剣と魔法の輪廻譚 《Drake-route》

にぃずな

憎悪

1ヶ月…
私は魔法を教わっていた。
「うぅ~!おねーちゃんよりも覚えるの早いよぅ…」
「凄いわね、ミフユ。じゃあ次の魔法ね」
お母さんに言われ的に手を向ける。
(やっぱり初級魔法だから、威力は弱いよね)
と思っていたんだけど。おかしい。
《ソニックファイア》
訓練室の金属の的に向かって放った魔法は、金属を溶かしながら砕いた。
「「砕けたっ?!」」
母とおねーちゃんが目を丸くして驚いていた。
「え…、あの、お母さん…?」
私が声をかけると。
「……一気に中級魔法まで飛ばしましょう!」
「うっ、うん!」
こんなにあっさりとしてると、1年以内には上級まで出来そう…。
因みに、おねーちゃんの名前はシュナ、お母さんの名前はレシア。
お父さんはシルバ。でもお父さんは帝国騎士団の副団長だから、家にはあんまり帰って来ない。
すると、玄関の扉の開く音がした。
「帰ったぞ!」
(噂をすればって、やつだね)
お父さんが帰ってきたのだ。
「じゃあ、シュナ、ミフユ、迎えにいきましょうか
「「うん!」」
貴族嫌いが消し飛ぶ程、私は家族ここが好きだった。


「早いなぁ…」
時は過ぎて、もう4歳だ。
自分しか居ない部屋でそう呟く。
もう上級魔法だけじゃあきたらず、超級魔法を練習中だ。
すると、廊下を走る音がした。
勢いよく扉を開けたおねーちゃんは青ざめていて。
「お父さんが…っ!」
え…?
玄関へ行くと、包帯を巻いたお父さんと、帝国騎士団の団長と他の部下が立っていた。
「何が…あったの?」
焦る私は、お父さんに問いかけた。
すると聞いてもいないのに、団長の方が答えた。
「あぁ?この役立たずがアホしたんだよ」
苛立ちながら答えていて、私は過去を思い出した。
「こいつ、魔物を狩る方を優先しろって言ったのに、倒れていた冒険者を優先したんだ」
は…ぁ?
「割に合わない依頼を受けた冒険者の方が悪いのに、そっちを優先したんだぜ?おかしな話だろう?」
私は、苛立ちをしだいに溜め込んでいった。
「雑魚冒険者が依頼を受けず、他の冒険者に任せておけば、街まで出てこなかったのによ」
「冒険者なんて命懸けなんだ。死んだって誰も何にも思わないのによ」
「そーだよな!なのにこいつはよっ!」
「ぐっ!」
そして、思いきりお父さんを蹴り飛ばした。
そこで、私の中の苛立ち、憎悪が溢れ出す。
憎い、酷い、殺したい、コロセ。
理性ではどうにもならない程の憎悪。
「こいつ、今殺そうか」
溢れでる殺気にも気付かずに、平然と剣を抜く団長
きっと、家族には恐がられる。分かっているけど、そこは問題じゃない。
振り下ろされる寸前の剣。刃に目掛けて私は脚を振り抜いた。
団長手から剣が抜けた。今だ。
『ブレード』
無属性のガラスのような剣が造られる。初めの転生からずっとお世話になった魔法だ。
(出し惜しみなんてしない。殺させない。今度こそは)
「なっ?!この餓鬼っ!!」
他の騎士も剣を振ってきた。
私は敵の剣を一気に薙ぐ。
剣が高く舞い地面に刺さる。
「何が帝国騎士団?人を見殺しにようとして、何が騎士?」
威圧しながら言うと、
団長は自分を奪いたたせながら反発する。
「が、餓鬼がこんなことして良いと思っているのか?!」
「ミフユ…」
心配そうにしているお父さんに私は微笑む。
「平気だよ。お父さん」
敵へ振り向き、こう言った。
「逃げるか、死ぬか、決めて良いよ」
「「「?!」」」
騎士、いや、敵共は驚いたが、すぐに
「「「逃がしてください!」」」
と言った。
(まぁ、落ちはみえてるけどね)
敵の長は剣を拾い帰ると見せかけて、剣を振りかぶってきた。が。
私は、剣を敢えて蹴って折り、ブレードを突き出す。
「折角逃げるって言うから逃がそうと思ってたのにね」
そして、剣を敵の胸に突き刺し…
「待て…!ミフユ!」
何故か、お父さんが名前を呼んだ。
息絶え絶えな状態なのに何で…?
「何で…、止めなきゃなの?コイツらが悪いのにっ…!」
「止めるさ。ミフユは俺の、いや、俺たちの家族だからな」
「そーうだよ!ミフユ!」
理由は見当ついてる。人を殺さないでほしいとか、そんなんでしょ。
「でも…」
「ミフユには、惨劇を見せたくないんだ!」
すでに見てるし、人だって何人も殺して何回も見た。平気なのに…、なのに。
「どう…して…?」
涙が、止まらない…?
「にっ、逃げるぞ!」
「「はっ、はい!」」
横目に敵の逃げる姿が見えた。
見えなくなったと同時に、私は膝から崩れ落ちた。
「ミフユ?!」
きっと、疲れたんだろう。そうでないとするなら…
(その…言葉を…待ってたの…かな…)
そう思いながら、意識を失った。

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