見ていてね、生きていてね

未硝詩 うい

似てる

ゴツッ

…痛い。どうやらゲームしながら寝ていたようだな。もう少しで目の上に落ちてくるところだった、危ないな。

テストも終わって、何日くらいたったか…あの日の帰りにコンビニでお菓子とパンをたくさん買ってきて部屋に篭ってゲームしてたからわかんないや。

「…チッ」

ケータイ充電するの忘れてた。まぁ、ゲームのホーム画面か何かで今日の日付を確認するか。

「あ、」

ぶつけた衝撃で壊れた。…これからはぶつかったからって腹いせで部屋の床にコントローラー投げつけんのやめよ。…反応しないし。

「…朝…昼か? 今日の日付確認のためにケータイ置いて学校行こう。その間に充電くらいできるだろ。…まさか、土日じゃないよな? 」

とりあえず着替えた。窓から見た人通りの少なさ的に平日の真っ昼間だと推測できたからだ。なぜ母親は何も言わないか? そんなの簡単なことだ。母親は僕のことをすっかり諦めているからだ。

「…早姫姉…早姫姉がいなくなってから、母さんは僕に構わなくなっちゃったよ…本当あの人にとっての僕の存在価値は近所付き合いに使うためだけだったんだな…。僕が引きこもるからこうなったんだろうな…」

何を口に出してるんだろう…。住む場所も金も貰ってるし、自由に出来るから無関心でも育ててもらってるのにな。

そんなことを思いながら学校に向かった。近所の主婦たちの視線はかなり刺さった。それでもはじめの頃に比べたら随分と慣れた。

「おはようございます」

授業中でも勝手に入る。時間は十一時五分、もうわかったから帰っても良いけどテスト返してもらわないと困るから残る。

「皇さん、遅刻なんだから、少しくらい遠慮はないの? 」

「ないです」

意味がわからない。何で学年でトップクラスの成績をとって学校に貢献してるのに遠慮しなければいけないの? クラスメートからの視線はいつも通り近所の主婦よりも痛いけど主婦達よりも興味がないからなにも思わない。

ああ、うるさい。ヒソヒソ、ヒソヒソ、ヒソヒソ、ヒソヒソ。僕についての悪口ばっかり、授業に支障が出るのに先生はなにも言わない。だって事実だから。

『ほら、また外見てる』

『どうせ寝るだけだよ』

『邪魔だよね』

『授業妨害』

うるさい。うるさい、うるさい、うるさい。

僕だって好きでこうしてるんじゃない。でも、仕方がないじゃないか…。

僕は机に突っ伏す。何も見なくて済むから。何も聞きたくないから、誰にも見られないから。

先生に呼ばれてる気がする。いつもなら無言でそっちを見るかもしれない。でも、今日はそんな気分じゃないから無視をする。寝てると思われてるだろうけど無視をする。

やっぱり変だ。…名前、なんだっけ…錦戸…恵太…だっけ。あいつが現れてから学校にいずらくなった…。今日もテスト返してもらったら会う前にとっとと帰ろう。

多分似てるんだろうな…あのお節介なところ…早姫姉に。

「見ていてね、生きていてね」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く