『理外の無才者』〜不利すぎる状況でおれは強くなる〜
??? エピローグ ロストタレント
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目の前に『青』が広がっていた。
さっきは『黒』が広がったのになぜ青なのだろうか。
そして気づく。
『あれ?もしかして、あれは空か?おれは横になっているのか?』
起き上がってみると、『黒い何か』に飲み込まれる前と同じ状況だった。
いや、違う。
『おれにぶつかったトラックはどこいった?』
疑問が出たが、とりあえず置いておこう。
今おれの目の前には『おれの死体』にすがって泣いている水樹がいた。
『おい、水樹、聞こえてるか?』
声をかけても反応しないな。やっぱりおれは幽霊にでもなったのだろうか?
水樹の前で手を上下してみるが、彼女は反応せずにずっと泣いている。
『幽霊だから触れないのかな?試してみようか。』
おれは手を差し出し、目の前の彼女に触れようとして……通り抜けた。
「ひゃあ!」
お、身体を通り抜けたのに水樹が声を上げた。
そのままもっと手を動かしてみる。
「がはっ……」
……やべぇ、水樹が気絶しちゃったよ。なんでだ?
てか、女の子が出しちゃいけないような声出たな。
……あれ?なんか水樹の身体を動かせないか?
おれの手は水樹の背中を通り抜けたまま、彼女の手足などが動かせた。彼女の身体を直接動かしているわけではなく、まるでリモコンで操ってるような感じだ。
『幽霊の憑依みたいなもんなのかな?おれの身体も動かせないかなぁ?試してみれば、わかることか。』
おれは水樹の身体から手を抜き、倒れた自分の死体に手を入れ込む。
『く、ものすごい反応が重いけど、なんとか動かせるな。死体だからか?わからないことばっかりだな。』
よし、ゆっくりとならおれの身体を動かせるな。
そう、思った瞬間……
『《禁忌事項:死者の復活》を確認、直ちに修正します。』
『……は?』
なんか大人っぽい女の人の声みたいなのが聞こえたぞ?周りに大人の女性は誰もいないのに……。
そして目に見える景色が歪んでいき、おれは気絶した。
「最悪だ……。」
ーーーーーーーーーー
「知らない天井だ……」
目の前に白い天井が見えるな……。
おれは白いベッドで寝ていたらしい。白いカーテンで囲われていて、まるで保健室のベッドみたいだ……
「あれ、まじで保健室じゃね?」
「あら、起きたのかい、■■くん」
なんか声が聞こえたな。ていうかいつも保健室にいる先生の声だな。
白いカーテン?を横にずらすと案の定そこは保健室で先生がこっちに歩いてきていた。
「えっと……先生……あの、なんでおれがここにいるんですか?」
「やぁねぇ、覚えてないかしら、あなた、登校の途中で倒れたらしいわよ?水樹さんが連れてきてくれたのよ?」
え?あのキツい性格の水樹が?いや、そもそもあいつがおれを連れてこれるのか?いや、そもそもさっきのトラックで跳ねられたのは夢だったのか?
考えごとをしてると、どうやら口に出していたらしく、
「水樹さんは意外と優しいのよ?■■くんが気づいてないだけで。それと意外と力も強くてあなたを背負ってここまで来たのよ。トラックに跳ねられた?あなた別に怪我一つしてないじゃない。」
先生がすべて答えてしまった。
「そうでしたか。あとで水樹にお礼を言っておきます。」
「そうすることね。あと、あなたたちは登校時間がいつも早いから、まだ朝のホームルーム活動に間に合うわよ。早く教室に行きなさい。元気そうだからね。」
「わかりました。ありがとうございました。」
おれは保健室を出て、教室に向かった。なにかしらの違和感を抱えながら……。
ーーーーーーーーーー
二階の左端にある『11HR』との表記がある教室に入ると、どうやらまだ八時前で、朝のホームルームは始まってないようだった。
「あ〜、遅いわよ!■■!なんで登校途中に突然倒れるのよ!あたしが背負って保健室まで連れていくハメになったじゃない!道端で倒れたのを連れて行ってあげたんだから今日のお昼になにか学食おごりなさいよ!」
水樹が教室の前のホワイトボードを消しながら騒いでる。
「断る!なぜならおれは金欠だからだ!そもそも倒れたなら救急車でも呼べばよかっただろ。わざわざ運ばなくてもよかったんじゃないか?」
「そ、それは別に怪我とかなさそうだったし、熱もなかったから、そこまでおおごとじゃなさそうだったからよ!」
「あっそ。ありがとうな。ただ、おごりはしないぞ。」
そういって颯爽と離れて一番左端の列の後ろから二番目の席に座る。
「ふ、なぜなら、この位置の席は主人公が座る席の位置だと聞いたことがある。だから席替えのときにいろいろ難癖つけて担任にこの席にしてもらったのさ!」
おっと、またうっかり独り言をしてしまった。
「そういえば、さっきの夢で最後になんか禁忌事項とか言ってた女性の声、どっかで聞いたことあるような、ないような。」
「うるせぇぞ!■■!おまえみたいなやつ、黙ってろよクズ。」
