Regulus

嘉禄(かろく)

Mebius


"変わらない日々がいつか飽きてくるんだろう?
いっそ楽になれたらと思ってんだろ?
その想いをただ隠して笑う君がいるなら
ずっと隣で一緒に涙を
俺は君だけ包める空になろう"


「…みんな、新曲が出来た!」


ある日、俺はReglusのメンバーに招集をかけて事務所に集まってもらった。
その部屋に飛び込んだ途端俺がそう言うと、三人はビックリしたようで目がぱっちりしていた。


「…新曲?」
「…いつのまに?」
「どんなんだよ、聴かせろよ。
作詞だけじゃなく作曲もしたのか?」
「今回は全部俺がやった、降ってきたから」
「とりあえず聴かせて?」


俺は頷いて、その部屋にあったCDプレイヤーにディスクを入れる。
デモ版だけど、歌も入れてある。

三人は目を閉じたり肘をついたりと各々のスタイルで聴いていた。

曲が終わって停止すると、まず最初に志輝が感動した、という明るい顔で絶賛してくれた。


「凄いね、感動した!
前向きだけど、過去にあったことを乗り越えて誰かを想ってて…好きだなぁ」


続いて、由真が感想を言ってくる。


「…今回は文句ないかも。
歌詞、曲…全部いい、流石慶」
「俺はなんも言うことねーな、単にすげーとしか…ギターソロかっけーし!」


それを聞いて、俺が嬉しくなって笑うと由真が質問してきた。


「…ふと思ったんだけど、これ慶のこと?
慶自身の想い?」


…バレた、いや分かりやすかったかな。
別に隠すことでもないから、俺は頷いて答えた。


「入院中に思ったこと、Reglusへの想い…それを詰め込んだ、つもり。
変わらない日々なんて飛び出そう、俺たちはずっと一緒に歩むんだっていうのを込めて」


それを聞いた三人は嬉しそうに顔を見合わせて俺に飛びかかってきた。


「さっすが俺たちだけのボーカルだね!」
「ついてくぜ、これからも」
「ね、これみんなのパート考えよう!」


それからあれよあれよという間にパートがつけられて、その日のうちに曲が完成して兄貴に渡すことが出来た。

この曲、『Mebius』は発売と同時に売り切れ続出。
LIVEでも大いに盛り上がる曲の一つとなったのだった─


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