Regulus

嘉禄(かろく)

Blue flame without disappearing

─長かった、この場所に立てるまで。

数年前に俺が事故に遭い、眠り続け…起きられたと思ったら声は出なくなっていてRegulusは解散。
由真と遥は別バンドに引き抜かれていて、志輝は会社に就職していてメンバーはバラバラ。

こんな世界じゃ、目覚めた意味が無い。
必死に声を出すリハビリをする意味もない。
─生きていたって仕方がない。
そう思った時もあった。

それでも、由真と遥が戻ってもいいと言ってくれた。
Regulusが好きだ、原点だからと。
そして、俺は前を向けた。
志輝を説得して、Regulusを再結成した。

それからPrometheusとのいざこざもあった、でも今は良きライバルになっている…なんて、裕にはまだ何万年も早いと言われそうだけど。


俺は幸せだ。
Regulusのギターボーカルでいられて、遥と由真…そして志輝と一緒に音を作れて。
今ならはっきり言える。


「俺、目覚めてよかった」


その呟きが聞こえたのか、由真と遥にいじられる。


「なーに、突然どうしたの?
感慨深くなっちゃった?」
「まあこの状況ならなってもおかしくねーだろ。
なんせ、Regulus単独ライブだからな!」
「…慶、緊張してる?」


志輝が心配そうに俺を見る。
俺は少し笑って首を左右に振った。


「違う、ここに来られて良かったって思ってる。
この4人で、Regulusとして。
…行くぞ、Regulus!」
『おお!』


その声を合図に俺達は光の下に歩き出した。

俺たちならずっとこの光の下で輝いていける、輝き続ける。
そう信じて。


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