『理外の無才者』〜不利すぎる状況でおれは強くなる〜

アルエスくん@DeusVtuber

勇者編 第三十二話 ボーンアルヴ

勇者編 第三十ニ話 ボーンアルヴ
 
 
 
「ん、あれ? ここは、城か?」
 
「その通りだ、ついでにいうと、もう朝だ」
 
 おれはベッドに入っていた。隣でエルフくんが寝ている。
 
 ベッドの横にはブラックカーテンが立っていた。
 
「え? カスタムとかはどうなったの?」
 
「いやぁ〜、ちゃんと堪能させて貰ったよ〜」
 
「へ? なにした! おい!」
 
 すると、やつは顔をそらした。
 
「ちょっと待て! まじでなにをした!?」
 
「ヒントをあげると、カスタムってね、肉体にも使えるんだけど……大体がエロ目的なんだよね……」
 
「まじでなにした〜! 身体には……見たところ異変はなさそうだ……」
 
 少なくとも見た目に異変はないことは安心した。
 
「どうやら、もうすぐ騎士団長さんがここに着きそうだ。私は帰るよ。この部屋のトイレ借りてくよ?」
 
「ふぇ? あ、あぁ、やけにあっさり帰ったな」
 
 もぞもぞ布団が動く。エルフくんが起きたようだ。
 
「んん、あれ、ここは?」
 
「おや、起きたか、エルフくん」
 
「え…………あ、私買われたんでした」
 
 忘れてたのか、寝ぼけてたのか、無口っぽい雰囲気の子だなぁ。
 
「なぁ、エルフくん、おれは君が名前ないらしいから、ブラックカーテンが呼んでたエルフくんって呼び方してるんだけどさぁ」
 
「………………はい」
 
「君がいいなら、名前をつけてもいいかい?」
 
「………………いいえ、私は奴隷です。私の許可はいりません」
 
「じゃ、君への命令として言おう、名前をつけてもいいか話してくれ」
 
「………………はい、私は別に構いません、エルフ族で名前とは、自分でつけるか、ハイエルフとなったときにもらうのが普通です」
 
「へぇ、そうなんだ」
 
「しかし、私はあなたから名前をもらっても困りません。ですのでつけてもらって大丈夫です」
 
「そっか、じゃあ、君の名前は『アルヴ』、おれが考えたんだけどいいかな?」
 
「………………はい、いい名前だと思います、しかし、システムに登録するには専用のスキルやアイテムが必要です」
 
「そこは問題なくなるよ、今から試すからね、アルヴに設定、『ネームドオーダー』!」
 
『発動『イメージ式魔法『ネームドオーダー』』』
 
 おれの右手が光り、その手をエルフくん、いやアルヴのおでこに触れさせた。
 
「今日から君はアルヴだ! これからよろしく!」
 
「……はい、末永くよろしくお願いします、あなたの寿命が尽きるまで」
 
「あ、エルフって長命なんだっけ?」
 
「……はい、最近は大体の種族がスキルにより長命ですが、エルフはダントツです、なので、あなたを最後まで看取ってあげます」
 
 こうして、おれは新しい仲間と出会ったのだった。
 
 奴隷? 実は首輪壊したからもう強制力はないよ?
 
 
 

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