。

 そう言えば、報酬がなんなのか聞くのを忘れてた。

 リュウジくんに聞こうとすると、何かを手に持っていることに気づいた。

「リュウジくん、なに持ってるの?」
「リュウにいちゃん、これあげる!」

 そう言って僕に渡してきたのは、ドラゴンの鱗だった。

 よくわからなかったので、ハヤトに聞いてみた。

「なにこれ? 何に使うものなの?」
「それは、今回のクエストの報酬で、それがあれば、あらゆる状態異常を無効にできるんですよ」
「えっ、そんな大事なものもらっていいの?」
「うんっ、リュウにいちゃんにもらってほしかったから」

 出た、リュウジくんスマイル。

 これは、もらってあげなければならないですね。

 というわけで、有り難くもらっておいた。

 その後、マクロ達はこのままゲームを続けるらしいので、そこで別れた僕達はギルドホームへ戻ってからログアウトした。

 この人数なら10体楽勝とか思ってたけど、ハヤトとフウキとヒカリとモモは全然戦ってなかったし、僕もあまり戦わなかったから意外と時間が掛かった。

 原因はリュウジくんが戦闘狂並みにモンスターに一人で挑んだことにあるけど、最終的に僕のためだったので許す。


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