Regulus

嘉禄(かろく)

A cat and the leopard on today…



Reglusが活動を再開し、メディアに注目されるようになった頃。
今日は、雑誌の取材と撮影が入っていた。


「このスタジオではKeiさんとShikiさんを撮影するので、HaruさんとYu-maさんは隣のスタジオにお願いします」
「分かりました」
「了解でーす」


スタッフさんにそう言われ、案内に従い俺と遥は隣のスタジオに移動した。
そこには、ホワイトオンリーのセットとピンクバックのセットが二つ用意されていた。


「KeiさんとShikiさんの撮るショットは一つなんですが、お二人は二つ頂きます。
まずこれを付けてください」
「…わーお」
「まじか…」


渡されたのは猫耳のカチューシャ。
俺にはブラウン、遥にはブラック。


「俺に合うのかこれ…」
「まあ仕方ないでしょ。
尻尾は無いんですか?」
「はい、ポーズを取る際に邪魔になるだろうということで尻尾はありません。
ではセットにお願いします」


仕方なく猫耳を付けると、スタッフに促されて俺達はセットに踏み込んだ。
すぐにカメラマンから声が掛かる。


「まず二人とも背中合わせで立とうか!
表情は好きにしていいよ!」
「好きに、って…」
「うーん、じゃあ俺はこうしよう」


背中合わせに立ち、遥が戸惑っている間に俺は軽く舌を出して遥に頭を預けた。
それがカメラマンには好感触だったようだ。


「お、いいねー流石Yu-maくん!
Haruくんちょーっとぎこちないよー」
「分かってますって…はぁ…しゃーないか」


遥はそう呟くと、やっとスイッチを入れたようで流し目でカメラに目線を向ける。
俺より身長が高いから、少し顎を引いてバランスを取ってるみたい。


「いいねー、凄くいいよ!」


そこからシャッターを切る音は暫く止まらなかった。
座ったり向かい合ったりと構図を変えつつしていると、カメラマンは満足したのか笑顔で頷いた。


「よし、衣装チェンジ!
次のカットいくよー」


そう声が掛かると、先程のスタッフが再び近寄ってきた。


「お次のショットなんですが、もう片方のお二人と同じく濡れた状態で撮影します。
衣装は衣装室に置いてある、白シャツとパンツを履いてください。
今着ている衣装は衣装室に置いておいてください」


その指示を受けて手早く着替えを済ませると、そのままシャワールームに案内されて俺達は頭から濡れた。


「風邪ひきそう…」
「大丈夫だろ、すぐに終わんだろーし水かぶったわけでもねーし?
一応スタジオあったけーしな」


スタジオに戻ると、ホワイトバックのセットに立たされた。


「よーし、じゃあ今度は笑わないテイストでいこうかー」


というカメラマンからの要望があったので、俺は時に目線を外したり向けたり交互にしつつ物憂げな表情を心掛けた。
遥はと言うと、OKショットを後ほど見せてもらったが目を伏せたり真っ直ぐ上を見上げたりと割と良さげだった。


「…よし、お疲れ様!
これで終わりでいいよ」
「ありがとうございました」
「ありがとうございましたー」


その後志輝はまんまと風邪を召したらしいけど、俺は結局大丈夫だった。

一ヶ月ほどあとにその雑誌は発売され、社長曰く評判はかなり良かったそうだ。



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