“無能”から始まる世界最強

つかっちゃ

No.29 保安部

今日もまた例の如く波の音で目が冷めた。潮風のせいで少しべたつくので朝シャンをささっと済ませるとちょうど二人とも起きて来た。

「ふわぁ〜…雅久さん、おはようごさいます〜」
「おはようなのじゃ」
「ああ。おはよう。それよりベタつくだろ?風呂入ってこい。食堂で待っとくから」
「助かるのう」

といいつつ着替えを亜空間倉庫から取り出し向かっていった。


ここの宿は少し普通の宿と違い、朝昼夜のご飯がバイキング形式になっており自分達で配膳するようになっていた。なので二人を待っている間に雅久は全員分を配膳しておいた。そしてすぐ二人とも来て

「わざわざすまんのう」
「雅久さんわざわざありがとうございます」

と礼を言い朝食についた。海洋国家だけあってやはり海産物がすこし多めだ。雅久はもともとあまり魚介類が好きでは無かったのだが、この体になって好き嫌いというものが無くなった。なので朝食をしっかりと味わいつつささっと平らげ、

「よし、じゃあギルドに行くか」








「あっ、確か貴方方は…」
「ああ、セスターに用があってきた。呼んでくれ」
「は、はい、畏まりました」

と受付嬢に伝えると奥から直ぐにセスターがやってきて、用意してくれた馬車にのって王城に向かうことになった。王城から寄こした馬車なのか多少の凸凹になっている道も良い素材を使っているのか衝撃がほとんど無い。

ここから王城はそう遠い距離でもないので30分程で着いた。王国の印がついている馬車だったため門が開き止まることなく王城の敷地に入った。するとセスターに出るよう言われたため出てみるとそこには身長が2mあるんじゃないかと思うほどの巨体で筋肉隆々としたおじさん(?)が立っていた。

「やぁ、君が例のレモラを自分達だけで倒したいっていう子かな?」
「ああ。自分の力試し兼仕事だな」
「ほう…よほど自分の力を過信しているのだな」

と会ってそうそう鋭い目線を突きつけられた。しかし雅久がその程度で怯むわけもなく

「まぁな。自分でもこの力は異常だと自覚しているからな」
「ほう…異常…とな。ならば早速だがこの国の騎士団長と剣での勝負をしてもらおうか」
「ん?なぜだ?」
「それだけ自身があるということは騎士団長くらいなら魔法無しの剣の技術のみで撚ることができるだろう?」
「俺は剣はからきしなんだけどな…まぁ、いいだろう」
「それじゃ、早速付いて来い」

とそのおっさんはさっさと歩き始めた。なんなんだこいつ?と思っているとセスターが小声で

「この人はこの国の保安部の部長であるゴーン・テルメッドさんです。雅久さんが悪いわけではないのですが、この人は自信過剰な人を見ると少し熱くなってしまう癖があって、決して悪気はないんですよ。因みに前騎士団長で海洋国家の守護者と言われるほど防御に長けた人です」

と言う訳だった。まぁ、別に気にするような事でも無いので聞き流した。






ゴーンに付いていくと修練場の様な場所があり、そこには騎士達が剣を撃ち合っていた。そしてその中に一人だけ他の人達と違う事をしている人が居た。他の人達は剣で打ち合っている中、その人だけは目を瞑り瞑想のようなものをしているようだった。するとゴーンが

「おーい、グレン、ちょっと来い」

と呼びかけるとその瞑想していた男は静かに目を開けると返事をしてこちらに来た。

「こいつが今の騎士団長で俺の息子であるグレンだ。さて、グレン、突然で悪いがこいつと剣で勝負してやってくれ」
「何か訳ありな様ですね。了解しました」

そう言ったグレンは近くにあった木剣を二本手に取り、片方を投げてきた。

「それじゃあ、改めて。俺はグレンという。よろしく頼む」
「ああ。こっちこそよろしく頼む。谷渕 雅久だ」

お互いに構えを取った。始めようとするとゴーンが

「因みにソイツはこの国で一番強いのは勿論だが攻撃に特化していてなかなかのやり手だからな」

と注意なのか息子自慢なのかよくわからないことを言ってきた。しかし攻撃特化、ねぇ。一撃で決める。
そしてセスターが開始の合図を取る。

「それでは一本先取勝負、始め!」

というとグレンは踏み込んで10mほどあった距離を一蹴りで8mほど詰めて来た。そして普通の人なら受け止められない速さ、重さの攻撃を仕掛けた。普通の人ならこれで一撃決まり、木剣とはいえかなりのダメージを負うはずだろう。普通の人なら。
ここに居るのはまさにチートの塊と言ってもいい存在だ。雅久もグレンの攻撃速度がかなり早かったことに驚きはしたがそれまでだ。瞬間移動と言ってもいい速度でグレンの後ろに回り込み軽く肩を叩いた。グレンは突然の事で呆然としていたが、セスターが

「一本先取!雅久さんの勝ちです」

と言うと理解したのか、半笑いで

「はは…全く見えなかったや」

と負けを素直に認め、そして雅久を賞賛した。ゴーンはまさかこんなにあっさりとグレンが負けるとは思っておらず呆然としたが、直ぐに立ち直り

「なるほどな…異常だと言っていた意味が少しわかった気がするな。俺の負けだ。これがレモラの居る場所だ。死んでも責任取らんからな」

と良い、紙を渡してきた。そして貰ったあとはもう用は無くなったので片手をあげ挨拶をするとリオとエマを連れて城門の方に向った。

「…もしかしたら俺はえれぇ奴に出会ったかもしれないな」
「全くです」

とゴーンとグレンの呟きが静かに響き、残るのだった。





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コメント

  • 虎真

    見えなかったではなく残像の方がいいですね

    0
  • トクさん

    ゴーンとか言う犯罪者がいるんだがw

    1
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