見ていてね、生きていてね

未硝詩 うい

鬱陶しい奴

「あ、皇さん! 」

 またあいつだ。錦戸恵太。

「久しぶりだね、今日はもう帰るの? 」

 当たり前だ。テストも返却されたし、本当だったらこいつに会う前に帰りたかった。言いたかったけど、やめた。どうせ無駄だと僕も学習したからだ。

「ああ、そうだ。錦戸は授業だろ、教室もどれ」

 早口で感情なんて一切込めていなかった。なのに、なのに何でこいつはこんなに嬉しそうな顔をしているんだ? バカなのか?  

「そうだね、でもその前に、皇さんのテストを見せてもらってもいいかな」

 錦戸恵太はそう言うと、僕が手に持っていたテストを強引に奪おうとした。

「めんどくさいから嫌に決まってんだろ」

 僕が錦戸恵太の腕を避けてそう言うと、言い終わってすぐに錦戸恵太が言った。

「低いから見せたくないのか? 」

 少しだけだが、狂気の笑みを浮かべたようにも見えた。なんだこいつ、僕はそう思った。普通に頭のおかしいやつだ。絶対に。

「……お前のより高いと思うが」

「じゃあ見せてもらおうかな、満点の解答用紙って見たことないし」

 僕はこのまま見せずにいたら授業が始まってもずっと付きまとわれる気がしたからテストの答案を全て渡した。

「明日は学校来るからそれまでに見とけよ」

 普通に言い逃げのような気もする。それでも付きまとわれてて鬱陶しかったからこれが最善の策だろう。

 ……本当は行く気じゃなかったけど、病院に行ってくるか。どうせ聞いてくれないけど、早姫姉に今日までの錦戸恵太の鬱陶しい行いを全部愚痴っておきたいし。でもそれには、おばさんにはいてほしくないな、迷惑になるし。

「ああ、もう。本当にあいつウザい! 」

 学校からでると、僕は少し大きめの声で叫んだ。嫌な予感がする。……しばらく学校には来たくないな。あ、明日テスト取りに来なきゃ行けないのか。

 僕はブツブツと独り言をたまに呟きながら病院に向かった。おばさんがいたから愚痴れなくて家に帰った。いいことはそんなに起きないと言ってもここまで悪いことの連続なのは酷くないか? 



「あー、行きたくない」

 僕はいつものように学校への道を少し遅い時間に歩いていた。本当なら今日は行かないつもりだった。が、錦戸恵太からテストを返してもらわなければいけないから学校に行かなきゃダメだ。……面倒くさい。

「やっぱり午後からにすれば良かった、午前中は英語もあるし……」

 僕は英語が嫌いだ。中学校で学ぶべき九教科の中で一番点数も低いし、授業も退屈だ。

 よし、決めた。午後からにして家に帰ろう。幸い、今家に母親はいないし。

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