剣と魔法の輪廻譚
目覚めと、『寂しい』と言う感情
ミフユside
「…………ぅ」
眠りの海に沈んだ意識が、ゆっくりと目覚めていく感覚。
体に重くのし掛かる重力と、ジクジクと痛む体が、意識をはっきりとさせてくる。
「……ぅく……っ」
思わず呻き声が出る。
「…………お姉、ちゃん」
ベットに腕を組んで頭を置くような形で、寝落ちしたようだ。
お姉ちゃんの頬に薄く残る傷を、指で撫でる。
「お姉ちゃんが、ここまで運んでくれたんだよね。ありがとう」
寝ている彼女にこの声が届くかはわからない。
勿論起きてからも礼は言うつもりだ。
それでも。
「……随分、迷惑かけちゃってたよね」
《愚者の神聖》を使ってから、私の回復速度は、一時的ではあるものの、著しく低下していたようだ。
「ごめんね、こんな、迷惑ばかりかける妹で」
いくら謝っても、過ちは消えない、そうとわかっているのに。
だから、これは、自己満足でしかなくて。
「……………」
やるせない気持ちが募るだけの、無意味な行為だ。
ルチットside
暗い暗ーい、なんにもない、あたししかいない部屋。
「つーまーんーなーいーっ!!」
うだうだしても、なにも起こらないし、少し寂しくなるだけだし。
それに。
「スピカも、アレクも死んじゃったんだよねぇ……」
他人が死ぬことには関しては、生まれてから一度も、『じひ』も、『きょうふ』も、何も懐かなかったし、どうってことなかったんだけど。
________『かぞく』が死ぬことは、今まで一度もなかった。
お家にいないことはあっても、どれ程遅い時間になっても、帰ってこないことはなかった。
あたしの『かぞく』は、あの二人だけだったから。
二人は凄く強かった、小さい頃は、あたしをずっと守ってくれた。
それなのに、生き残ったのはあたしだけだった。
こう言うときは、『かなしさ』を懐くものなのかな。
こんなときは、『にくしみ』とか、『うらみ』を、持つものなのかな。
「………わかんないや」
考えたこともなかった、知る機会もなかった。
人が持つべき『かんじょう』を、あたしは知らない。
本当なら、あの人のことを『にくい』と思うのかな。
だけど、今は、兎に角、どうしようも無いほどに。
_______『寂しい』。
空元気も通用しないぐらいに。
「……………」
ホントなら、あたしだって生きてないはずだった。
あの人に、あたしは救われたんだ。
助けを求めたわけでもないのに、あの人はあたしを助けた。
わからない、どうして敵を、殺そうとした相手を助けるのか。
あれは、『じひ』だったのか、それとも、もっと他の『なにか』だったのか。
御人好しとは、災難だ。
あたしを助けたせいで、実の『かぞく』を失いかけたと言うのに。
「バカだなぁ、あの人は」
結果的には、どちらも得をしてない訳だし。
あの人は、『かぞく』を失いかけて、あたしは『寂しさ』を募らすだけなわけで。
「やーめたぁ!!こんなつまんない話~!」
…………………。
「そう言えば、あの人はあたしに聞きたい話があったんだっけ~?」
ふと、そんなことを思い出した。
「………早く、会いに来ないかなぁ~?」
「…………ぅ」
眠りの海に沈んだ意識が、ゆっくりと目覚めていく感覚。
体に重くのし掛かる重力と、ジクジクと痛む体が、意識をはっきりとさせてくる。
「……ぅく……っ」
思わず呻き声が出る。
「…………お姉、ちゃん」
ベットに腕を組んで頭を置くような形で、寝落ちしたようだ。
お姉ちゃんの頬に薄く残る傷を、指で撫でる。
「お姉ちゃんが、ここまで運んでくれたんだよね。ありがとう」
寝ている彼女にこの声が届くかはわからない。
勿論起きてからも礼は言うつもりだ。
それでも。
「……随分、迷惑かけちゃってたよね」
《愚者の神聖》を使ってから、私の回復速度は、一時的ではあるものの、著しく低下していたようだ。
「ごめんね、こんな、迷惑ばかりかける妹で」
いくら謝っても、過ちは消えない、そうとわかっているのに。
だから、これは、自己満足でしかなくて。
「……………」
やるせない気持ちが募るだけの、無意味な行為だ。
ルチットside
暗い暗ーい、なんにもない、あたししかいない部屋。
「つーまーんーなーいーっ!!」
うだうだしても、なにも起こらないし、少し寂しくなるだけだし。
それに。
「スピカも、アレクも死んじゃったんだよねぇ……」
他人が死ぬことには関しては、生まれてから一度も、『じひ』も、『きょうふ』も、何も懐かなかったし、どうってことなかったんだけど。
________『かぞく』が死ぬことは、今まで一度もなかった。
お家にいないことはあっても、どれ程遅い時間になっても、帰ってこないことはなかった。
あたしの『かぞく』は、あの二人だけだったから。
二人は凄く強かった、小さい頃は、あたしをずっと守ってくれた。
それなのに、生き残ったのはあたしだけだった。
こう言うときは、『かなしさ』を懐くものなのかな。
こんなときは、『にくしみ』とか、『うらみ』を、持つものなのかな。
「………わかんないや」
考えたこともなかった、知る機会もなかった。
人が持つべき『かんじょう』を、あたしは知らない。
本当なら、あの人のことを『にくい』と思うのかな。
だけど、今は、兎に角、どうしようも無いほどに。
_______『寂しい』。
空元気も通用しないぐらいに。
「……………」
ホントなら、あたしだって生きてないはずだった。
あの人に、あたしは救われたんだ。
助けを求めたわけでもないのに、あの人はあたしを助けた。
わからない、どうして敵を、殺そうとした相手を助けるのか。
あれは、『じひ』だったのか、それとも、もっと他の『なにか』だったのか。
御人好しとは、災難だ。
あたしを助けたせいで、実の『かぞく』を失いかけたと言うのに。
「バカだなぁ、あの人は」
結果的には、どちらも得をしてない訳だし。
あの人は、『かぞく』を失いかけて、あたしは『寂しさ』を募らすだけなわけで。
「やーめたぁ!!こんなつまんない話~!」
…………………。
「そう言えば、あの人はあたしに聞きたい話があったんだっけ~?」
ふと、そんなことを思い出した。
「………早く、会いに来ないかなぁ~?」
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