“無能”から始まる世界最強

つかっちゃ

No.33 討伐クエスト4

巨大な水柱を上げて出てきたのは紙にも書いてあった通りの巨体で蛇のような体を持ち、頭はドラゴンの日本の昔話に出てきそうな龍だった。しかし鱗一つ一つがダイヤモンドの様な輝きを持っており、正直美しいとも思った。

「遂に現れたのぅ」
「デカ過ぎません?ねぇ、やっぱりやめましょうよ?ほ、ほらリルちゃんも居ますし、ね?」
「いや、リルはここで待っててもらえばいいだろう?結界を何重にも張ってあるんだし」
「そんなに怖いのならここでリルと待っててもええのじゃよ?」
「ううう…着いていきたいですが今回は足手まといになりそうなので今回はここで待つことにしますぅぅ〜…」

と言うことで雅久とリオの二人で倒すことになった。
ここからレモラまでは相当距離があるので二人とも部分竜化でとんで行くことにした。五分もすればレモラまで近くなり、近づけは近づくほどその大きさが分かる。
そしてレモラとの距離およそ50mの所で雅久はおもむろに背中に背負っているその漆黒の魔剣を取り出し空中を蹴り切りつけて見た。すると

───キィンッッ!

「は!?当たり軽くねえ?」

そう。かなりの速度で切ったはずなので予想ではバキッとかガキッ位の手応えはある筈なのだ。しかしまるでスプーン同士がぶつかるような音しかせず、かすったような手応えしか無い。表面の鱗にちょっと傷が入っただけで終わってしまった。なので急いで距離を取った。

「おいおいまじかよ…かなり硬いぞあいつ。いや、なんというか物理攻撃自体を吸収しつついなされている感じもしたが…」
「なかなか面倒くさい敵じゃのう。試しに魔法を打ち込んでみるのじゃ」

そうしてリオも魔杖を取り出し

「“竜之薙風”」

そう呟いた瞬間、大気が軋むような竜巻が出来上がりレモラに直撃する。余りの回転の速さに空気同士が摩擦してプラズマ現象を引き起こすという途轍もない威力だったのだが、その威力が突然弱まりどんどん小さくなっていく。そして魔法全てをレモラが吸収してしまった。さすがの雅久もここまでの強さだと思わず刮目してしまった。そして最初の雅久の攻撃の後も修復されてしまった。

「どうしたもんかな…攻撃が通らないのは面倒くさいぞ…」
「うむ…攻略法が思いつかん…」

そして雅久はもう一度レモラの事が書いてある紙を見た。

─・─・─・─・─・─・─・─・─・

レモラ…蛇のような体を持ち、顔がドラゴンの様になっている。魔法に対しては完全な耐性を持っていて物理攻撃もほどんど効かない。                     ―――――
                                           ↓
絶対に効かないわけではない。おそらく9割以上をカットしているような気がする。
一度だけ鱗の採集に成功し解析班に頼んだがどうやら魔力を吸収しそれを利用して体力回復、衝撃吸収などそれ一つ一つがまるで魔法具の様だった。

大きさは頭から尻尾までおよそ150mはあっただろうか。その大きさ硬さ故に未だに退けることは出来ても討伐まではまるで目処が立たない。

出没場所は南の沖合に出る。

─・─・─・─・─・─・─・─・─・

「………ん?」
「どうしたんじゃ?」
「…いや、魔法に対しての完全耐性と書いてあるが、これは鱗が原因なんだよな?」
「そのようじゃの」
「なるほどな。解決法が見えた」
「なんじゃと?」

そう、鱗が原因で魔法が吸収されてしまう。さっきのリオの魔法でわかった通り、レモラに触れた瞬間吸収された。しかし触れるまでは普通に発動できていた。

────なら、鱗に触れなければいい・・・・・・・・・・

「…そうだよな…それなら一番最初に試した魔法があるじゃないか…」

雅久は久々に自分でも倒すのが簡単じゃない敵が現れたのか自然と口角が上がるのが分かった。そして

「“空間切断”」

そう呟いて、レモラの居る場所の空間を切った。それも何度も。
レモラじゃない、空間自体に働いた魔法なので魔法完全耐性なんて関係ない。そしてずれた景色がもとに戻る頃、先程まで暴れ狂っていたレモラは静かになっていて、静かに全身をずらした。そして字の通り血の海に沈んだ。完全に沈みこむ前に空間切断をもう一度使い、鱗をかなりの数をそぎ取り、亜空間倉庫に保管しておいた。なんとなくもったいなかったのだ。

「なるほどのう。レモラ自身に魔法をかけなければ通ると踏んだのか」
「ああ。予想通り上手く行ったようで何よりだ」
「エマがそろそろ寂しくなる頃じゃ、早く戻るのじゃ」
「そうだな」

そういいレモラに背を向け、飛んで帰るのだった。

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コメント

  • 橋本 創

    ほんとこの書き方すき

    0
  • 優しい心

    変態技ですね

    2
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