Regulus

嘉禄(かろく)

Blue of the holiday


とある日曜日、俺は頬に何かを感じて意識を浮上させた。
薄ら目を開けると、太陽の光が飛び込んでくる。


「…朝か、ふあぁ…」


欠伸をしつつ伸びると、顔の横にふわふわした黒いかたまりがいた。
何故か頬が湿っている。


「…テル、起こしに来たのか」


そう、そこにいたのは俺の飼い犬のテルだった。
一緒に寝ていた志輝はおらず、キッチンで音がするので多分朝食を作ってるんだろう。
頬が湿ってるのは、テルが舐めたからだと思われる。
起きかけた時の頬の感覚は恐らくそれだ。

起き上がって服を着替え、ふと思いついてテルに声をかけた。


「テル、朝の散歩行くか?」


するとテルは目をキラキラさせて1回吠えた。


「分かった、じゃあ準備しような」


寝室を出て顔を洗い寝癖を整えてからリードと冬用のテルの服を出してテルに着せて装着した。
リビングに行くと、志輝が鼻歌を歌いながら予想通り朝食を作っていた。
俺に気づいてふわっと笑顔を向けてくる。


「あ、おはよう慶」
「おはよう志輝。
テルの散歩に行ってこようと思うんだけど、ユキも一緒に連れてこうか」
「いいの?じゃあお願いしようかな、最近バタバタしてて散歩出来なかったし」
「分かった、じゃあユキも行こう」


ユキのリードと冬用の服を用意すると、散歩だと分かった様子のユキが嬉しそうに近寄ってきた。
そのまま服を着せてリードをつけ、2匹を連れて玄関に行く。
後ろから律儀に志輝がついてくる。


「じゃあ、朝食までには戻るつもりだけど出来たら連絡してくれ。
電話でもいいから」
「わかった、行ってらっしゃい。散歩ありがとね、車には気をつけて?」
「分かってる、いつものルート通るから大丈夫だ。
行ってきます」


志輝の頬に不意打ちで軽くキスをして、俺と2匹は冬の朝の街に繰り出すのだった。



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