俺と親父の異世界物語【転生そして性転】
ノゲイロ・イケメン小僧
朦朧とする意識の中、少しずつ光が射し込んでくる。
目を開けてみるが、視界がボヤけてハッキリ見えない。
30秒ほど経過するとようやく視力が回復し、目の前にはものすご~く可愛い少女が目を瞑り眠っていた。
えっ? ええっ? 何これ? メッチャ可愛いですやん! 寝てる!? 寝てるよな。チューくらいしてもバレないかなぁ……。
なんてことを考えたが全く力が入らず、体を動かすことができない。
目の前の少女との距離はおよそ10センチ。長いまつ毛や、スッと通った鼻筋、ふっくらとした薄いピンクの唇に透き通るような白い肌。
寝ていても間違いなく美少女だと断言できーる!
更に1分ほど時間が経つと視覚の次に嗅覚が戻ってきた。
すると……激臭がした。鼻を刺すような酸っぱい匂い。吐き気を催すような激しい加齢臭。
それは何処かで嗅いだことのある匂いだった。
「くっさ! 何この匂い。もしかして……この子から匂ってるのか?」とあまりの臭さに、つい独り言を呟いてしまった。
少しずつ体の感覚が戻ってきた俺は、激臭から逃れる為すぐさま後ろに下がり少女と距離をとった。
目を疑った……。
事故の影響で頭がおかしくなってしまったのか、もしくはここはあの世と呼ばれる世界で現実では起こりえないことが起きているのか。
俺は目の前の美少女の恐るべき姿を目の当たりにしてしまった。
禿げたバーコード頭に身長は150センチくらいだろうか。細い手足には顔に似合わないほどの毛がそれはもうモッサリと……。
そして美少女が目を覚まし声を発した瞬間、ある疑問が確信に変わる。
「んっ? 拓也か? 確か俺たちは事故にあって……もしかして死んじゃった?」
やはり美少女の正体は親父だった。
顔だけはもう完璧な美少女で非の打ち所がなく、耳もアニメなどでよく見かけるエルフのようにピンと尖っていて、それがまた可愛さを助長していた。
だが……それと同時に顔が可愛ければ可愛いほど、その他の親父の要素とのギャップで絶望的に忌々しい姿になっていた。
「親父……なんだよな?」と最終確認をする俺。
「そうです。親父です」と答える美少女。
とりあえず親父の姿を見て、これが現実世界ではないことだけは確かだった。
すると
「2人共、目を覚ましましたね」と上の方から可愛らしい声がした。
声の方に目を向けると小さな妖精がヒラヒラと舞いながらこちらを見ている。
次から次へと起こる不思議な現象に脳が考えようとするのをやめた。
「まず、自己紹介からするわね。私の名前はリッキー。この世界の案内役をしている妖精でーす。そしてこの世界なんだけど、ここは君たちが生活をしていた世界ではなく、別の世界です。すなわち異世界ってやつですね、はい」
腕組みをし、頷きながら説明をするリッキーという名の妖精。
うん。とりあえずかわゆすかわゆす。
「異世界って最近アニメやラノベでよく見るあの異世界?」と尋ねる俺。
「そうです。その異世界です」と答えるリッキー。
そしてリッキーが続ける。
「まず、これを見て!」
リッキーが自分の横を指差すと、大きなスクリーンのようなものが映し出された。
スクリーンの中には意識不明の状態で、様々な管を繋がれながらベッドに横たわる俺と親父の姿が映し出されていた。
そして1人の女の子の姿も。
「拓ちゃん。死なないでぇ!! 目を開けてよ……」
スクリーンの中から可愛らしい女の子が、泣きながら俺に話しかけている声が聞こえる。
隣の家に住んでいる幼馴染の莉乃だ。
莉乃と俺は小中高と同じ学校に通っていて、春から通う東京の大学も同じだ。
泣いている莉乃の姿を見て、熱海旅行に出発する日の朝、大事な話があると言われたことを思い出す。まぁ結局親父に急かされた為、莉乃と話はできなかったのだが。
そもそも幼馴染だったのだが、莉乃とは中高の時はほとんど学校で会話をした事が無かった。
それには深〜い訳があって、中学の時は入学早々、最初の給食の時に俺は嘔吐してしまった。季節外れのノロウィルスが原因だった。
出席停止を終え学校に行くと、俺に向けられるクラスメイトの視線は汚物を見るそれだった。そしてクラス、学年から浮いた存在になってしまっていた。
心が発達する前の中学1年生だ。こうなる事は必然だったのかもしれない。
