転生ウジ虫野郎の毒使い
反響する断末魔
「さて、着いたよここが『迷宮ガラゴラ』だ。」
ギルドで貰った地図を開き恥じる事もなくさも自らが博識かのような口振りで言った。
其処には禍々しい瘴気が漏れ出す小さな神殿が建っていた。気味悪がって誰も手を付け無い林の中だというのにそこだけは草花が一切存在しないという歪な場所。
しかしマックは気圧される事なく神殿の戸を開いた。正直こう、グイグイ行ってくれると大分助かる。
戸を開けると直ぐに下へ降りる為の下り階段が続いていた。瘴気の影響で一歩先の日の光が届かない真っ暗な神殿をギルドで借りたランプを頼りに下っていく。
おぼつかない足取りの妹を置いてマックは一人進んで行く。一人あたふたとしているサチを気の毒と思ったヒロは話掛ける事にした。
(無口な妹に話掛けるには若干勇気がいるが…
「さ、サチはどうして冒険者何かに?金に困っている様にも見えないんだけど。」
おどおどと「わ、わ、わ、私は養子なんです。ハインベルン家に拾われて……兄さんの役に立ちたかったんです。」と答えた。
どうやらマックの実家は名のある貴族でそこの養子として迎えられたのがサチだそうだ。権力が日に日に落ちていった貴族の復刻の為にマックが名乗りあげた。サチは今までの恩に報いる為に付いてきたとの事、何とも健気な話である。
ヒロとサチは互いの身の上話をしている内に自然に話せるようになっていた。
「二人共下がれ!!」
先行していたマックが何かと対峙したようだ。
緑色の皮膚を持ち大きな鼻と耳が付いていて口からはボタボタと粘液質の唾液が垂れていた。
あれは元の世界で『ゴブリン』と呼ばれていた物によく似た特徴を持っていた。
マックの掛け声と共に#短剣__ダガー__#を両手に構えた。彼の装備している『魔剣』とやらと比べると大分手持ち無沙汰な所があるが様にはなっている気がする。
気味の悪い高笑いを挙げながらジリジリと接近して来るゴブリンは右手に石ナイフを付けていた。
「はァァァァァあッッ!!!」
「ギィィィィィィ!!」
マックの腕から伸びた剣はゴブリンの胸元を切り裂いた。ピクピクと後退りをするをゴブリンの後ろに回り込み首元にヒロは短剣を一太刀入れた。
暫く続いた、臨戦態勢の結果ヒロ達のパーティが勝利を納めたのだった。
短剣をゴブリンの首元を掻っ切った時の感触が未だに残っている。生き残る為と割り切ってはいたいたにはいたが、右手に付いた灯油みたいなドス黒い血液が身を震えさせた。
「ナイス!!ヒロ!」とマックの差し出した手にパチンとハイタッチをかました、震える右手を隠しながら。
ヒロたち一行は迷宮を深く進んで行った。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
あれからどれくらい過ぎたのだろう。周りが暗すぎて時間感覚が無くなってしまう。長い間引き篭もっていた為既にバテバテであった。しかし、ここで歩みを止めてしまえば前の世界での自分を肯定した事になる。付いて来ておいてマック達のお荷物なんて御免だ。
「おい、ヒロ!!」とマックが呼ぶ声がした。駆け足で寄ると先程までの息詰まりがしそうに狭苦しかった下り階段とは打って変わりアホのように開けた洞窟口が広がっていた。
辺りは光源を含む鉱石があちこちに生えていてランプ無しでも充分に明るかった。
「取り敢えず、ここら辺で休憩にしよう。」そう言いマックは岩場に腰を付いた。
保持していた干し肉と乾パンをつまみながら、この後の行動について話し始めた。
「ここが恐らくこの迷宮のターニングポイントだ、ギルドのマッピングもここで途切れている。」
確かにギルドから貰ったマップにはこのだだっ広い洞窟口でプッツリと途切れていた。ギルドのお姉さん話によると過去にここへ入った迷宮マッピング班からの通信が途絶えたのもここを少し行って直ぐだと言う。
「あ、あのひ、ヒロさん、私が歩くのが遅くてずっと合わせて頂いてごめんなさい、この先もが、頑張りましょう。」
悪いのですがあれが全速力で今すでヘトヘトです、何かすいません。
この後の方向性として後数時間の探索の後、ガランゴランの巣を発見出来無ければマッピングをし帰還という事になった。
きっとこの時の僕はこのパーティは良いものだなと思っていた。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
「なんっだよ、ここ!!」
洞窟に入って数十分そこに広がっていたのは地獄そのものだった。休む暇も無く魔獣が現れ息が上がる。#短剣__ダガー__#を振るたび、切るたびに切れ味が悪くなっている事が分かる。
「いやぁぁあ!!」それはヒナの叫び声だった。ヒロの片目に映ったのは石で出来たこん棒を持つ鬼のような形相をした三メートルを有に超える異形の化物の前にヒナが萎縮していた。
その時僕は考える前に身を乗り出していた。化物がこん棒を振り上げた。萎縮して動けないヒナを力一杯に押し出した。
ゴシャッ!!
