翼を灼かれたイカロス
4話 弾丸
塔の外に出ると、そこには活気溢れる港町の姿があった。目の前に広がる露店の群れは、新鮮な海産物や貿易船で運ばれてくる様々な品で溢れており、行き交う人々が通りを埋め尽くしていた。
「安いよ!安いよー!この青水晶魚はこの街ラグーンでしか獲れない極上品だよぉ!」
「海の向こうのそのまた向こうから来た珍しいスパイスだ!今ならサービスするぜ!」
「海鳴り占いをやっていかんかね?
この貝殻の音色があなたの運命を占ってくれるんじゃよ?」
「まだ早朝だってのに凄まじい賑わいだな…これじゃあの女の言う酒場ってのにも行けないじゃ…うわっ!」
〈ドン!!!!〉
ものすごい速度のナニカがレインの胸板を砕く勢いで突っ込んできた。
「ぶぐおわふッッ!!」
レインは見事に地面に突っ伏した。
「ご!ごめんなさい!大丈夫ですか!?お怪我はないですか!」
地面に寝たままレインはその声の主を見る。
美しい金髪を後ろで2つに束ねた、可愛らしいそばかすの少女だった。
裕福そうな身なりからして、どこかの名家のお嬢様に見える。
「だ、大丈夫!こんくらい全然!」
そう強がってよろよろと立ち上がるレインを少女は心配そうに見ている。
年齢はレインの少し下のように見える。
「ほんとですか!ならよかった!…それでは私、急いでますので!それでは!!!ごめんあそばせ!」
少女はにっこりと笑うと空を駆ける勢いで走り去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待て!そんな勢いで走ったらまた人にぶつかるぞ!」
レインは少女を呼び止める。
「でも、急いで行かないとうちの糞小人野郎が私を見つけるやもしれませんので!それに私、丈夫なので大丈夫です!」
…とんだ弾丸お嬢様だ。
これじゃ通行人全員跳ね飛ばしてでも進んでくだろう…。
すると、いきなり通りの向かい側から怒号と共に誰かがズカズカと二人に歩み寄ってきた。
「エマぁぁぁぁぁ!見つけたぞ!こんの!クソアマがぁぁぁぁぁ!!」
あー、あれが糞小人ってやつか。
確かに小さいな。そうゆう種族か?
「聞こえてるぞお前!おいらは人間族!小人なんかじゃねぇ!そうゆう身体的特徴なんだよ!」
小人(仮)は丸眼鏡の奥の目を吊り上げてものすごい形相だ。かなりの間探していたのか、息がだいぶ乱れているし、汗もダラダラとかいている。
それもそのはず、この暖かな南の港街でコートにマフラー、ニット帽と、えらく着込んでいるからだ。
「チッ…!どこ行ってたのよダーリン!もー!遅かったじゃない!プンプン!レディーに冷たくすると、いつか痛い目に合うんだゾ☆」
少女は体をくねらせてふざけた仕草を披露してみせた。
ていうか、今舌打ちしたよねこの子!さっきから思っていたけど色々見え隠れしてるよねこの子!怖!
「ダーリンでもねぇし、プンプンでもねぇんだわ!ふざけんな!なに勝手にいなくなってやがんだ!どうせそのもやし小僧も騙そうとしてやがったんだろこの詐欺師が!ほんとうに、カラスみてぇな腹黒女だな!!」
負けず劣らず小人くんも凄まじい勢いで罵詈雑言をまくし立てる。頑張れ!
…いや、待て、今俺のこと、もやしって言ったかこいつ!確かに白い服だけどよ!それは関係ないだろ!
「変な言いがかりはやめて欲しいな☆それに元はと言えば、糞小人の仕事が遅いからでしょぉぉぉ?あれ?いいのかなー?所長に仕事が遅くて使えないって報告しちゃうわよ?いぃぃのかなぁぁぁ????」
腹黒女は悪魔も尻尾を巻いて逃げ出すほどの邪悪な笑みを浮かべて言った。
ーーしばしの沈黙
「…だからおいらはてめぇが大嫌いなんですよ麗しのお嬢様モウシワケゴザイマセンデシタ。ユルシテダサイ」
その後の小人はもはや感情を失っていた。
こいつの怒りの炎を瞬時にけすほどの“所長”の存在って一体…
「おい、あんた」
小人がレインに呼びかける
「なんか、色々迷惑かけちまったな。ってことで、だ。お詫びに、何かおいらにできることあるかい?」
小人は申し訳なさそうにレインを見上げた。
「え?悪いよ、先を急いでんだろ?」
レインは呼ばれたエマと呼ばれた少女をちらりと見やる。
「正直、もう急ぐ理由もないわ。私も、ぶつかっといてあの態度は無かったわ。ごめんなさい。」
ほらな?と小人はレインにウィンクする。この上なく気持ち悪いウィンクだ。
「じゃあ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「おお、なんだい?」
「えっと……。あんたら、[セイレーン]って酒場、知ってるか?」
「安いよ!安いよー!この青水晶魚はこの街ラグーンでしか獲れない極上品だよぉ!」
「海の向こうのそのまた向こうから来た珍しいスパイスだ!今ならサービスするぜ!」
「海鳴り占いをやっていかんかね?