給食中の嘔吐は俺の中学校生活3年間を台無しにするには十分過ぎる理由となった。
そして俺に付けられたあだ名は『ノゲイロ』だった。ノロでゲロした事と、はっきりとした濃いめの顔立ちをかけてのものだった。
そしてこれが原因で中学の時は莉乃と、ろくに会話をすることが出来なかった。
そんな悲しい青春を取り戻す為に、高校では華々しくデビューしようと思った。
手首や首に少し香水をつけ、髪はワックスでビシッとスタイリングした。
入学式の時、俺を指差し「あの人カッコイイよね」とヒソヒソ話をする声が何回も聞こえた。
これはきたなと確信し、入学式を終え教室に向かう途中、再び俺を悲劇が襲う。
学校のボス的不良に目をつけられ、校舎の外に呼び出されたのだ。
壁ドンをされ
「おまえさぁ、なに調子乗ってんの。殺すよ?」
この一言で完全にビビった。ビビり倒してあろうことか小便を漏らしてしまったのだ。
「うわぁ、くっせー! こいつ漏らしてんじゃん」
その後俺は、この不良達に『イケメン小僧』と命名された。聞こえは良いかもしれないが、小僧は小便小僧から文字られていて、事あるごとにこの不良達は俺が小便を漏らしたエピソードを言いふらした。
俺は前後2学年の生徒や同級生という、計5学年の大量の生徒に『イケメン小僧』と呼ばれ、高校生活を台無しにさせられた。
そうなればやはり莉乃と会話をする機会などあるわけがない。俺と話す事で莉乃にも迷惑がかかるし、莉乃も自分の身を守る為に必死だったんだと思う。
以上が以前チラッと言った、俺がイケメンなのに童貞で付き合った事もない理由だ。
これに加えて親父がゲイなんだからたまったもんじゃない。
こんなもん、家なき子だって同情してしまうだろ?
とまぁ色々話したが、莉乃の涙を見る限りきっと俺に告白するつもりだったんだろう。なにせ幼馴染のイケメンとはそれ程までに魅力的な存在だからな! 俺も莉乃には密かに想いを寄せていたし、同じ大学に行けるよう莉乃の進路調査票を盗み見て、猛勉強をしていた。
もちろん莉乃は進路調査票を盗み見た事も、猛勉強していた事も知らない。偶然一緒の大学に通う事になったと思っているに違いないんだけど。
目を開けてみるが、視界がボヤけてハッキリ見えない。
30秒ほど経過するとようやく視力が回復し、目の前にはものすご~く可愛い少女が目を瞑り眠っていた。
えっ? ええっ? 何これ? メッチャ可愛いですやん! 寝てる!? 寝てるよな。チューくらいしてもバレないかなぁ……。
なんてことを考えたが全く力が入らず、体を動かすことができない。
目の前の少女との距離はおよそ10センチ。長いまつ毛や、スッと通った鼻筋、ふっくらとした薄いピンクの唇に透き通るような白い肌。
寝ていても間違いなく美少女だと断言できーる!
更に1分ほど時間が経つと視覚の次に嗅覚が戻ってきた。
すると……激臭がした。鼻を刺すような酸っぱい匂い。吐き気を催すような激しい加齢臭。
それは何処かで嗅いだことのある匂いだった。
「くっさ! 何この匂い。もしかして……この子から匂ってるのか?」とあまりの臭さに、つい独り言を呟いてしまった。
少しずつ体の感覚が戻ってきた俺は、激臭から逃れる為すぐさま後ろに下がり少女と距離をとった。
目を疑った……。
事故の影響で頭がおかしくなってしまったのか、もしくはここはあの世と呼ばれる世界で現実では起こりえないことが起きているのか。
俺は目の前の美少女の恐るべき姿を目の当たりにしてしまった。
禿げたバーコード頭に身長は150センチくらいだろうか。細い手足には顔に似合わないほどの毛がそれはもうモッサリと……。
そして美少女が目を覚まし声を発した瞬間、ある疑問が確信に変わる。
「んっ? 拓也か? 確か俺たちは事故にあって……もしかして死んじゃった?」
やはり美少女の正体は親父だった。
顔だけはもう完璧な美少女で非の打ち所がなく、耳もアニメなどでよく見かけるエルフのようにピンと尖っていて、それがまた可愛さを助長していた。
だが……それと同時に顔が可愛ければ可愛いほど、その他の親父の要素とのギャップで絶望的に忌々しい姿になっていた。
「親父……なんだよな?」と最終確認をする俺。
「そうです。親父です」と答える美少女。
とりあえず親父の姿を見て、これが現実世界ではないことだけは確かだった。
すると
