“無能”から始まる世界最強

つかっちゃ

No.59 魔法使いの村で

ディハカに案内されて来たのはこの村でも一際目立つ大きな建物だった。壁などは木で出来ているようだが石以上の耐久を持っているようで、リオは魔力の流れが分かるのですぐにこの家自体が魔法道具であることに気づいた。

「面白い家じゃのう」
「これは儂がまだ若いときに込めた魔力じゃ。魔力が尽きるまではこの家はほぼ壊れる可能性は無いじゃろうな………お前さんのような例外が攻撃してこない限りは」

ゆっくりと腰掛け近くのテーブルの上の紅茶を手に取ると、ディハカはリオに目線を戻した。そして上から下まで眺めるとある一点で止まった。

「…その杖は────普通ではないな?」
「これは一緒に旅をしていると話した雅久のが自ずから作ったものじゃ。簡単に言うと魔法の性能を100倍に引き伸ばしてくれる。しかし──」
「──魔法が扱いきれておらんから使う機会が無い、じゃろ?」
「流石は長老、じゃな。そう、威力は恐らく申し分ない程度には使える。しかしそれはあくまで単調な魔法なら、じゃ。妾の専門分野は魔法じゃ。雅久に魔法で劣るのは………正直悔しく思う」
「それでここに来た、か。……ここにはお主に実演して教えてくれる者がいるじゃろう。しかしそれはあくまで使い方じゃ。お主が使いこなせるかは別。……それでも?」
「もちろん使いこなせるまでここに居るつもりじゃ」
「……はぁ。お主ならこの魔法書を読めるかもしれんしこれを授けよう」

そういってディハカが渡してきたのはかなり古い魔法書で古代文字が使われていた。
リオはこの世界が出来てからある程度の時間は世界に触れていたので古代文字が当然読める。なのでリオはその本を見てみると───


「……っ…!!!こ、この本は…」
「そう、歴史上最も難しいとされる魔法の複合、昇華の方法が書いてある、と聞いてるがその様子から本物のようじゃな」
「こんな貴重な物が……!本当に貰っていいのか?」
「ああ。儂たちが持っていても意味がない。お主が持つことで初めて意味がある。適材適所、というわけじゃ」
「本当に感謝するのじゃ」

リオはそういって頭を下げると早速長老宅を出て、少し離れた場所の芝生の生い茂った丘にある大きな木の下に来た。
そしてそこに腰掛けるように座ると早速読みあさった。

その日はその木の上にハンモックを貼り(雅久作)、夜になっても雷魔法を応用したライトでその本を読んで、区切りの良いところで眠りについた。






朝目が覚めるとハンモック等を片付け、近くにあった林で鳥を狩り、それを自分で調理して朝食とした。旅をしていた時はリオとエマで代わる代わる料理もしていたのである程度は上手く作ることが出来た。
朝食の後は林の横には大きな湖があり、蓮の花が咲き乱れる場所を散歩もした。こんなにも平和だと感じるのはいつぶりだろうか。そんな感慨に耽っていると、目の前に白く光っている蝶が飛んできた。いや、リオの辺りにはたくさんの蝶が飛んでいた。

「おはようございます」

突然後ろから透き通った声が聞こえてくる。振り向くとなんと昨日出会ったあの眼鏡かけの少女だった。昨日とは違い今日は真っ白なワンピースを着ている。

「おはようなのじゃ。え〜っと、名前は?」
「あ、そういえば。私はテミーと言います」
「妾は昨日名乗ったとおりリオじゃ。宜しくしてたもう。この蝶はお主が?」
「あ、はい。これは私の魔法で光魔法の応用した物です。回復効果があるんですよ」
「こんなに沢山…制御するのは難しいのじゃろうな…」
「いえ、これは以外と簡単に出来るんですよ。火の魔法使えますか?まずは…………」



そして、この少女との出会いがリオを変えることになる────かもしれない。

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