この貝殻の音色があなたの運命を占ってくれるんじゃよ?」
「まだ早朝だってのに凄まじい賑わいだな…これじゃあの女の言う酒場ってのにも行けないじゃ…うわっ!」
〈ドン!!!!〉
ものすごい速度のナニカがレインの胸板を砕く勢いで突っ込んできた。
「ぶぐおわふッッ!!」
レインは見事に地面に突っ伏した。
「ご!ごめんなさい!大丈夫ですか!?お怪我はないですか!」
地面に寝たままレインはその声の主を見る。
美しい金髪を後ろで2つに束ねた、可愛らしいそばかすの少女だった。
裕福そうな身なりからして、どこかの名家のお嬢様に見える。
「だ、大丈夫!こんくらい全然!」
そう強がってよろよろと立ち上がるレインを少女は心配そうに見ている。
年齢はレインの少し下のように見える。
「ほんとですか!ならよかった!…それでは私、急いでますので!それでは!!!ごめんあそばせ!」
少女はにっこりと笑うと空を駆ける勢いで走り去ろうとした。
「ちょ、ちょっと待て!そんな勢いで走ったらまた人にぶつかるぞ!」
レインは少女を呼び止める。
「でも、急いで行かないとうちの糞小人野郎が私を見つけるやもしれませんので!それに私、丈夫なので大丈夫です!」
…とんだ弾丸お嬢様だ。
これじゃ通行人全員跳ね飛ばしてでも進んでくだろう…。
すると、いきなり通りの向かい側から怒号と共に誰かがズカズカと二人に歩み寄ってきた。
「エマぁぁぁぁぁ!見つけたぞ!こんの!クソアマがぁぁぁぁぁ!!」
あー、あれが糞小人ってやつか。
確かに小さいな。そうゆう種族か?
「聞こえてるぞお前!おいらは人間族!小人なんかじゃねぇ!そうゆう身体的特徴なんだよ!」
小人(仮)は丸眼鏡の奥の目を吊り上げてものすごい形相だ。かなりの間探していたのか、息がだいぶ乱れているし、汗もダラダラとかいている。
それもそのはず、この暖かな南の港街でコートにマフラー、ニット帽と、えらく着込んでいるからだ。
「チッ…!どこ行ってたのよダーリン!もー!遅かったじゃない!プンプン!レディーに冷たくすると、いつか痛い目に合うんだゾ☆」
少女は体をくねらせてふざけた仕草を披露してみせた。
ていうか、今舌打ちしたよねこの子!さっきから思っていたけど色々見え隠れしてるよねこの子!怖!
「ダーリンでもねぇし、プンプンでもねぇんだわ!ふざけんな!なに勝手にいなくなってやがんだ!どうせそのもやし小僧も騙そうとしてやがったんだろこの詐欺師が!ほんとうに、カラスみてぇな腹黒女だな!!」
負けず劣らず小人くんも凄まじい勢いで罵詈雑言をまくし立てる。頑張れ!
…いや、待て、今俺のこと、もやしって言ったかこいつ!確かに白い服だけどよ!それは関係ないだろ!
「変な言いがかりはやめて欲しいな☆それに元はと言えば、糞小人の仕事が遅いからでしょぉぉぉ?あれ?いいのかなー?所長に仕事が遅くて使えないって報告しちゃうわよ?いぃぃのかなぁぁぁ????」
腹黒女は悪魔も尻尾を巻いて逃げ出すほどの邪悪な笑みを浮かべて言った。
ーーしばしの沈黙
「…だからおいらはてめぇが大嫌いなんですよ麗しのお嬢様モウシワケゴザイマセンデシタ。ユルシテダサイ」
その後の小人はもはや感情を失っていた。
こいつの怒りの炎を瞬時にけすほどの“所長”の存在って一体…
「おい、あんた」
小人がレインに呼びかける
「なんか、色々迷惑かけちまったな。ってことで、だ。お詫びに、何かおいらにできることあるかい?」
小人は申し訳なさそうにレインを見上げた。
「え?悪いよ、先を急いでんだろ?」
レインは呼ばれたエマと呼ばれた少女をちらりと見やる。
「正直、もう急ぐ理由もないわ。私も、ぶつかっといてあの態度は無かったわ。ごめんなさい。」
ほらな?と小人はレインにウィンクする。この上なく気持ち悪いウィンクだ。
「じゃあ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど…」
「おお、なんだい?」
「えっと……。あんたら、[セイレーン]って酒場、知ってるか?」
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