剣と魔法の輪廻譚 《Drake-route》

にぃずな

またまたですか?

木剣を選び終えたお姉ちゃんは、的の前に立ち、腰をおとし、眼を閉じている。
そして、
「ほいっ!」
緩い掛け声とは対照的に、剣は残像をうみ、覇気も地味に漏れている。
「……!?」
お姉ちゃんとテルトと私以外全員唖然としている。
静まり、的は斜めにずれ落ちた。
「あー…失敗した」
唖然としているのをそっちのけに、失敗という言葉。
(木剣でここまで斬れたら十分じゃない?)
木剣でここまで斬れる物も珍しい、しっかり研がれている証拠だ。
木剣は、薄すぎると簡単に欠けるし折れる。
その上、分厚いと扱いづらい上、厚さがちょうどよくても、刃の部分が綺麗に入らなければ斬れず、叩き折るような感じになってしまう。
「…次、魔法だ」
「わかりました」
しばらく経って、次の項目に進んだ。
「《ディバインアロー》」
光の矢が形成され、空を斬り、的を貫く。
的の中心から罅が広がり、爆散する。
「……」
再び沈黙。
(話が進まないよ…)
無言で嘆く。
テルトがボソッと、
「…ツッコミは…置き去りにした方が良さそうだなぁ…」
全くである。
何分か経ち…。
「……………次、ミフユ=シャルティア」
「はい…」
地味にやる気が落ちている気がするが…、きっと平気だろう…。
「すぅ…ふぅ…」
木剣を構え、的を凝視。
「はぁっ!!」
力任せに振るのではなく、的に、的確に、垂直に、斬る。
手の角度、力のかけ方、重心移動、全てを正確に。
そうすると、刃が的に直撃した瞬間にも突っ掛かりがなく、スッと、抜けるように斬れる。
(よしっ、まぁ、実際戦闘になったらこれを意識せずに行わなきゃ何だけどね)
我ながら綺麗に斬れたな!と、思っていると。
「……斬れてないではないか?…」
アスタが疑問の声をあげるので、的を持ってみる。
「綺麗に真っ二つに斬れてるよ」
そう言って、斬れた表面を見せてやる。
「…………」
(…沈黙多くない…?)
「次、魔法だ」
「はい」
レィガは、ツッコミを置いとくことにしたようだ。
(スパーダ系は、この世界の魔法じゃないし…)
ってことで、これに決めた。
「《ソニックファイア》」
既に音速の域に到達している炎は、的に当たった瞬間に爆散、後、灰になった。
「……ぇ…、これで試験を終了する。退出せよ」
「「「はい」」」
「「……」」
それぞれ反応は違うものの、無事に試験を終えることができた。
(満足…)
「ねぇ、ミフユは手抜きした?」
お姉ちゃんが問いかけてくるので。
「一応」
と応えたら。
「あー、これは…、この世界の常識にあってないわ。よし、違う世界行こう」
と、スピーディーに返答された。
「何言ってるんだ!?私は主と一緒にいたいぞ!」
「やめて…」
テルトが混乱しながら焦っていて、私は素直な返答をした。
「冗談だってば、全く…」
お姉ちゃんは苦笑いである。
滞りなく、とは言えないものの、無事に試験を終えたのであった。

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