無情な音が洞窟内に反射した。ヒロの頭蓋は砕け首が跳ねられていた。
遠目にはマックに引きずられながら手を伸ばすサチがぼんやりと見えた。
右目に入った血液が凍みる。
僕は絶命するまでの数分間、ゴブリン達が自分の身にザクザクとナイフを刺し続ける姿を見た。
耳が捻り切れるような歪な声がする。それは死する前の自分の断末魔であった。
ギルドで貰った地図を開き恥じる事もなくさも自らが博識かのような口振りで言った。
其処には禍々しい瘴気が漏れ出す小さな神殿が建っていた。気味悪がって誰も手を付け無い林の中だというのにそこだけは草花が一切存在しないという歪な場所。
しかしマックは気圧される事なく神殿の戸を開いた。正直こう、グイグイ行ってくれると大分助かる。
戸を開けると直ぐに下へ降りる為の下り階段が続いていた。瘴気の影響で一歩先の日の光が届かない真っ暗な神殿をギルドで借りたランプを頼りに下っていく。
おぼつかない足取りの妹を置いてマックは一人進んで行く。一人あたふたとしているサチを気の毒と思ったヒロは話掛ける事にした。
(無口な妹に話掛けるには若干勇気がいるが…
「さ、サチはどうして冒険者何かに?金に困っている様にも見えないんだけど。」
おどおどと「わ、わ、わ、私は養子なんです。ハインベルン家に拾われて……兄さんの役に立ちたかったんです。」と答えた。
どうやらマックの実家は名のある貴族でそこの養子として迎えられたのがサチだそうだ。権力が日に日に落ちていった貴族の復刻の為にマックが名乗りあげた。サチは今までの恩に報いる為に付いてきたとの事、何とも健気な話である。
ヒロとサチは互いの身の上話をしている内に自然に話せるようになっていた。
「二人共下がれ!!」
先行していたマックが何かと対峙したようだ。
緑色の皮膚を持ち大きな鼻と耳が付いていて口からはボタボタと粘液質の唾液が垂れていた。
あれは元の世界で『ゴブリン』と呼ばれていた物によく似た特徴を持っていた。
マックの掛け声と共に#短剣__ダガー__#を両手に構えた。彼の装備している『魔剣』とやらと比べると大分手持ち無沙汰な所があるが様にはなっている気がする。
気味の悪い高笑いを挙げながらジリジリと接近して来るゴブリンは右手に石ナイフを付けていた。
「はァァァァァあッッ!!!」
「ギィィィィィィ!!」
マックの腕から伸びた剣はゴブリンの胸元を切り裂いた。ピクピクと後退りをするをゴブリンの後ろに回り込み首元にヒロは短剣を一太刀入れた。
暫く続いた、臨戦態勢の結果ヒロ達のパーティが勝利を納めたのだった。
短剣をゴブリンの首元を掻っ切った時の感触が未だに残っている。生き残る為と割り切ってはいたいたにはいたが、右手に付いた灯油みたいなドス黒い血液が身を震えさせた。
「ナイス!!ヒロ!」とマックの差し出した手にパチンとハイタッチをかました、震える右手を隠しながら。
ヒロたち一行は迷宮を深く進んで行った。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
あれからどれくらい過ぎたのだろう。周りが暗すぎて時間感覚が無くなってしまう。長い間引き篭もっていた為既にバテバテであった。しかし、ここで歩みを止めてしまえば前の世界での自分を肯定した事になる。付いて来ておいてマック達のお荷物なんて御免だ。
「おい、ヒロ!!」とマックが呼ぶ声がした。駆け足で寄ると先程までの息詰まりがしそうに狭苦しかった下り階段とは打って変わりアホのように開けた洞窟口が広がっていた。
辺りは光源を含む鉱石があちこちに生えていてランプ無しでも充分に明るかった。
「取り敢えず、ここら辺で休憩にしよう。」そう言いマックは岩場に腰を付いた。
保持していた干し肉と乾パンをつまみながら、この後の行動について話し始めた。
「ここが恐らくこの迷宮のターニングポイントだ、ギルドのマッピングもここで途切れている。」
確かにギルドから貰ったマップにはこのだだっ広い洞窟口でプッツリと途切れていた。ギルドのお姉さん話によると過去にここへ入った迷宮マッピング班からの通信が途絶えたのもここを少し行って直ぐだと言う。
「あ、あのひ、ヒロさん、私が歩くのが遅くてずっと合わせて頂いてごめんなさい、この先もが、頑張りましょう。」
悪いのですがあれが全速力で今すでヘトヘトです、何かすいません。
この後の方向性として後数時間の探索の後、ガランゴランの巣を発見出来無ければマッピングをし帰還という事になった。
きっとこの時の僕はこのパーティは良いものだなと思っていた。
❖ ❖ ❖ ❖ ❖ ❖
「なんっだよ、ここ!!」
洞窟に入って数十分そこに広がっていたのは地獄そのものだった。休む暇も無く魔獣が現れ息が上がる。#短剣__ダガー__#を振るたび、切るたびに切れ味が悪くなっている事が分かる。
「いやぁぁあ!!」それはヒナの叫び声だった。ヒロの片目に映ったのは石で出来たこん棒を持つ鬼のような形相をした三メートルを有に超える異形の化物の前にヒナが萎縮していた。
その時僕は考える前に身を乗り出していた。化物がこん棒を振り上げた。萎縮して動けないヒナを力一杯に押し出した。
ゴシャッ!!
無情な音が洞窟内に反射した。ヒロの頭蓋は砕け首が跳ねられていた。
遠目にはマックに引きずられながら手を伸ばすサチがぼんやりと見えた。
右目に入った血液が凍みる。
僕は絶命するまでの数分間、ゴブリン達が自分の身にザクザクとナイフを刺し続ける姿を見た。
耳が捻り切れるような歪な声がする。それは死する前の自分の断末魔であった。
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