Regulus

嘉禄(かろく)

燃える炎も聖夜では


今日はクリスマス…の一日後、何でもない日。
というのも、昨日はクリスマスライブということで俺と裕のPrometheusは大きめのハコにいて二人で過ごすどころじゃなかった。
勿論クリスマスイブはそれのリハとかで時間はなかったから、どうしようもない。
去年は運良く空いてて出かけたんだけどなー…と思いつつ翌日に置いてきたギターやら何やら機材を片す。

…けどこの俺、鴻上滉が何も用意してないかと言ったらそれは舐め過ぎだ。


「あー楽しかった、でも疲れた…クリスマスイブとクリスマス返上はキツいねー」


ハコから撤収し、秋庭の屋敷に戻って一息ついたところでソファにどかっと座った裕の目の前にラッピングされた袋を差し出す。
裕は突然のことに理解が追いつかないようで目を白黒させた。


「…何コレ?」
「見てわかるだろ、一昨日昨日渡せなかった遅めのクリスマスプレゼント」
「…ありがと」


受け取った裕が早速袋を開ける。
中から白い毛糸のマフラーが出てきた。


「…マフラー?しかもこれ編んだの?」
「まあな、少し前から地道に」
「…流石としか言えないね、ありがと。
…実は俺からもあるんだよねー、ってことではいこれ」
「…俺に?サンキュ」


俺の前にもラッピングされた袋が差し出される。
裕も用意してるのは予想外だった、少し驚きながら受け取る。
中身を見ると、黒い手袋だった。
見るからに質がよさげだ。
はめてみると、サイズがぴったりなのがこれまた流石と言ったところ。


「あったけー…」
「手が乾燥して手荒れされても困るし、あと何より俺が買ったものを身につけてるのが見たくて」
「…そんなこと言ったら、俺結構裕からもらったものかなり身につけてるけど」
「勿論、いずれは俺があげたものオンリーでコーディネートするのが目標だから」
「…楽しみにしてるよ」


相変わらずの執着に苦笑しながらもありがたく受け取る。
実際、裕からもらうプレゼントが一番嬉しい。
ファンには内緒だけど。


「…ありがとな、大事にする」
「うん大事にして?」


そう答えた裕の手から俺があげたマフラーを何気なく手に取った俺は、そのままふわっと裕の首に巻いた。
驚いた様子の裕が珍しくふわっと笑う。


「…滉にしてはキザなことするじゃん?」
「巻きたかったからやっただけだ、悪いか」
「んな事言ってないじゃん?
あったかい、ありがとね」


その言葉を聞いて俺も内心嬉しくなった。


─来年は何をあげようか?


既に俺の脳内では来年のクリスマスプレゼントの内容を考え始めていた─

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