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激補助のショートリリック

激しく補助席希望

トリニティ:悪意をもって正義と成す。

ジャンル:恋愛
お代:ガソリン、ダークヒーロー、トイレットペーパー



 闇夜の病院、その屋上に降り立つ影が2つ。

 その2人は共にマントを羽織った異形の姿をしていた。


「なんなの?何故私を付けてくる?」

「話をしたい。俺とアンタは他の奴らと違うから。」


 彼等はこの街に降り立ち、悪には悪で世の裁きを与える孤高の『ダークヒーロー』だ。普段なら相容れぬ2人だが、この街の夜に自分意外にもこの活動をしている奴がいるという噂を聞いてから、いつしか2人は互いに意識し合う仲となった。

 今回はこの病院に不正な改造治療を施す外科医がいるとの情報を手に入れ、調査に乗り出した途端にお互いの意中の相手と遭遇してしまったのだ。


「で、何?話って。」

「アンタは他の自警団とは違う。明確に悪意に対して悪意をもって返している。その理由が、知りたい。」


「…それを、知って貴方はどうするの?」


「分からない。ただ、1人で戦う以外も悪くないかもと、初めてそう思った。それだけだ。」


「…理解出来ない。でも、貴方は今まで1人だったんでしょう?これからだって1人でするべき事をすればいいんじゃない?」

「それも、分からない。何故アンタと話をしたがっているのかが、分からない。」


 2人の間に静寂が走る。お互い何か、心の隙間を埋める物を探していたのかもしれない。男のダークヒーローはそう思った。


「…別にどうだっていい、ただし、今回の目標はあたしの獲物。邪魔するなら容赦しない。」

 女のダークヒーローが胸の辺りからラインガンを取り出し、隣のビルに向けてロープを発射する。

「まて!この先には…!!」



 男のダークヒーローが止めようとした時には、既に彼女はロープを伝い下の階へと降りて行った。

「ちっ…先を越される訳にはいかない。」

 男は屋上の非常階段を使って下の階を目指した。




「ひひひ!私は天才…天才だぁ!燃料さえあれば、人は生命を無くしても動き続けられる!もうすぐ完成するぞ、私の作品が!!」


 完全に密室となっている違法な手術室に、マッドサイエンティストが1人、「かつて」患者だったモノの中身を、おぞましい機械と取り替えていた。その時、パソコンのモニターに赤い警告表が表れる。


「うん?…おおぉ!コイツは嬉しい!!頑丈な『素体』を待っていたよぉ〜!!」


 監視カメラに映る、窓ガラスを突き破って入ってきた女のダークヒーローの姿を見て、不気味な笑みを浮かべていた。







 ある程度下調べはしていた物の、病院の内部には建築物の設計にない通路が存在していた。慎重に足を進めるも、不意に来た化学薬品のような臭いに気を取られていた。




「危ない!!『ガソリン』だ!!」

 彼女が進んでいた通路が火の海になる寸前に、男はマントでシールドを作り彼女を庇う。


「うひゃひゃひゃ〜!!生命の水はガソリンただ一つ!清らかなオクタン価の示す輝きとなぁぁれぇぇ!!」


「…危なかったな。奴はガソリン信者の違法外科医だ。血をガソリンに変える人体実験を行っている。」

「そ、そんな事知ってる!勝手な事するな!!」

「わかってるって。自分のケツぐらい拭けるってんだろ?」

 外科医が火炎放射器に次弾を装填しようとしている。


「…てめぇはコイツで自分のケツでも、拭いてろ!!」


 男のダークヒーローは自分が換気扇を通って侵入してきたトイレから失敬してきた、『トイレットペーパー』の1ロールを火炎放射器の先に付いている銃口に投げつける。綺麗な横回転をして、トイレットペーパーは、見事に銃口にスポッとハマった。


「な、なにぃ!ぎゃあああ!!」

 火炎放射器の先から噴射されるはずの高圧ガソリンが、全てトイレットペーパーに吸収され、銃身は火で包まれる。その炎は、外科医が背中に背負うガソリンタンクに燃え移る。


「テメェの罪はその炎でチャラだ。永遠の苦しみを与えてもらって良かったな!」

「やばいぞアイツ爆発する!」

 注意され、咄嗟に男のダークヒーローは女を抱えて窓から外へ飛び出す。

 高さ15階のビルから飛び出すも成すすべがない。




「…アンタだって、自分のケツぐらい自分で拭きなさいよ。」


 男に抱きかかえられたまま、女はラインガンを隣のビルの屋上目掛けて発射する。

 振り子の原理で2人はロープを使い移動するのと、病院が爆発するのは同時だった。







「で、コレからどうするの?別に助けてくれたからってお礼なんかしないよ?」

「そうか、なら仕方ない。さっさと移動して姿をくらませる必要があるからな。」

 抱き抱えた彼女を下ろし、男は足早に帰ろうとする。

「なぁ!待ちなよ!!」

「…あぁ?どうした?」



「…礼は言わないけど、コーヒーぐらいなら付き合って上げてもいいわよ。」


「ふん…どっかで『恋の炎』にでも当てられたか?」ニヤリ




─夜の街に、また1つ平和が訪れた─





END 


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