VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい
71.合同でクエスト 4
あの後、『コバルトスパイダー』に挑んだマクロは相次ぐ『コバルトスパイダー』の240㎞相当の攻撃を避けきれず、敢えなく敗退した。
初めて目の前で倒される人を見た上に、サラッと蘇生アイテムを使うのを見た。
「あんなのあったっけ?」
そうハヤトに聞いてみると、こう返ってきた。
「あれも最近追加されたものです。マクロさん達は公式プレイヤーなので、特別に先行付与してあります」
そう言えばマクロ達は公式プレイヤーだったっけ。完全に忘れてた。
というか、今まで蘇生アイテム無かったとか、今までの蘇生方法ってどんな方法だったのだろうか。
そこのところをハヤトに聞いてみた。
「そりゃマジシャンの蘇生魔法でですよ。まぁ、MPが一定時間空になるペナルティーがあるんですけどね」
「なるほど、だから蘇生アイテムを追加したわけだ」
「簡単に手に入るとゲームバランス的にあれなので、入手方法は少し難しめになってますけど」
「へぇ」
まぁ、妥当じゃないかな?
簡単に手に入ったら死ぬことを前提に攻略する、いわゆるごり押しが可能になるわけだし、それを防ぐために入手難易度を高くするのは必然だと思う。
結局『コバルトスパイダー』は、僕があっさりと倒した。
そしてまた手に入る大量のコバルト。
「またコラソさん行きだなこれは……」
コバルトを回収しながらため息混じりにボソッと呟いた僕は、後ろに居たマクロに振り向いて話し掛けた。
「やっぱりトッププレイヤー(弱)さんには無理だったかぁ」
「うっ……今回は何も言い返せない……! というか、反則だろ!! なんで『コバルトスパイダー』の攻撃をあんな簡単に避けられるんだよ!」
「なんでと言われても……避けられるから?」
「だから、それがおかしいって言ってんだよ!」
おかしいって言われても、できるからできるんであって、それが必然というか世の理(ことわり)だと思うんだけど。
あとは、できるかできないかは貴方次第! みたいな感じ。
それに照らし合わせた結果がこの状況なんだから、現実を受け入れてほしい。
さてどう答えたものかと悩んでいると、カナデとクリアとマサトがマクロにこう言った。
「まあまあ、リュウだから仕方ないって」
「そうそう、バッティングセンターの240㎞を狙ったところに打ち返せるリュウなんだからさ。元気出そうぜ?」
「それに、リュウ君がダメージ負ったところ見たこと無いもん。初ログインしてから」
「いや、一回だけあるよ」
「「「「はぁ!?」」」」
僕の言葉に心底驚いた様子の四人。
「誰だ、誰にやられた!?」
「リュウにダメージ負わせられそうなプレイヤーなんて居たか?」
「いや、世の中は広いから一人くらい居てもおかしくないだろ」
「そうそう」
四人が自分の見解やらなんやらを言った後僕のことをジーッと見詰めてきた。
「えっと、小さいドラゴン3体のじゃれつくために飛んできたのが体当たり判定されて少しだけダメージが入ったんだよ」
僕がそう言うと、「あぁ、なるほど!」といった感じで同時に手を打って納得する四人。
四人並んでここまで一挙一動がピッタリ合うのを見ると気持ち悪い。
どんだけ仲良しなんだよって話。
仲が良いのはいいことだけど、それとこれとは話が違う。
まぁ、集団行動に比べればまだマシなレベルの気持ち悪さだけども。
そんなことを思っている間に、次のモンスターが現れた。
現れたのは、『サラマンダー』だった。
見た目は赤色のトカゲのような感じだけど強そうではある。体から炎が噴き出してるし。
ハヤトによると、サラマンダーだけあって炎で攻撃してくるのと、炎耐性があるらしい。
でも、この中で炎が使えるのハヤトとカナデくらいしか居ないからあまり意味がない。
そこでやっとリュウジくんが落ち込みから復活して僕にこう言った。
「ぼくがたたかう!」
「えっ、あぁ、どうぞ?」
戸惑い気味に答えると、リュウジくんは嬉しそうに『サラマンダー』と対峙した。
「プルルン、こおりのつぶて!」
リュウジくんがプルルンにポ○モンのような指示すると、プルルンは答えるようにぷるるんとした後、氷のつぶてを放った。
プルルンが放った氷のつぶては、真っ直ぐ『サラマンダー』に向かって飛んでいくと、『サラマンダー』が炎のブレスを吐いて氷のつぶてを溶かしてしまった。
すると、プルルンが防がれたことが悔しかったのか、勝手に氷のつぶてを再度放った。
今度の氷のつぶては、先程に比べて大きさが大きかった。
先程の氷のつぶてがバスケットボール並みだとすると、今放った氷のつぶては小学校の運動会の競技の大玉転がしの大玉並の大きさだった。
その為、『サラマンダー』は先程と同じように炎のブレスを吐いて溶かそうとするが、大きさが大きさなため溶かしきれずに直撃した。
効果は抜群のようで、『サラマンダー』は悲鳴を上げている。
そこでプルルンの目が光った気がした。いや、プルルンに目はないけど。
そんなプルルンが、大玉並の大きさの氷のつぶてを連続で放った。
『サラマンダー』はやはり炎のブレスを吐いて溶かそうとするが、溶かせない上に連続で飛んできたためにすべての氷のつぶてが直撃して『サラマンダー』は倒された。
プルルンの独壇場だった。やる気出してたリュウジくんすら唖然としてる状態だ。
プルルンがぷるるんとしているのが、どことなくドヤ顔しているように見える気がする……。
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