王国賢者のススメ

あるまかん

異世界召喚


「ふぁぁ…朝か?」

スマホのアラームで起こされる。時間は6:30会社は8:45始業だが通勤にドアtoドアで一時間半かかるのでもう起きて準備しなくては…

朝に特別弱いわけではないが会社に行くために起きるというのはなかなか気力がでないもので、動きが鈍くなる。

しかし、
習慣化というのは凄いもので、六年も同じ会社に勤めていれば半ば自動で体が動き、顔を洗い、歯を磨き、寝癖を整え、スーツに着替える。までが目が冴える頃には完了している。

所要時間は15分ほど朝ごはんは会社に着いてから食べているのでもう何時でも出発できる。

今日も満員電車に揺られることを憂鬱に思いながら、カバンを持ちワンルームの扉を開けた……

ガチャン
と扉が音を立てて開かれる。

パタン
と扉を閉める音が立つ。


「???」


いつも扉を開けた先に広がる光景とあまりに違いすぎて思わず扉を閉めてしまった。

見間違いかもしれないがローブと杖を持った人が沢山居た気がする…

確かめるべくドアの向こうを覗くやつこと、ドアスコープから外の様子を伺う。

何かあわただしくしている。あっ、一人外に出ていった。皆、そわそわというか落ち着きがないような感じがする。

しかし、
オカシイ…俺は昨日You○ube見ながら酒を呑み0:30には寝るといつものルーティーンをこなしたはずなんの前触れもなかった。

なのに、
朝起きて会社に行こうとしたら変な奴等に囲まれている。28年生きてきて初めての経験だ…

夢か、いやしかし明晰夢にしてもリアルすぎる、アニメのように頬をつねるとしっかり痛みが走るので現実なのだろう。

私もアニメや漫画を嗜んだがシチュエーションとしては異世界召喚がしっくり来る。

少しワクワクしてきた。あれか勇者になって世界を救いお姫様と結婚するという王道が待っているのか…

いやまて、
もしかしてあれかドッキリと言うやつかテレビやYou○ubeでも高価なもの壊されたり、誘拐されたりと過激なドッキリをやっていることがあるがそれの一部なのか?

もし、
部屋ごと異世界召喚されたらどんな反応をするのか?って言う企画なのか一般人にすぎない自分を対象にするか甚だ疑問だが、一番現実味がある気がしてきた。
 

などと現実逃避気味に思考を廻らせていると扉の向こうからノックが聞こえた。

思考の海にトリップしていたので、思わず体を仰け反らせて驚いてしまった。

硬直していると、再びノックが聞こえた。

心臓は激しく暴れているが、少し落ち着きを取り戻し一応チェーンを掛けて扉を少し開けた。

「賢者さま、開けてくださり有難うございます。出来れば中に入れていただくか扉の外に出て来て頂きたいのですが…」

「…貴方だけ入ってきて下さい。」

何か害を与えられる可能性を考えたが、こんな扉一枚簡単に突破できるのだろうしおそらく話がしたいだけなのだろうと判断し、外は落ち着かないので、取り敢えず中に入ってもらうことにした。

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