おっと、このクラスの不良が話しかけてきたようだ。こいつの名前は忘れた。金髪の長髪野郎で学ランのボタンをつねに全部開けているやつだ。ちなみに不良仲間は後ろに構えている。こいつがこのクラスの不良グループのトップだからだ。ただただうざいだけである。
「おい、なにか言えよクズ。それと今すぐコンビニで弁当でも買ってこいよ!」
「パシリを要求するとか、今どき古い不良だな。えっと……名前はなんだっけ?金髪豚野郎。」
「あ?豚はてめえだろクズ、おれたちに逆らえるとでも思ってるのか?弱いくせに。」
まぁ、それはこいつの言うとおりで、おれは運動が苦手だ。少し太ってもいる。でも、弱いからなんだと言うのだろうか。
「君たち!何を騒いでいる!」
今度はイケメン野郎の光輝が話しかけてきやがったよ。別にこいつはなにか悪いことをしてるわけじゃないが、おれが不良と対立してるときなんか割り込んでくる正義感強めなやつだ。
「別に、そこの金髪不良野郎がおれをパシリのしようとしてきただけだが?しかももうすぐホームルーム活動が始まろうとしてるのに。それでもおれになにかあるか?」
「あんだと、この口だけのクズが!雑魚いくせにおれたちに逆らってんじゃねえよ!ぶん殴るぞ!」
「やめないか、二人共!二人ともどっちも騒ぐな!周りの迷惑だ!少しは周りのことも考えてほしいね!君たちももっと立派な大人になるために勉強したまえ!」
とにかくうざいね。自分が正しいと思ってる。イケメンだから周りの女子たちも賛同して、こいつの助長はとどまることを知らない。
「こうき君。もうすぐホームルーム始まるから全員席につかせてくれる?」
おっと、独り言を言ってるうちに担任が来たようだ。
この11HRの担任は見た目は弱気な感じがする背の小さい先生だが意外と心は強い茶髪の女性だ。メガネをかけて、白衣を着ている。
「全員席に着いたね、じゃあ、今から朝のホームルームをーー」
担任が話し始めたその瞬間突然床が光り始めた。
え、なにこれ。まぶしい……。
そしておれたち教室にいた者たちは、この日教室から忽然と姿を消したのであった。
目の前に『青』が広がっていた。
さっきは『黒』が広がったのになぜ青なのだろうか。
そして気づく。
『あれ?もしかして、あれは空か?おれは横になっているのか?』
起き上がってみると、『黒い何か』に飲み込まれる前と同じ状況だった。
いや、違う。
『おれにぶつかったトラックはどこいった?』
疑問が出たが、とりあえず置いておこう。
今おれの目の前には『おれの死体』にすがって泣いている水樹がいた。
『おい、水樹、聞こえてるか?』
声をかけても反応しないな。やっぱりおれは幽霊にでもなったのだろうか?
水樹の前で手を上下してみるが、彼女は反応せずにずっと泣いている。
『幽霊だから触れないのかな?試してみようか。』
おれは手を差し出し、目の前の彼女に触れようとして……通り抜けた。
「ひゃあ!」
お、身体を通り抜けたのに水樹が声を上げた。
そのままもっと手を動かしてみる。
「がはっ……」
……やべぇ、水樹が気絶しちゃったよ。なんでだ?
てか、女の子が出しちゃいけないような声出たな。
……あれ?なんか水樹の身体を動かせないか?
おれの手は水樹の背中を通り抜けたまま、彼女の手足などが動かせた。彼女の身体を直接動かしているわけではなく、まるでリモコンで操ってるような感じだ。
『幽霊の憑依みたいなもんなのかな?おれの身体も動かせないかなぁ?試してみれば、わかることか。』
おれは水樹の身体から手を抜き、倒れた自分の死体に手を入れ込む。
『く、ものすごい反応が重いけど、なんとか動かせるな。死体だからか?わからないことばっかりだな。』
よし、ゆっくりとならおれの身体を動かせるな。
そう、思った瞬間……
『《禁忌事項:死者の復活》を確認、直ちに修正します。』
『……は?』
なんか大人っぽい女の人の声みたいなのが聞こえたぞ?周りに大人の女性は誰もいないのに……。
そして目に見える景色が歪んでいき、おれは気絶した。
「最悪だ……。」
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「知らない天井だ……」
目の前に白い天井が見えるな……。
おれは白いベッドで寝ていたらしい。白いカーテンで囲われていて、まるで保健室のベッドみたいだ……
「あれ、まじで保健室じゃね?」
「あら、起きたのかい、■■くん」
なんか声が聞こえたな。ていうかいつも保健室にいる先生の声だな。
白いカーテン?を横にずらすと案の定そこは保健室で先生がこっちに歩いてきていた。
「えっと……先生……あの、なんでおれがここにいるんですか?」
「やぁねぇ、覚えてないかしら、あなた、登校の途中で倒れたらしいわよ?水樹さんが連れてきてくれたのよ?」
え?あのキツい性格の水樹が?いや、そもそもあいつがおれを連れてこれるのか?いや、そもそもさっきのトラックで跳ねられたのは夢だったのか?
