俺の彼女はオタクだけど俺はオタクじゃない。

馬場ちひろ@小説

プロローグ

君らに問おう。
オタクと恋をした事があるだろうか。俺は断じてないと思う。俺はオタクが嫌いだ。
今の日本では外国人観光客のオタク文化や地方でのアニメ聖地巡礼が流行っているらしいが。
俺には縁のないし関係ないことである。これは俺の人生を変える物語。かも知れない。

――それはさておき、本題に入ろう。

俺は藍野千靖あいのちはる。東京に住む十七歳の高校二年生。
ある朝眠りから目覚めた。部屋は相変わらず某アニメのフィギュアやタペストリー、ポスター、百冊以上あるライトノベル。コミックマーケットで買った一般向け同人誌などオタク物ばかりだ。
しかし俺は、中学三年生の頃、ある諸事情によりオタクを卒業した。
今思えばこのオタク物は捨てたいと思う。

リア充になるために俺はこの学校に青春を捧げることにした。

すると下の階段から上がってくる音が聞こえた。ドンドンドンドンドンと。
ガチャと俺の扉をノックも無しに開けるとそこには二歳年下。
今年受験を控えた中学三年生の妹、瑞香みずかがいた。

「お兄ちゃん! いま何時だと思ってるのよ!
お兄ちゃん、また夜中にゲームとかしてたんでしょ! 今日は学校だからね! あと朝ご飯はママが仕事でいないし瑞香が朝ご飯を作ったからご飯しっかり食べて学校行く準備してよね! 瑞香もう学校行くから!! じゃあね!!!」

と瑞香は強く言い放ち扉をバタンと閉めた。

俺は、都立蒼ノ丘高校の制服に着替え、瑞香の用意してくれた朝ご飯を食べながら昔の事を思い出した。

幼い頃に大好きだったオヤジを交通事故で亡くした。オヤジはアニメが好きだった。オヤジの背中見て俺はアニメが大好きになった。

しかし、中学三年生の頃にはアニオタとして周りから馬鹿にされて苛められてきた。
俺のこよなく愛するライトノベルを奴等は無残な形で破られた。
俺は決意した。

「高校生になったら、オタクは卒業しよう」とそう胸に誓ったのだった――。

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