クラス転移でみんな勇者なのに俺だけ魔王だった件

ニートは引きこもりたい

天使の罠

ゼンの案内で天使のいる町に着いたが,そこはもう1つの巨大な国だった。
建物は全て白色で汚れなどが見る限り1つもない。

「うわっすっげえーな。」
日本でもこの世界でも見慣れない景色に才道がつい感想を言ってしまう。

「驚くのはわかるんだが,問題は俺たちはこの国に入れるかだよなぁー?」

「たしかにそれはそうだねぇ〜。でも,あの天使の羽を見せれば入れるんじゃな〜い。」
しかし,そんな心配しなくてもよく入口は開けっ放しで門兵などもいなかった。

「こんな簡単に入れていいのか?」

「まぁ,おそらくこの空間には天使しかいない前提なんじゃない?」

「たしかにこうして町を歩いても俺たち以外天使しかいないぜ。」
その後も特に問題はなく普通に観光をした結果3人はとんでもない問題に気づく,

「この世界,地上とお金が違うのかよ!」
才道がどうしようという感じで2人の方を見る。

「たしかにこれは予想外だったね〜。最悪野宿かな?ゴミもないし不衛生ではないでしょ。」

「嫌,不衛生だよ!ゼンもなんとか言ってくれよー。」

「わかってる。それも問題だが,そもそもこの国おかしすぎる。」

「「どこがぁー?」」
2人がゼンの方を向いて首を傾げている。

「嫌,考えてみろよ。こうして今ここによそ者がいるっていうのにここの奴らは全然反応しないし,お前らこの国に来てから誰かと喋ったか?一言でもいいから。」

「「………。たしかに!?」」

「やっと事の重大さがわかったか。………。ちょっと試してくるか。」
ゼンはそう言い2人から離れ通行人にぶつかってみたがぶつかるはずの通行人の体を貫いた。まるで幻にぶつかるように。

「やっぱりか,なぜかここの国の奴らには俺たちが見えてないしさわれもしない。」

「一体どうなっているだい?」

「もし,俺の予想が正しければ最悪の結果が見えてるぜ。」
ゼンがそう言った瞬間3人の頭上が光った。

「気づいてしまいましたか。」
そう言いながら降りてくるのはエルとリリィを回収した天使だった。その姿を見てゼンは一瞬で理解した。
(あの時よりも数段やべえ。)

「本来ならば貴方達をこのまま封印するつもりでしたが気づいてしまわれたのならしょうがありません。ここで殲滅させてもらいます。」
3人が瞬時に構える。

「無駄ですよ。周りを見てみなさい。」
天使にそう言われ周りを見てみると先程までいた通行人や商売人が武装してゼン達を囲んでいた。

「これは,逆らわない方が賢明かな〜。」
アレプトが冷や汗をかきながらそう言う。

「あの方に殺すなと言われてますから大人しくするなら怪我すらさせません。ですが抵抗するというならそれなりに覚悟してください。」
頭上の天使がなんの感情もない冷たい目でそう警告する。
(くそったれ。確かにここで抵抗しても何一つ得はない。)
そして,3人は武装を解除されてそれぞれ別々に牢屋に入れられた。

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