考えごとをしてると、どうやら口に出していたらしく、
「水樹さんは意外と優しいのよ?■■くんが気づいてないだけで。それと意外と力も強くてあなたを背負ってここまで来たのよ。トラックに跳ねられた?あなた別に怪我一つしてないじゃない。」
先生がすべて答えてしまった。
「そうでしたか。あとで水樹にお礼を言っておきます。」
「そうすることね。あと、あなたたちは登校時間がいつも早いから、まだ朝のホームルーム活動に間に合うわよ。早く教室に行きなさい。元気そうだからね。」
「わかりました。ありがとうございました。」
おれは保健室を出て、教室に向かった。なにかしらの違和感を抱えながら……。
ーーーーーーーーーー
二階の左端にある『11HR』との表記がある教室に入ると、どうやらまだ八時前で、朝のホームルームは始まってないようだった。
「あ〜、遅いわよ!■■!なんで登校途中に突然倒れるのよ!あたしが背負って保健室まで連れていくハメになったじゃない!道端で倒れたのを連れて行ってあげたんだから今日のお昼になにか学食おごりなさいよ!」
水樹が教室の前のホワイトボードを消しながら騒いでる。
「断る!なぜならおれは金欠だからだ!そもそも倒れたなら救急車でも呼べばよかっただろ。わざわざ運ばなくてもよかったんじゃないか?」
「そ、それは別に怪我とかなさそうだったし、熱もなかったから、そこまでおおごとじゃなさそうだったからよ!」
「あっそ。ありがとうな。ただ、おごりはしないぞ。」
そういって颯爽と離れて一番左端の列の後ろから二番目の席に座る。
「ふ、なぜなら、この位置の席は主人公が座る席の位置だと聞いたことがある。だから席替えのときにいろいろ難癖つけて担任にこの席にしてもらったのさ!」
おっと、またうっかり独り言をしてしまった。
「そういえば、さっきの夢で最後になんか禁忌事項とか言ってた女性の声、どっかで聞いたことあるような、ないような。」
「うるせぇぞ!■■!おまえみたいなやつ、黙ってろよクズ。」
おっと、このクラスの不良が話しかけてきたようだ。こいつの名前は忘れた。金髪の長髪野郎で学ランのボタンをつねに全部開けているやつだ。ちなみに不良仲間は後ろに構えている。こいつがこのクラスの不良グループのトップだからだ。ただただうざいだけである。
「おい、なにか言えよクズ。それと今すぐコンビニで弁当でも買ってこいよ!」
「パシリを要求するとか、今どき古い不良だな。えっと……名前はなんだっけ?金髪豚野郎。」
「あ?豚はてめえだろクズ、おれたちに逆らえるとでも思ってるのか?弱いくせに。」
まぁ、それはこいつの言うとおりで、おれは運動が苦手だ。少し太ってもいる。でも、弱いからなんだと言うのだろうか。
「君たち!何を騒いでいる!」
今度はイケメン野郎の光輝が話しかけてきやがったよ。別にこいつはなにか悪いことをしてるわけじゃないが、おれが不良と対立してるときなんか割り込んでくる正義感強めなやつだ。
「別に、そこの金髪不良野郎がおれをパシリのしようとしてきただけだが?しかももうすぐホームルーム活動が始まろうとしてるのに。それでもおれになにかあるか?」
「あんだと、この口だけのクズが!雑魚いくせにおれたちに逆らってんじゃねえよ!ぶん殴るぞ!」
「やめないか、二人共!二人ともどっちも騒ぐな!周りの迷惑だ!少しは周りのことも考えてほしいね!君たちももっと立派な大人になるために勉強したまえ!」
とにかくうざいね。自分が正しいと思ってる。イケメンだから周りの女子たちも賛同して、こいつの助長はとどまることを知らない。
「こうき君。もうすぐホームルーム始まるから全員席につかせてくれる?」
おっと、独り言を言ってるうちに担任が来たようだ。
この11HRの担任は見た目は弱気な感じがする背の小さい先生だが意外と心は強い茶髪の女性だ。メガネをかけて、白衣を着ている。
「全員席に着いたね、じゃあ、今から朝のホームルームをーー」
担任が話し始めたその瞬間突然床が光り始めた。
え、なにこれ。まぶしい……。
そしておれたち教室にいた者たちは、この日教室から忽然と姿を消したのであった。
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