「2人共、目を覚ましましたね」と上の方から可愛らしい声がした。
声の方に目を向けると小さな妖精がヒラヒラと舞いながらこちらを見ている。
次から次へと起こる不思議な現象に脳が考えようとするのをやめた。
「まず、自己紹介からするわね。私の名前はリッキー。この世界の案内役をしている妖精でーす。そしてこの世界なんだけど、ここは君たちが生活をしていた世界ではなく、別の世界です。すなわち異世界ってやつですね、はい」
腕組みをし、頷きながら説明をするリッキーという名の妖精。
うん。とりあえずかわゆすかわゆす。
「異世界って最近アニメやラノベでよく見るあの異世界?」と尋ねる俺。
「そうです。その異世界です」と答えるリッキー。
そしてリッキーが続ける。
「まず、これを見て!」
リッキーが自分の横を指差すと、大きなスクリーンのようなものが映し出された。
スクリーンの中には意識不明の状態で、様々な管を繋がれながらベッドに横たわる俺と親父の姿が映し出されていた。
そして1人の女の子の姿も。
「拓ちゃん。死なないでぇ!! 目を開けてよ……」
スクリーンの中から可愛らしい女の子が、泣きながら俺に話しかけている声が聞こえる。
隣の家に住んでいる幼馴染の莉乃だ。
莉乃と俺は小中高と同じ学校に通っていて、春から通う東京の大学も同じだ。
泣いている莉乃の姿を見て、熱海旅行に出発する日の朝、大事な話があると言われたことを思い出す。まぁ結局親父に急かされた為、莉乃と話はできなかったのだが。
そもそも幼馴染だったのだが、莉乃とは中高の時はほとんど学校で会話をした事が無かった。
それには深〜い訳があって、中学の時は入学早々、最初の給食の時に俺は嘔吐してしまった。季節外れのノロウィルスが原因だった。
出席停止を終え学校に行くと、俺に向けられるクラスメイトの視線は汚物を見るそれだった。そしてクラス、学年から浮いた存在になってしまっていた。
心が発達する前の中学1年生だ。こうなる事は必然だったのかもしれない。
給食中の嘔吐は俺の中学校生活3年間を台無しにするには十分過ぎる理由となった。
そして俺に付けられたあだ名は『ノゲイロ』だった。ノロでゲロした事と、はっきりとした濃いめの顔立ちをかけてのものだった。
そしてこれが原因で中学の時は莉乃と、ろくに会話をすることが出来なかった。
そんな悲しい青春を取り戻す為に、高校では華々しくデビューしようと思った。
手首や首に少し香水をつけ、髪はワックスでビシッとスタイリングした。
入学式の時、俺を指差し「あの人カッコイイよね」とヒソヒソ話をする声が何回も聞こえた。
これはきたなと確信し、入学式を終え教室に向かう途中、再び俺を悲劇が襲う。
学校のボス的不良に目をつけられ、校舎の外に呼び出されたのだ。
壁ドンをされ
「おまえさぁ、なに調子乗ってんの。殺すよ?」
この一言で完全にビビった。ビビり倒してあろうことか小便を漏らしてしまったのだ。
「うわぁ、くっせー! こいつ漏らしてんじゃん」
その後俺は、この不良達に『イケメン小僧』と命名された。聞こえは良いかもしれないが、小僧は小便小僧から文字られていて、事あるごとにこの不良達は俺が小便を漏らしたエピソードを言いふらした。
俺は前後2学年の生徒や同級生という、計5学年の大量の生徒に『イケメン小僧』と呼ばれ、高校生活を台無しにさせられた。
そうなればやはり莉乃と会話をする機会などあるわけがない。俺と話す事で莉乃にも迷惑がかかるし、莉乃も自分の身を守る為に必死だったんだと思う。
以上が以前チラッと言った、俺がイケメンなのに童貞で付き合った事もない理由だ。
これに加えて親父がゲイなんだからたまったもんじゃない。
こんなもん、家なき子だって同情してしまうだろ?
とまぁ色々話したが、莉乃の涙を見る限りきっと俺に告白するつもりだったんだろう。なにせ幼馴染のイケメンとはそれ程までに魅力的な存在だからな! 俺も莉乃には密かに想いを寄せていたし、同じ大学に行けるよう莉乃の進路調査票を盗み見て、猛勉強をしていた。
もちろん莉乃は進路調査票を盗み見た事も、猛勉強していた事も知らない。偶然一緒の大学に通う事になったと思っているに違いないんだけど。
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