クラス転移でみんな勇者なのに俺だけ魔王だった件

ニートは引きこもりたい

強大な敵

「では,依頼を達成するため,その人の特徴があるなら教えてください。」

「その人には独特の特徴はありませんが,黒髪の人を探せばおそらくその人にたどり着くと思いますよ。」

「そういえばその,人を襲っているという噂はどこで聞いたんですか?」

「聞いたのはネイビス国ですが,噂の内容では実際に襲われたのではなく,影から支配しているという感じでした。」

(影から支配?
まさかムラクモじゃねえよな。)

「それと魔物を複数使役していて,しかもその魔物も彼の力で強化されているらしいんです。」

厄介だな。
勇者並みの力を持った奴1人相手するだけでも無理ゲーなのにそこに強化された魔物とかもう糞ゲーだな。
まぁ,エルなら多分大丈夫か。

「エルにはその強化された魔物と戦ってもらうけど大丈夫か?」

「うーん,魔物の強化って具体的にはどれくらいなの?」

「例えば一段階進化しているという感じですね。」
 
「なら大丈夫だよ,お兄ちゃん。」

大丈夫なんだ。
もうエル1人でよくない?


「いよいよ,始めるぞこの世界を変える時だ。」

男がそう言うと,周りの魔物が興奮して騒ぎ出す。
すると男の背後から,

「主人,ムラクモはやはり死んだそうです。」

「そうか,だれかは知らんがつくづく俺の邪魔をしたいらしいな。」

しかしムラクモが死んだか、一応アイツは上級悪魔だったんだがなぁ。
敵は俺のことを知っているのか?
それともネイビス国の奴らか?
まぁ,どちらでもいい。
明日この俺が全てを変えてみせる。
この腐った世界の全てを。


「はぁ,なんの因果で俺がこんなことをしなきゃいけないんだろうな。」

風呂場で1人嘆いていると,

(マスターが黒髪を隠さなかったからじゃないでしょうか?)

(だってアレプトも大抵異世界人のことを知ってる人いないって言ってたし,まさか知っているやつと会うと思わないじゃん!)

「はぁ,」

再びため息をついてから,

(なぁ,リリィ俺は勇者に勝てるかな?)

(マスターもこの3年間必死に修行していたではありませんか。)

(でも,それは相手も同じだ。
しかも勇者の素質もあったんだろ,それは強力なスキルを持っていると確証できる。)

(そうですね。
マスターはあまりにもスキルが少ないですよね。
それを考えると相手のスキルによりますがかなり厳しい戦いになると思います。)

(だよなぁー。)

そう思いながら風呂から出て寝ることにした。


翌日,

「カァン,カァン,カァン,カァン。」

そんな大きな鐘の音により無理やり起きることになった。

「なんだなんだ?」

「大変です,魔物が街の外で大量発生したらしいです。」

「なんで急に!」

「しかもどれもとても強力な魔物で最低でもCランク以上の冒険者じゃないと太刀打ちできないらしいです。」

くそう寝起きで辛いのに,しゃあない

「おい、行くぞエル。
さっさと終わらせてこようぜ。」

「むにゃあー,まだ眠い。」

「俺だって眠いよ。
だからこそさっさと終わらせて寝るんだ。」

そう言い,半分寝てるエルを背負って街の外に行くと,いつか見たゴブリンキングが数10体最前列にいた。
しかもその後ろはリザードマンみたいなのが沢山いるし,何このやばい集団。
そう思っていると,そのさらに奥ムラクモ並みの気配を感じた。

(おいおい,マジかよ,姿は見えねえけどこれかなりヤバイぞ。)

エルも気づいたのか俺から降りて戦闘態勢をとっている。
すると,

「何この気配,大魔王並みの力を持った敵がいるよ。」

エルが唐突にそんなことを言った。

「エル,どうゆうことだ!」

「わかんない。
でもこれだけは断言できる。
きっとあれがお兄ちゃんが受けた依頼の対象だよ。」

つまりクラスメイトか,
つか,大魔王クラスとか勝てる気しねえ。

「とりあえず昨日言った通りエルは周りの奴らを倒してくれ。
悪魔もいるようだけどなんとかなるか?」

「うん。
そっちは大丈夫だけどお兄ちゃんはアレと戦いに行くの?」

未だに姿も全く見えないが気配だけはビシビシ感じる。
すると,

「今日この瞬間俺はこの世界を変える。
このクソッタレな世界を。
だが、俺も無闇に人を殺すつもりはない。
抵抗さえしなければ命の安全だけは絶対だ。」

そう声が聞こえた。
すると周りの冒険者たちが,

「どうする。」 「これ降伏した方がいいのかな。」 「命だけは安全なんだろ。」

そんなことを言い始めた。
まぁ,だれだって命は惜しい生きたいに決まってる。
だが,俺たちだけは降伏しちゃダメだよな。

(リリィ,リンクは終わってるか?)

(ハイ、完了しています。)

(じゃあ,あの気配の奴を分析できるか?)

(全部はできませんでしたが,できた範囲で考察すると,今のマスターでは間違いなく負けるでしょう。)

リリィにそう断言された。
上等じゃねえか,じゃあさっさとふざけたバカヤロウの目を覚まさせに行くぞ!


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