『理外の無才者』〜不利すぎる状況でおれは強くなる〜

アルエスくん@DeusVtuber

勇者編 第二十九話 キャッチステータス

勇者編 第二十九話 キャッチステータス
 
 
 
「はぁ、めんどいことになったが、部屋の前までこれたぞ……!」
 
 通りすがる人から、なんか変な目で見られてた気がするが、気のせいということにしとこう。
 
「確か、部屋が壊れたとか言ってたな。だけど、ドアはなにも壊れてないよな?」
 
 勇気を出して、ドアを開けて、部屋に入った。
 
「なぁんだ。なにも変わってないんじゃないか。」
 
 そこには変わらず存在する白い部屋があった。
 
「壊れたのが嘘なのか、直すスキルがすごいのか、どっちなのやら……」
 
 とりあえず、背負ってきた背中で寝ていたエルフくんを、ベッドに寝かせた。
 
 ベッドの左、扉側にある机に、ご飯とお味噌汁と水の入ったコップが置いてあった。
 
「そんじゃ、お腹空いてるしお昼ごはんにしますか! あ、今何時だ?」
 
 壁にかかってる丸い時計をみると、それは3時を示していた。
 
「12時から三時間も過ぎてれば、腹も減るだろうなぁ……」
 
 待てよ?
 
「エルフくんの食事も必要じゃね? これから一緒に使用人食堂へ行くことになるのか」
 
 まぁ、食べてから考えよう。
 
「いただきます!」
 
ーーーーーーーーーー
 
 お昼ごはんは質素だが美味しかった。
 
 むしろ、高級食材じゃあ、おれ倒れちゃうからね。
 
「ん、待てよ? そういや、ブラックカーテンが魔力を抜いてたな。抜ければ食べれたし」
 
「私を呼んだかね?」
 
「ブラックカーテン……扉も窓も空いた音はしなかったのに、なんで! 入って来れるの!」
 
「転移スキルを使えば一発だろうに。それと、少々まずいことになった」
 
「ますいこと?」
 
「今までの私のループの知識と、歴史が変わってきているんだ!」
 
 それがどうしたのだろうか?
 
「ループ知識とどこが変わったんだ?」
 
「本来なら、真の勇者である、『コウキ』くんが君に決闘を挑むはずだったんだ……」
 
 なるほど、金髪不良ではなく、本来は光輝だったってことね。
 
「おい、もしかしておまえが端折ったからじゃねえのか?」
 
「えー、だって、ゲームのめんどくさいイベントはスキップする派だしなぁ」
 
 こいつ……! 全然悪びれてない……。
 
「それじゃあ、相手は本来より弱くなったってことか?」
 
「どうだろうか、真の勇者は『大器晩成』のスキルを取得してたからね、今なら、セイギくんのほうが強いかもしれない」
 
 それはそれは、やばそうだな。
 
「仕方ない。エルフくんには悪いけど、練習台になってもらおう……」
 
 おれは、魂の右腕を出し、エルフくんのお腹に突っ込んだ。
 
「なにをしてるんだい? ラインハルト」
 
「おれには、ステータス値がゼロで存在しないことは知ってるだろ?」
 
「そりゃあねぇ!」
 
「今、おれは魂で動いている。エネルギー体なんだ! だから、魔力とかも触れた」
 
「確かに魂なら魔力や魔素に触れることもできるねぇ!」
 
「だから、同じよくわからんエネルギーのステータスでも触ることができないかなぁって試してるんだよ」
 
「それができればステータスを持つものに対しては有利になるけどねぇ……」
 
「なんだ、なにかあるのか、ブラックカーテン」
 
「魂って鍛えられるよ? 使えば使うほど。でも、君はまだ、対して魂の量を持ってない」
 
「だから?」
 
 まあ、鍛えられるのはわかってたさ。魂の量に個人差があったからな。
 
「ようは、ある程度、具体的には『数メートル』ぐらい近づかなきゃ魂で相手には干渉できないよねぇ!」
 
「遠距離攻撃を使う相手には相性が悪いってことか」
 
 それでも、近づければいいわけだし。
 
「ま、頑張ってみることだね。アデュー!」
 
 振り向くと、ブラックカーテンはいなくなっていた。
 
「スキルのアナウンスは表示されてなかったな。スキルを使ってないじゃないか! どうやって出てったんだろ……」
 
 とりあえず決闘のことを考えるか。
 
 ステータスと思わしき変なエネルギーも掴めたし。
 
  
 

「『理外の無才者』〜不利すぎる状況でおれは強くなる〜」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く