このゴミの掃き溜めみたいなクソったれた世界ども

空白症候群

「助」

僕は今、電車に乗っている。
「おばあさん、席譲りますよ」
「私のこと馬鹿にしてるのかい!」
おばあさんから激しい怒声が飛んできた。譲ることを辞めた。


僕は今、街を歩いている。
「おじいさん、荷物持ちましょうか」
「あんたそのまま持って逃げるつもりだろ。最近の若い奴が考えることはお見通しだ」
呆れた様子でおじいさんは言った。荷物を持つことを辞めた。


僕は今、家に帰ってきた。
「母さん、晩御飯作るの手伝うよ」
「貴方は危なっかしいから座っておきなさい」
少し鬱陶しそうに母さんは言った。僕は晩御飯を作ることを辞めた。
僕は今、親切にすることの意味が分からなくなった。

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