剣と魔法の輪廻譚 《Drake-route》

にぃずな

自己紹介

クラスに移動し、適当な席へ着く。
(やっぱり、貴族が多いな)
高貴な服装の人が多く、偉そうに座っている。
そして、とても騒々しい。
(不快…、私も一応貴族ではあるけども)
頬杖をつきながら、先生が来るのを待っていると
「合格おめでとう、諸君」
先生が入ってきた、女性だ。
「簡単な自己紹介をしよう、私の名前は、ハルマ=ティーグルースだ、以後よろしく」
良くとおる声で、さっきまで騒がしかった教室を一声で静めた。
生徒が先生の方へ注目したことを確認したハルマ先生は、咳払いを一つし、言葉を続ける。
「さて、早速だが、諸君には自己紹介をしてもらう、最初は…」
言い忘れていたけど、私達の席は5列あるうちの、前から3番目の例で真ん中の方である。
そして、私は、テルトとお姉ちゃんに挟まれる形で座っている。
良いっちゃ良いけども、テルトに関しては腰辺りを尻尾でずっとてしてしされている。
(くすぐったい…)
そんなことを思いながら、順番を待っていると、お姉ちゃんの名前が呼ばれた。
「次、シュナ=シャルティア」
「はい」
ぎこちなさを感じない動作で教卓へ向かう。
そして、少し間を置いて
「初めまして、私の名前はシュナ=シャルティアと申します。得意分野は剣術で、得意属性は光です。以後宜しくお願いします」
最後に一礼をし、席へ戻ってきた。
(流石騎士帰りというべきかな?)
可憐でありながら、騎士だった頃の堂々さ、威厳を感じさせる紹介だった。
因みに、次は私の番だ。
「次、ミフユ=シャルティア」
「はい」
こういうものには慣れているので、あまり苦ではない。
というか、さっさと終わらせたい。
教卓へ向かい、一息おき
「初めまして、私はミフユ=シャルティアと申します。得意分野は剣術、得意属性は…」
ここで、爆弾を投下していこう。
「全属性です」
テルトとお姉ちゃんを除いたクラスの人達がざわめき始めた。
私は、特に表情を変えずに続けていく。
(と、言っても、後は宜しくって言うだけなんだけどね)
「以後、宜しくお願いします」
さっと頭を下げ、とっとと席へ戻る。
問題は次だ。
(テルト、大丈夫かな…)
テルトは獣人であるため、貴族から反感をくらうかもしれない。
そんじょそこらの貴族に劣るわけは無いが、精神面が少し怖い。
(頑張れ、テルト)
「次、テルト=グレルウフ」
「っはい!」
そんなことを考えていたら、ハルマ先生がテルトの名前を呼んだ。
それと同時に、教室がざわつき始める。
テルトの尻尾は完全に下がっており、耳も垂れている。
「はじ、めまして。わ、私の名前は、テルト=グレルウフ…です。得意分野は、剣術と武術です。得意属性は、土です……い、ご、宜し…」
「はんっ、とっとと去れ!ここは獣人なんざがいて良いところじゃねぇんだぞ!」
「そーだ!獣人の鳴き声なんて聞いてたら、耳が腐るわ!」
この発言を筆頭に、半数の貴族が声をあげ始める。
(アイツら…)
歯を食い縛り、衝動を堪える。
私の中で、何かが切れた音がしたからだ。
テルトは早足に席へ戻ってきた、涙目になりながら。
「あるっ、じぃ…」
「テルト……」
掠れた声で、私を呼ぶ。
苦しくて仕方がない。
それ以上に辛いのはテルトの方だ。
尻尾は震え、ずっと俯いている。
(手を打つしかない)
そんなことを考えながら、全員の自己紹介が終わった。
そして、色々説明をされ最後に
「何か言いたいことがある奴は挙手しろ」
良いタイミングとしか言えない。
すかさず挙手し、指名される。
教卓へ向かい、生徒の方を向く、そして大きく息を吸い
「獣人の、テルト=グレルウフは私の従者です。彼女に危害を加えようものならば…」
一息おき、全員に確実に聞こえる声で


「容赦なく叩き潰しますんで、ご理解下さいね」


堂々と言ってやった。
テルトは目を見開き、お姉ちゃんは納得したように頷いている。
全属性を使える私を敵に回したらどうなるか、計り知れないだろう。
逆に、全て生半可だろうと思い襲ってきても潰せば良いだけだ。
席へ戻ると、テルトが
「何言ってるんだ、主…そんなこと言ったら、迷惑掛けちゃ…」
「テルト」
私は、笑いかけながら、応える。
「テルトは私の大切な家族だよ?家族であり、仲間であり、従魔なんだから、迷惑なんて気にしなくて良いの。何より、私が勝手にしたことだからさ、テルトが気にすることはないよ」
そして、テルトの頭を撫でる。
「主…うっ、うぅ…」
テルトの中で何かが壊れたように涙が溢れでた。
私は、テルトが落ち着くまでずっとなで続けるのだった。

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