“無能”から始まる世界最強

つかっちゃ

No.42 竜魔法

「わりぃな。変なもん見せちまって」
「いえいえ、あんな想像していたよりも遥かにひどい人達だと思っていなかったので」
「そうじゃのう…あんなに汚れたものが表面にでるものなのじゃのう…」

リオもエマも雅久がクラスメイトの一人を殺した事については何も思っていなかったらしい。まあ、ここに来てあんな人が死ぬだけで怯むようなやわな女だとは思ってなかったが。

「どうする?まだ飯も途中だったが…」
「ああ、いえ、私はほぼ全部食べきっていたので」
「妾もじゃな」
「ならこのまま宿に………ってわけには行かないか」

後ろから殺気立った奴らがぞろぞろとついてくるのがわかった。なので路地裏の方に静かに誘導して振り返るとそこには永田を取り巻いていた奴ら、中村、榮倉、山口、池田、斎藤、飯田が居た。

「はぁ…お前らさぁ、実力差って分かんないの??」
「う、うるせぇ!永田を殺す事もなかっただろうが!!」

と榮倉が大声で叫んでくる。これから戦闘に入りそうだったので目線でリオに慣性魔法を応用した結界を張っておいてもらった。

「はぁ?殺す事もなかった?相手は殺す事前提だったが?聖剣出して目も血走って」
「それはお前が調子に乗った態度取ったからだろうが!!………へへっ、こっちには6人居るんだぜ?お前の後ろにいる女2人こっちに寄こせば戦わずに見逃してやってもいいぜ?」

数で押し切れるとでも思っているのだろうか。そしてリオとエマを上から下まで舐めるような目線で値踏みしている。ここでもう既に殺しをためらうトリガーは既に引かれている雅久は殺気を放ちながら

「テメェ等如きで俺に勝てるわけがないだろうが。それとその汚い視線を送ってんじゃねぇよ」

雅久は相当キレていた。仲間が一人死んでいるのに(殺したのは雅久だが)そんな悠長な事を言っていられることに、力の差を見極められないこんな雑魚に昔はよくやられていた事に、そして──
───リオとエマをその目で見ていることに。

「ああそうかよ。ならお前ら!いくぞ!」

榮倉達は一斉に雅久に向かって攻撃を始めた。流石は召喚された者だけある。腐っていても技の一つ一つの威力は凶悪だ。しかしそれは今の雅久にとってはそよ風にもなり得ないほどの威力しか出ていない。一つ一つの技を最小限の動きで全てかわし、

「攻撃してきたってことは殺されても文句ないよな?」

雅久は背中の鞘から魔剣を引き抜き中村に向かって上から下になぞるように剣を落す。その瞬間、中村は頭から股にかけて2つに別れた。斬撃はそこでは終わらず地面を下に3mほど切りつけながらリオの結界に止められた。

「「「「「なっ」」」」」

他の奴らはかなり動揺していた。あの雑魚で無能な谷渕がここまで強くなっているとは。レストランで一番強かった永田が殺されたのも見ていたがやはり間近で見るとその凄まじさが分かる。しかし榮倉は

「武器に頼ってるだけだろうが!!」

と現実を否定したいのか吠えはじめた。なのであえて剣を収めて、両腕を竜化させた。
はじめは腕が白い光が波打ち形がぼやけていたが光が収まるとそこには真っ白で金の爪が生えている人間の腕じゃない、明らかにドラゴンのそれがあった。そして背中には純白の翼、金に光る角がはえた。

「ふぅ。まだまだだな。羽と角まで生えて来てやがる」
「やはり美しいのじゃ」
「ほぇぇえ〜…雅久さんのここまで竜化している姿、始めてみましたが綺麗ですね〜…」

と後ろから少しだけ熱い視線を感じたが無視だ。
榮倉その他は皆目を見開いている。その有無を言わさぬ強者の風格、ドラゴンの腕や羽、角などが雅久はもともと竜人だったのではと思うほど自然だった。そこに雅久の声が響く。

「……さて、誰から殺されたいんだ?」

静かだかその声から分かる風格、腹の底に響く感じに皆無意識に後ずさっていた。
雅久自身、クラスメイトを殺す事自体はなんとも思っていないと思っていたがいざそうなってみると何とも後味が悪い感じがして無意識にそんな事を聞いていた。そして自分の実力を見せるために自分も初めて使う竜魔法を真上に向かって放った。

最初は腕が少しだけ金色に光っていたがそのうち太陽を思わせるほど明るく輝き、真上に突き出した掌に少しずつ集まり始めた。
直径が3m程になった頃、手を握るとその光が凝縮された。目を閉じ瞑想する。

「“神なる竜雷アイン・ドラッハ”」

頭の中に浮かんできた魔法名を口にするとそれが上に握っていた拳の上から発射された。雅久がゆっくり放ったが悠々としかしそれから感じる凄まじい力をそこにいた全員が感じ取った。
その光が上空1万kmほどまで上がった頃、雅久は目をゆっくり開き

「爆ぜろ」

その瞬間、音が消え、昼間になった。否、昼間のような光に照らされているだけだった。
光は上空で弾け直径10km程の爆発となった。その爆発の威力が凄まじく、かなり離れているここまでもが爆音、そして暴風に吹き荒れた。


しばらくしてやっとその魔法が収まると雅久は静かに

「…これで実力差は分かったはずだ。俺はお前らに恨みとかそういうものは既にない。これからは絶対に関わってくるなよ」

そういってリオ、エマ、リルを連れて空を飛び、街を離れていった。

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コメント

  • ゼロ

    殺らないの?1人ずつ結界に閉じ込めた状態で殺って欲しかった

    0
  • 花屋敷

    早く続きが読みたいです❗

    8
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