Regulus

嘉禄(かろく)

You who stand in light



ある晴れた日、俺と志輝は由真の家の庭にいた。
何をする為かと言うと…


「志輝、そこに立て」
「うん、わかった」


俺は鉛筆を執ってキャンバスにデッサンを描き始める。
つまり、志輝の絵を描くことにした。

俺は大学時代デザイン学科にいて、ひたすらに絵のデザインを学びイラストを描いてきた。
Reglusの活動が軌道に乗り、イラストレーターにはなれなかったけど絵は実はずっと描いていた。
それでふと気づいた。


『俺、志輝の絵もメンバーも描いたことないな』


と。
それで思い立ったが吉日、志輝から描くことにした。
季節は春、徐々に暖かくなり花が咲く。
志輝を描くには打って付けの季節だ。

実際には花を持っている訳じゃないけど、キャンバスの中の志輝に淡い小さな花を持たせた。
そして微笑む志輝を描く。

空いている日にそれを繰り返して数ヶ月。
完成作をメンバーに見せた。


「へえ、上手いもんだね…水彩画にしたんだ。
色使い綺麗、慶の目には志輝はこういう風に見えてるんだね」
「上手いもんだな。
慶、イラストレーター系の仕事来るかもな」
「そうだな…自分でも上手くいったと思ってる」


二人にもいい評価をもらえた、俺としても自信作だ。
志輝はというと、絵を見て照れたのかずっと赤面していた。
そんな志輝を由真が茶化す。


「ほら志輝、感想は?」
「え、え…っと…これほんとに僕?僕だよね…?
綺麗過ぎて、その…恥ずかしくて…」
「紛れもない志輝だ」
「…そ、そうだよね…」
「照れ過ぎだろ」


茶化されまくっていたが、喜んでくれて良かった。
この絵は志輝にあげることにした。
最初からそのつもりだったから。
受け取った志輝は、照れながらも嬉しそうに笑って絵を軽く抱きしめると俺達の家のリビングの壁にかけた。
いつか由真と遥の揃った絵を描こうと決めた。

その後暫くテルとユキが二匹並んで仲良くその絵を見上げていたのは余談である。


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